
免疫細胞のもととなるタンパク質と「オメガ3系脂肪酸」が豊富な青魚。空気が乾燥して風邪を引きやすいこれからの季節には積極的に摂りたいものです。いつもの焼き魚や煮魚とはちょっと違う、おしゃれでおいしく、かつ栄養を丸ごといただける青魚レシピを、管理栄養士の美才治真澄さんに教えていただきました。
第1回でもご紹介したように、青魚には免疫に関係するオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています。「魚を食べるようにしている」人は、風邪や発熱回数が大幅に減った傾向にある(※『料理王国』調べ)、という調査結果も出ているほど。もちろん、免疫力アップには睡眠や運動なども関係してくるので、単に魚を食べればいいというわけではありませんが、意識して食べるようにするといいですね。
今回使用したサバは、アジやイワシと並ぶ庶民向きの青魚。けれども料理としては、サバの味噌煮や塩焼き、しめ鯖、あるいはサバ缶など、限定的になってはいないでしょうか。そんなワンパターンなサバの新しい食べ方を紹介します。
2品目はイワシの缶詰を使用したレシピです。魚の缶詰は高圧で加熱されるので、骨ごと食べられるのがいいところ。カルシウムもたっぷり摂れますし、もちろんオメガ3系脂肪酸もあますことなくいただけます。
サバに「ゴボウ」と「ドライトマト」? この組み合わせに一瞬戸惑った人もいるかもしれませんが、実はゴボウとトマトは相性がいいんです。そしてゴボウの香りがサバ独特の臭みを消す、という中和反応があるのです。
サバは切り身を使います。うま味が出るので骨付きがいいでしょう。
魚の臭みを取るには、切り身に熱湯をかけ、その後冷水で血合いや鱗などを洗い流す「霜降り」という方法が一般的です。しかしこの作業が、「ちょっと面倒だな」と感じたことはありませんか?
そこで今回は「焼き霜」という方法で臭みを取りました。これは「焼く」という方法で、そのまま直火で炙る方法もあります。臭みが取れるだけでなく、粉をつけて焼けばより表面が固まるので、煮崩れしにくくなります。
粉は片栗粉を使うと、ごぼうおろしなどソースに程よくとろみもつけられます。
材料をフライパンで煮るときは、強火で一気に。煮込みすぎるとぱさぱさになってしまいます。
味噌は入っていませんが、見た目はまるで「サバの味噌煮」。でも口に運ぶと、ほのかにゴボウの風味がする洋風の味付けに、ちょっと驚くかもしれません。ごはんが進みそうな、なつかしい味でもあります。これまでとちょっと違ったサバ料理としてぜひ、レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
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2品目は缶詰を使ったお手軽パスタです。とくにイワシ缶はサバ缶より臭みが少なく、使い勝手がいいので家庭に常備しておきたい缶詰です。まず香味野菜を炒め、そこに残りの材料を投入し、ゆでたパスタを和えるだけという、とても簡単な上、イワシ缶は汁ごと使うので栄養もしっかり摂れます。
コクがあるソースなので、リングイネやフィトチーネなどの太めのパスタだと、よく絡んでおいしくいただけます。シチリア風かつナンプラーの風味でエスニックなコクもあり、松の実の食感やふやけたレーズンのもっちり感と、いろんな味と食感が楽しめ、かつ栄養成分もしっかり摂れる贅沢な一皿です。
管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。
撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子