結露がカビに変わる前に対策を
窓の内側にまるで雨粒がついたような結露。とくに寒い日の暖房が効いた部屋の窓に発生しがちです。
「結露は冬の自然現象、拭いてもまた結露ができるから放っておこう」
いえ、気がついたらしっかり拭き取りましょう。なぜなら、その水滴が原因で窓枠のゴム部分やサッシ部、さらには、あふれた水滴が壁に漏れてカビが発生し、ダニを呼び込み健康を脅かす可能性があるからです。
結露が繰り返し起こる場所は、カビの発生にうってつけの条件を満たしています。
カビが繁殖すると、そこから目に見えない胞子が放出され、それをエサにダニが集まり、フンを飛散することがあります。初めはごく微量にすぎませんが、毎日吸い込むことで体内に蓄積され、いずれはアトピーやぜんそくなどのアレルギーや呼吸器系の重大な疾患を引き起こす可能性があるのです。
「カビをきれいにお掃除するのはなかなか手間がかかりますが、窓を拭くのは簡単。面倒になる前に、気がついたら拭き取る習慣をつけましょう」
“予約が取れない家政婦”みけままさん御用達のマイクロファイバー製のクロス。「100円ショップでも購入できます。なるべく大判で厚みのあるものがおススメです」
こうアドバイスするのは、家事代行マッチングサービス「タスカジ」のアンバサダーであり、なかなか予約が取れない人気の家政婦・みけままさん。お掃除のプロとして、複数のテレビ番組や雑誌、WEB媒体でそのテクニックを指南しています。
拭き掃除にあたっては、タオル地のクロスで濡れた窓やサッシを拭く方が多いかもしれませんが、みけままさんは、100円ショップでも売られているマイクロファイバー製のクロスを使って掃除します。
「マイクロファイバー製のクロスは吸収力に優れ、すすぎも簡単。サッシに挟んでおけば、水滴を吸い取ってくれるので、水が溜まるようなことも防いでくれます」とアドバイスします。
室内と室外の温度差で発生する水滴
ところで、結露はなぜ発生するのでしょうか。
『スーパー理科辞典』(受験研究社)によれば、「一定の体積の空気が含むことのできる水蒸気の限界状態のことを『飽和』といい、そのときの水蒸気量を『飽和水蒸気量』という。そして水蒸気が飽和して露ができるそのときの温度を『露点』という」 とあります。
気温 [℃] | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 |
---|---|---|---|---|---|---|
飽和水蒸気量 [g/m3] | 4.8 | 6.8 | 9.4 | 12.8 | 17.3 | 23.0 |
暖かい室内の空気と、冷たい外の空気との境目が窓。室内の暖かく湿った空気が急激に冷やされ結露となる。
LIXILの『住まいと結露の豆知識』に詳しく紹介していますが、飽和水蒸気量は、温度が高いほど多くなります。火を焚くこと(燃焼)で室温を上げるストーブやファンヒーターは、二酸化炭素と水分を発生するので、湿度を上げます。加湿器を利用すれば、室内の湿度はさらに上がります。
暖かい室内の空気と、冷たい外の空気との境目にあたる窓ガラスでは、室内の湿った空気が急激に冷やされて、空気中の水蒸気がこの場所で飽和水蒸気量の限界に達し(露点となり)、水滴となって現れる――これが、結露の発生する仕組みというわけです。
お掃除のプロ愛用のアイテム
100円ショップには、おなじみの床掃除用ワイパーの寸法に合わせたオリジナル商品が数多くそろえられている。(写真◎三星雅人)
サッシは歯ブラシで掃除。みけままさんは特殊なケミカル剤は使わないが、100円ショップでも手に入る重曹と炭酸ナトリウムで構成されたナチュラルアルカリ剤「セスキ」は別という。
「私たちタスカジの家政婦は、基本的にはお客さまのお宅にある掃除用具や洗剤を利用します。大掃除が終わった後の冬場のお手入れは、特別なお掃除をするというよりは、きれいになった室内を維持していくつもりで行えば、結露ひいてはカビ対策は十分です」
みけままさんが窓の結露を拭き取りに使う道具は、前述のマイクロファイバー製のクロス。背が届かない高いところは、柄のついた床掃除用のワイパーにこのクロスやモップをつけて拭き取ります。
「窓周辺に棚など障害物がある家でも、床掃除用のワイパーは便利です。100円ショップやホームセンターには、有名メーカーのワイパーのサイズに合わせたさまざまなクロスやモップがあります」
結露が窓一面についているときは、サッシにクロスを敷き、窓ガラス用ワイパーであらかじめ水滴を切ってしまうと、拭き取りが楽だそうです。これも100円ショップなどで手に入れることができます。
窓拭きは、いわば結露の対処療法です。次回は、根本的に結露が起きにくくする方法をみけままさんに指南していただきます。
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