おいしく免疫力アップ【アブラナ科料理編②】

「ケール」「カリフラワー」…etc.
いろいろアブラナ科の前菜とスープ

空間
キッチン
関心
健康レシピ

ケールはβ-カロテンが、
カリフラワーはビタミンCが豊富

 今回、主役となるアブラナ科の一つケールは、食物繊維、カルシウム、ビタミンC、そして何よりβ-カロテンを多く含むのが特長です。
 第1回でお伝えしたように、キャベツのルーツはケールといわれていますが、両者の大きな違いはβ-カロテンの含有量。ケールは「緑黄色野菜の王様」といわるほど、β-カロテンがたっぷり含まれているのです。
 体の中でビタミンAに変わるβ-カロテンは、抗酸化作用があり、皮膚や粘膜を守り、免疫機能を高める働きがあります。ケールには、目を守ることが期待される色素成分ルテインも含まれ、美容と健康にいい野菜として近年人気が出てきています。β-カロテンは脂溶性なので、油と一緒に摂ると体内に吸収されやすく、今回紹介するレシピでも油を使用しています。

 アブラナ科はがん予防に効果があるとされていますが、中でも抗がん効果が高いと期待されているのが、今回のもう一つの主役カリフラワーです。ビタミンCも豊富で、白いつぼみの部分にたっぷり含まれています。ビタミンCは熱に弱く火を通すと失われやすいのですが、カリフラワーのビタミンCは、熱によって大きく失われることがありません。
 かつてはよく食卓に登場していたカリフラワーは、近年、すっかりブロッコリーの陰に隠れてしまっています。そのため収穫量は少なく、いまや高級野菜となっていますが、栄養成分も機能成分もたっぷり、かつ加熱してもビタミンCの摂取量が失われることがないので、積極的に料理のレパートリーに加えるといいと思います。

油で炒めてβ-カロテンをたっぷり吸収!
「ケールのブルスケッタ」

 ケールは生で食べると硬くて食べにくく、また苦みもあるため、苦手意識を持つ人もいます。しかし、油で炒めることでしんなり柔らかくなり、苦みが取れます。加えて、ケールに含まれているβ-カロテンの吸収率もよくなります。
今回は、ケールとニンニク、調味料(クミンシード、塩)をすべてフライパンに投入してから、オイルを回しかけて蒸し煮にし、クタッとさせました。
 葉物は火を通すことで、山盛りの量も半分以下のかさに圧縮され、たくさん食べることができます。つまり、それだけ栄養成分をたっぷりいただけるということです。

 ケールは茎部分が太いので、斜めに薄切りにしましょう。ニンニクは、すり下ろすと辛みが出るのでみじん切りに。ニンニクに含まれる香り成分アリシンは、免疫細胞の活性化が期待できます。
 クミンシードはカレーのような風味のするスパイスで、その独特の香りが料理のおいしさを引き立てます。今回はアクセントとして使いました。

 パンにのせて食べると、ケールの苦みはまったく感じず、ほんのりエスニックな風味が口の中にひろがります。パンとの相性もバッチリです。「ケールってこんなにおいしいの?」と驚く人もいるかもしれませんね。
 お好みで半熟卵をのせると、鮮やかな見た目になり食欲をそそるだけでなく、タンパク質も摂れる立派な前菜になります。

ケールのブルスケッタ

【材料】(2人分)

  • ケール
    大2枚
  • ニンニク(みじん切り)
    1/2片
  • クミンシード
    小さじ1
  • オリーブオイル
    小さじ2

  • 小さじ1/4
  • お湯
    大さじ3
  • 焼いたバゲット
    適量

【作り方】

  • ケールは、太い茎部分は斜め薄切りに、葉は細切りにする。
  • フライパンに1を入れ、ニンニク、クミンシード、塩を散らして強火にかける。オリーブオイルとお湯を回しかけて蓋をし、3分ほど加熱する。
  • 焼いたバゲットにオリーブオイルを適量(※分量外)垂らし、2をのせて好みで粗挽き胡椒を散らす。

ビタミンCが豊富で食感が楽しい
「カリフラワーのマッシュ」

 カリフラワーはビタミンCが豊富なうえに、アレンジの効く使い勝手の良い野菜です。ピクルスやマリネなど生食のときはカリカリとして歯触りがよく、柔らかく煮るとホクホクになるという食感の変化を楽しめるのも、カリフラワーのおもしろさ。

