“見立てる力”を発揮すると
コーディネートの幅が広がる
まずは、食器使いについて解説いただきました。
「モカスコーンを置いたお皿は、実は鍋敷きなんです。素材が陶器なので、食器に見立てても違和感なく、スイーツ皿として重宝しています。この鍋敷きは香ばしさを連想させる茶色で、モカスコーンを引き立たせると思い、選びました。
英字の浮き出し加工もあって、シンプルでありながら空間のアクセントになっています。ブラウンカラーの食器はどのお菓子にも合うので、1枚あると便利ですよ」
鍋敷きの横の取り皿は、黒のドット柄と波模様のふちどりが特徴です。
「ナチュラルなかわいさを目指したので、ドット柄といってもアイボリーと黒というシックな色の組み合わせのものを選び、ポップになりすぎないよう意識しました。
お皿のサイズ選びも重要です。この取り皿は小さいから主張しすぎず、他の食器や小物と調和しているんですよ。柄物の食器を使うときは『バランスを考え控えめに小ぶりにする』か、『思いっきり目立たせるために大ぶりのものを使う』のどちらかにするとおしゃれに見えます」
柄物の器を使うときは一点に絞り、他の食器や小物は無地にした方が全体にまとまりが出ます。
「取り皿はベーシックな白でも合いますが、お菓子とコーヒーが茶色なので、できれば真っ白でなくベージュがかった色のほうが相性はいいと思います」
Mizukiさんは、旅行や出張に行くと、欠かさずアンティークショップや器屋さん巡りをするほどの器好きです。オンライン取材時、背景のキッチンスタジオの食器棚には、こだわりの食器がずらりと並んでいました。
こうしたお皿は、どのような観点で集めているのでしょうか。
「お皿との出会いは一期一会なので、迷ったら買うべきです! シンプルで『使えそう』と思ったらなおのこと。
わたし自身、旅行先で素敵な器に出会ったけど、一枚だけ配送する手間と送料を考えて諦めたことがあるんです。でも、『あのとき買っておけばよかった……』と、後悔したことが何度もあります。特に作家さんの食器は、次はいつ出会えるかわかりません。そんなこともあって、いまでは自分のテンションが上がるものなら、少し値が張っても買うようになりました」
「実は、このドット柄のお皿をオンラインショップで買うときも『ドット柄は普段使わないし……』と、迷ったんです。でも買わなかったら後悔すると思い、この丸皿タイプとオーバルタイプの2枚買いました。いまは料理撮影で大活躍していて、思い切って購入し大正解でした」
さらに、ナチュラルなカフェ空間を設えたいときの食器選びについてもアドバイスいただきました。
「磁器よりも陶器の方が、温かみのあるクラフト感が醸しだされ、手作りスイーツとの相性がいいんです。磁器はキレイですが、高級ホテルのアフタヌーンティー調になるので、ナチュラルなカフェコーデからは遠のいてしまうかもしれません」
グラスと小物は、
サイズや素材を意識する!
今回のコーディネートでは、マグカップがガラス製です。何か狙いがあってのことでしょうか。
「これ以上色を増やすとごちゃごちゃした印象になるので、それを避けたかったのと、コーヒーとミルクの層を見せたいので、透明のものにしました。また、スコーンのサイズが小さいため、大きなマグカップを合わせると、スコーンが寂しげに見えてしまうかも、と思いました。それで、少し小さめのマグカップにしたんです」
主役であるスイーツに合わせて、ドリンクグラスの大きさを変えるのは、他のスイーツでコーディネートをする際にも活かせるノウハウです。
次に、小物使いのポイントを教えていただきました。
「クロスはリネン製です。リネンを使うと柔らかい雰囲気になるので、ホッとする空間を作りたいときにおすすめの素材です。モカスコーンや食器の色を考えると、クロスは色鮮やかなものより素材本来の控えめな色のほうが、全体の統一感を出せます。もちろん純白のクロスでも合いますよ。その場合はパッと明るい印象になります」
リネンとは、亜麻(あま)というアサ科の植物から取れる繊維で織られた麻布です。「リネンといえばヨーロッパ」というイメージを持つ方が多いと思いますが、実際ヨーロッパ(中でもフランス)は一大産地です。
このため生成りのリネンにすれば、食卓に素朴さと上質さを兼ね備えたフレンチシャビーの要素を加えられるのです。
また、今回のコーディネートでは、焼きたてのスコーンを網に乗せて出す方法も披露いただきました。
「網のままテーブルに置くと、作りたてを連想させ、『おいしそう』という期待感をより高められます。
今回使ったような大皿が無い人は、その代わりに網をテーブル中央にドーンッと置いて、そこにスコーンを並べ、手作り感あふれるカジュアルコーデにしても素敵だと思います。
網は銀色よりも黒色の方が、空間が引き締まりおしゃれに見せることができます。黒い網は、オンラインショップでも数百円で買えるので、気軽に手を出せるアイテムです」
今回は、おうちですぐに試したくなるテーブルセッティング術から、食器選びのコツまで幅広いアイデアを伝授いただきました。
ぜひ、試してみてください。
会員登録 が必要です