
クラフティは、フランス中南部・リムーザン地方の伝統菓子です。フルーツ入りカスタードプリンのような菓子で、今回は間もなく旬をむかえる“苺”を使いました。甘酸っぱくてさわやかな新感覚スイーツを、人気料理研究家Mizukiさんがご紹介します。
「出来たて、アツアツの『苺のクラフティ』を頬張ると、火の通った苺のジューシーさと、フレンチトーストのようにふわっと軽い生地の食感を味わえます。冷ましてみてもおいしくて、果肉がキュッと引き締まり、生地は硬めのプリンに近い、しっとり食感に変化しますよ。見た目と食感はプリンに似ていますが、薄力粉を入れてケーキ仕立てにするところがクラフティの特徴なんです」(Mizukiさん)
作り方は、材料を混ぜて、苺を入れた容器に注ぎ、オーブンで焼くだけ。
おいしく作るコツについて「材料を混ぜる順番を守れば、失敗しらずです。順番を変えてしまうと、生地がダマになり舌触りが悪くなってしまいます。また、容器の内側にバターを塗ると、生地が付きにくくなるだけでなく、バターの風味が生地に移っておいしくなるので、この工程も大切です」と、Mizukiさん。
「本場では、大きめのパイ皿を使って、アメリカンチェリーをまんべんなく敷き詰めて焼き上げるのが一般的なようです。でも家庭ごとにレシピはさまざまで、“お母さんの味”があるとのこと。みなさんも今回紹介した材料の配合にこだわらず、自分好みにアレンジしてみるのも楽しいと思いますよ」
例えば、牛乳や生クリームの割合を変えると、濃厚さを調整できます。
「牛乳なしで全量生クリームにすると“こってり”して、牛乳の比率を増やすと“あっさり”した味わいになります。ただ、全量牛乳にすると、淡泊で物足りなくなるかもしれません」
薄力粉の分量を変えると、生地の食感が変わります。
「レシピ通り15gで作ると、やわらかすぎず、適度になめらかで重たくならない生地に仕上がります。レシピより多くすれば硬くなり、減らすとさらさらになるので、これも好みで変えてくださいね」
続けて「本来、甘さ控えめなお菓子のため、今回のレシピでも伝統的な味を再現しています。甘くないぶん、フレンチトーストを食べる感覚で朝食メニューに取り入れるのもおすすめです。甘党の方は砂糖の分量を増やすか、粉糖を多めに振りかけて調整してくださいね」と、Mizukiさんは語ります。
苺を8、9個にしたのは、バランスよく浮いて見えるようにという狙いから。
「もちろん、苺が好きな方はもっと沢山入れても大丈夫ですよ。苺を半分に切ったのは、ココットに入れやすいようにするため。切らずに丸ごと入れても、細かくカットしても問題ありません。海外ではアメリカンチェリーがよく使われていて、フルーツをさくらんぼやバナナに変えてもおいしいですよ」
「苺のクラフティ」と合うドリンクは、「はちみつ紅茶」。苺の甘酸っぱい味と紅茶の芳醇な香りが絶妙にマッチします。
「甘さ控えめのスイーツなので、はちみつを加えた甘めの紅茶でバランスをとりました。紅茶の茶葉はお好みのものをお使いください。ちなみに、私のお気に入りは香りにクセがなく、何にでも合う“セイロン”です」
[A]
1.オーブンを180度に予熱する。薄力粉はふるう。容器にバター(分量外)を塗っておく。苺はヘタを除いて半分に切り、等分して容器に入れておく。
2.ボウルに、[A]を上から順に入れ、その都度泡立て器で混ぜる。
3.苺の入った容器に2を注ぎ、予熱したオーブンで25分焼く。焼き上がったら粗熱を取り、粉糖を振る。
焼きたてほやほやのクラフティが完成!
料理研究家・スイーツコンシェルジュ
「簡単・時短・節約」をコンセプトに、ブログ「Mizukiオフィシャルブログ~奇跡のキッチン」で毎日レシピを紹介し、月間300万PVを誇る人気ブロガーとなる。3年連続レシピブログアワード総合グランプリを受賞し、殿堂入りに。
Instagramのフォロワー50万人突破(2020年9月現在)。企業のレシピ開発や、雑誌、テレビ、Webメディアなどで活躍中。
撮影◎Mizuki(林 瑞季) 文◎井口理恵