 もちろん、フリッターにしたり焼いたりしてもOK。少量の水で蒸し焼きにしてクミンをふりかけると、インドでよく食べられているザブジ(野菜をスパイスでいためた料理)になります。
 カリフラワーは炒めるとつぼみがポロポロしてきます。かつ白いので、“ごはんつぶ”に見立てて「カリフラワーライス」として食べる場合も。カリフラワーに含まれる糖質はごはんよりも少ないので、糖質制限をしたいときにおすすめです。

 蒸し煮にしたカリフラワーは、それほど力を要せずにマッシュできます。またじゃがいものように皮をむかずにすむので、手間がかかりません。このとき、完全につぶそうとするのではなく、少し“つぶ”が残る程度のほうが、カリフラワー独特の食感が楽しめます。
 後味がさっぱりしていながらも、粉チーズが効いてコクのある前菜に仕上がります。カロリーも気にせずに済むので、ついつい手が伸びてしまいます。

カリフラワーのマッシュ

【材料】(2人分)

  • カリフラワー
    1/2個
  • ニンニク
    1片
  • 白ワイン
    50ml
  • 牛乳
    100ml
  • 粉チーズ
    大さじ1
  • バター
    小さじ1

  • 小さじ1/6
  • 焼いたバゲット
    適量

【作り方】

  • カリフラワーは小房に分け、ニンニクはざく切りにする。
  • 材料をすべて鍋に入れ、中火にかける。鍋の縁がふつふつしてきたら蓋をして弱火にし、汁気がなくなるまで15分ほど蒸し煮にする。
  • 火を止め、フォークやマッシャーなどでマッシュする。焼いたバゲットを添える。

いろんな「緑」の素朴なスープ
「カルドヴェルデ(緑のスープ)」

「カルドヴェルデ」とは、ポルトガル語で「緑のスープ」。ケールをメインに、キャベツ、ブロッコリーと、その名の通り、緑色をしたアブラナ科をたくさん使い、ビタミンCやβ-カロテンをたっぷりいただけるスープです。

 さらに、ジャガイモ、タマネギ、セロリの茎、ニンニクを加えることで、味に深みが出るだけでなく、繊維質も豊富に摂れます。ジャガイモは皮ごと使ってOKです。ほかの野菜もそうですが、皮ごと使ったほうが栄養成分はたくさん摂れます。
 セロリの茎とニンニクは、香りを出すために使用しましたが、この2つには香りだけでなく、体にうれしい成分が含まれています。セロリはむくみの解消や高血圧の予防・改善に役立つカリウムや食物繊維が豊富。茎よりも葉のほうに多いので、もちろん葉を使っても。ニンニクは先のレシピでも紹介したように、免疫細胞の活性化が期待されるアリシンという香り成分が含まれています。

 今回は使いませんでしたが、ベーコンやソーセージなど肉類を入れると、タンパク質も摂れ、ボリューミーなスープになります。うま味も出るので、その場合コンソメは不要です。

 ケールとキャベツを最後に入れるのは、グリーンの色をなるべく残しておきたいから。コトコト煮込んでしまうと、色が暗くなってしまうのです。ただ、煮込めば煮込むほど野菜たちは柔らかくなり、味も出てきますので、そこはお好みで。
 ビタミンCは熱に弱いのですが、汁ごと飲めば栄養成分を逃さず摂れます。こうしてスープにしてアブラナ科の栄養を余すことなく体に取り込めば、疲労気味であっても元気が出てきそうです。

カルドヴェルデ(緑のスープ)

【材料】(2人分)

  • ケール
    大1枚(50g)
  • キャベツ
    外葉1枚(100g)
  • ブロッコリー
    4房(80g)
  • ジャガイモ
    1個(100g)
  • タマネギ
    1/4個(50g)
  • セロリ茎
    1/2本(50g)
  • ニンニク
    1片(5g)
  • オリーブオイル
    小さじ1
  • 顆粒コンソメ
    小さじ1

  • 600ml

【作り方】

  • ケール、キャベツは1cm幅の細切りに、ブロッコリーは粗めざく切り、ジャガイモは皮ごと1cm幅のいちょう切りにする。タマネギ、セロリ、ニンニクはみじん切にする。
  • 鍋にオリーブオイルを敷いて火にかけ、タマネギ、セロリ、ニンニクを入れて炒める。
  • 2にブロッコリー、ジャガイモ、水、顆粒コンソメを加え、煮立ったら蓋をして弱火にし10分ほど煮る。
  • 3にケール、キャベツを入れさらに5分ほど煮る。

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)