キッチンの詰まりの最大の原因は油
排水管の中に固まった油。冬場、室温が下がるとよりかたまりやすくなるという。
「トイレに次いでトラブルが多いのはキッチンです。その最大の原因は油で、冬場に増加する傾向があります。温かい油は液状ですが、冷えると固形化するからです」
クラシアンの住吉健作さんもLIXILトータルサービスの郡司匡洋さんも、詰まりの原因について口を揃えます。
天ぷらなどで大量に使用した油はきちんと処理しても、フライパンや食器に付着した油脂はそのまま流されがちです。油脂のついたフライパンや食器を洗うと排水管内に油が付着し、冷えて固まります。そこに食材カスや洗剤カスが付着すると固まりになり、排水管をふさいでしまうのです。
キッチンの排水に含まれる少量の油が長年蓄積して石ころのようになり詰まってしまった実例。フライパンや鍋の油汚れは布や紙で拭きとってから洗うのがおすすめだそう。
「水切りネットやゴミ受けに食材カスやヌメリが見えなくても、排水トラップのすき間の奥に食材カスが流れ込んだり、ゴミ受けの下にある「椀トラップ」(お椀を裏返したフタのような排水トラップ)の裏側にヘドロ状の汚れが溜まることもあります。また、椀トラップのすき間をくぐり抜けて排水管に流れていってしまう果物のヘタや麺類などの食材カスやヌメリは、少量でも排水管内で油汚れと結合すると大きな固まりになってしまいます」
住吉さんはこのような油汚れに注意を促します。
うっかりでは済まない固形物
クラシアンの住吉健作さん
つまようじや輪ゴム、調味料やペットボトルのフタなどをうっかり流してしまったり、排水口を掃除しているときにスポンジなどを落下させてしまうこともあります。こうした固形物を流して詰まらせた場合には、特に注意が必要と住吉さんは言います。
「固形物を落としたことがきっかけで詰まりが起きた場合、原因物質を取り除くのが鉄則です。『小さいから大丈夫だろう』と水で流すようなことは絶対にやめてください。排水トラップや排水パイプで詰まりが起きたのであればまだしも、その奥の排水管で固形物が引っかかってしまうと、大がかりな工事が必要になってしまう可能性もあります」
トラップを外すときはキッチン下の収納物はすべて出して、ブルーシートを敷きバケツを置いて排水をキャッチする。これくらいは自分でできる作業。
排水パイプ部分で固形物が詰まりを起こしている場合は、自分で排水パイプを分解して取り除くこともできます。しかし、汚水で周囲を汚したり、取り付け後に水漏れ発生のリスクもあります。
どんなに気をつけていても家庭内の排水管には、お風呂や洗面台、洗濯機からも髪の毛や皮脂、石鹸カス、糸くずなどを含んだ排水が流れていきます。これらのゴミを下水に流入させないために、家庭の排水管と公共の下水管の間には必ず排水マスが設置されています。排水マスに汚れが蓄積したり、破損などのトラブルが起こったときにも、キッチンの排水口で詰まりが起こることがあります。
“お湯で一気に押し流す”も
効果的な方法
キッチンで詰まりが起きた場合、原因が明らかなケースより、「だんだん流れが悪くなった」「急に汚水が溢れかえった」というケースが多いようです。完全に詰まってしまう前の「排水の流れが悪いかな?」という段階なら、市販のパイプクリーナーで解消する場合もあります。
「だんだん流れが悪くなって、ついに流れなくなった」というときは油汚れが主な原因と考えていいようです。
LIXILトータルサービスの郡司匡洋さん
詰まりの予防策としては、特別な道具がなくてもフェイスタオルとお湯で押し流すのが効果的。手順はまず排水トラップをはずし、排水口をフェイスタオルでふさぎます。この際、絶対にタオルが流れないように注意してください。次にシンクに50~60℃のお湯を張ります」と郡司さんがこの際に注意すべき点をあげます。
「お湯ならいいのですが、熱湯は排水パイプを傷める原因となるため使用は絶対避けてください。この点は取扱説明書にも記載しています」
そして、ある程度お湯がたまったら、排水口をふさいでいたフェイスタオルを引き抜き、詰りを一気に押し流します。
(第3回につづく)
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