複数個の荷物が受け取れ、
集荷依頼も可能
LIXILの「スマート宅配ポスト」は、郵便ポスト、宅配ボックス、表札、インターホンの機能がひとつにまとまっているIoT宅配ボックスです。ポストに内蔵されたカメラによって宅配業者の来訪を認識し、荷物が投函されるとスマートフォンに通知が届くシステムになっています。
スマート宅配ポストの大きな特長が、従来の宅配ボックスでは不可能だった「複数の荷物の受け取り」や「集荷依頼」ができるようになった点だと橘さんは話します。
「外出先にいても、遠隔でスマートフォンから宅配ボックスの解錠をすることができます。また、内蔵カメラによってスマートフォンから配達員の方と会話することができるため、複数荷物が入っている場合でも、配達員の方に『いまから解除するので、荷物を入れておいてください』といった依頼が可能です。
集荷を依頼したい場合は、荷物をスマート宅配ポストに入れて施錠していただきます。その後、アプリ上で集荷用パスワードを設定し、宅配業者のサービスがある場合には宅配業者に通知すれば、配達員の方は通知されたパスワードで解錠して荷物を回収することができます」
宅配ボックスのサイズは「330mm×340mm×460mm」で、2リットルのペットボトル6本入りの箱が横に2箱収まるほどの大容量。設計する際は、宅配業者やネット通販でよく使用されている箱の大きさを調査し、8割をカバーできるような容量に設計したといいます。
スマート宅配ポストには、宅配ボックスとポストが搭載された2WAY型の「TA」タイプと、宅配ボックスのみの「TB」タイプの2種類があります。また、それぞれのタイプでカメラ付、カメラなしを選ぶことが可能です。
また、宅配ボックスは外に設置するものなので、ボックスのスキマから雨が吹き込んで荷物が濡れる懸念があります。その点、スマート宅配ポストは、雨風や紫外線への耐候性試験を実施済みなので、安心です。
「浸水するほどの豪雨でなければ、中の荷物が濡れる心配はありませんので、安心してお使いいただけます」
スマート宅配ポストTA。右開きタイプと左開きタイプのどちらかを選ぶことができる。
スマート宅配ポストTB
IoT宅配ボックスで
「受け取りストレス」が軽減
LIXILでは2019年2月から約1年間、『IoT宅配ボックスによる再配達削減「CO2削減×ストレスフリー」実証プロジェクト』を実施しました。
同プロジェクトは、再配達に伴う労働生産性の低下、CO2排出量の増加といった社会問題や宅配物の待ち時間によって時間が拘束されるストレスなどを、IoT宅配ボックスによって解決するために行われた実証実験です。
実証実験では、東京都江東区・江戸川区の戸建住宅約100世帯に無償でスマート宅配ポストを設置し、ご利用者のストレスの変化や、再配達の削減によるCO2の削減効果などを検証しました。結果、ほぼすべてのご利用者が「受け取りに関するストレスに変化があった」と答えたほか、約8割が「スマホでの荷受け通知など、IoT機能に便利さを感じた」と回答がありました。
「宅配便の発送・受け取りは“待ち受け家事”の一種であり、多くの人がストレスを感じています。スマート宅配ポストによって時間も家事もコントロールできるようになったことで、『荷物を受け取るというストレスから解放された』というお声を多くいただきました」
また、今回のプロジェクトでは、IoTを活用することで可能となる新たな社会サービスの実現性についても検証しました。クリーニング店と協働で「クリーニングの集配サービス」を行ったところ、「お店にいく時間を減らせる」といった声があがるなど、サービス利用者の全員が利便性を感じたといいます。
(※クリーニングの集配サービスは、特定モニターを対象に行ったもので、検証段階の内容となります)
今回は、スマート宅配ポストの安全性や利便性について解説しました。次回は、京師さんも絶賛するデザイン性についてお伝えします。
会員登録 が必要です