おいしく免疫力アップ【魚料理編③】

洋風アレンジでマンネリ打破!
「サバ」と「イワシ」の栄養たっぷりレシピ

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青魚のオメガ3系脂肪酸は
免疫に重要な栄養素!

 第1回でもご紹介したように、青魚には免疫に関係するオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています。「魚を食べるようにしている」人は、風邪や発熱回数が大幅に減った傾向にある(※『料理王国』調べ)、という調査結果も出ているほど。もちろん、免疫力アップには睡眠や運動なども関係してくるので、単に魚を食べればいいというわけではありませんが、意識して食べるようにするといいですね。

 今回使用したサバは、アジやイワシと並ぶ庶民向きの青魚。けれども料理としては、サバの味噌煮や塩焼き、しめ鯖、あるいはサバ缶など、限定的になってはいないでしょうか。そんなワンパターンなサバの新しい食べ方を紹介します。
 2品目はイワシの缶詰を使用したレシピです。魚の缶詰は高圧で加熱されるので、骨ごと食べられるのがいいところ。カルシウムもたっぷり摂れますし、もちろんオメガ3系脂肪酸もあますことなくいただけます。

ご飯がすすむ洋風の味
「サバのゴボウ&ドライトマト煮」

 サバに「ゴボウ」と「ドライトマト」? この組み合わせに一瞬戸惑った人もいるかもしれませんが、実はゴボウとトマトは相性がいいんです。そしてゴボウの香りがサバ独特の臭みを消す、という中和反応があるのです。

 ゴボウは腸内環境を整える食物繊維の宝庫。腸内環境が整うことで腸の免疫機能がしっかり働き、ウイルスなどの外敵から体を守ります。また皮には抗酸化作用のあるポリフェノールの一種、クロロゲン酸が含まれているので、ぜひ皮ごと使ってください。今回も皮ごとすり下ろして栄養をしっかり摂りました。

 ドライトマトは乾燥させたことでトマトのうま味が凝縮しています。なければトマト水煮缶かピューレで代用を。

 サバは切り身を使います。うま味が出るので骨付きがいいでしょう。
 魚の臭みを取るには、切り身に熱湯をかけ、その後冷水で血合いや鱗などを洗い流す「霜降り」という方法が一般的です。しかしこの作業が、「ちょっと面倒だな」と感じたことはありませんか? 

 そこで今回は「焼き霜」という方法で臭みを取りました。これは「焼く」という方法で、そのまま直火で炙る方法もあります。臭みが取れるだけでなく、粉をつけて焼けばより表面が固まるので、煮崩れしにくくなります。

 粉は片栗粉を使うと、ごぼうおろしなどソースに程よくとろみもつけられます。

 材料をフライパンで煮るときは、強火で一気に。煮込みすぎるとぱさぱさになってしまいます。
 味噌は入っていませんが、見た目はまるで「サバの味噌煮」。でも口に運ぶと、ほのかにゴボウの風味がする洋風の味付けに、ちょっと驚くかもしれません。ごはんが進みそうな、なつかしい味でもあります。これまでとちょっと違ったサバ料理としてぜひ、レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。

サバのゴボウ&ドライトマト煮

【材料】(2人分)

  • サバ(切り身)
    2切
  • 片栗粉
    適量
  • ゴボウ
    1/2本(80g)
  • ドライトマト
    15g
  • ゴマ油
    小さじ2

    <A>

  • メープルシロップ
    大さじ1
  • めんつゆ(3倍濃縮)
    大さじ1

  • 大さじ1

  • 200ml
  • 香菜
    好みで適量

【作り方】

  • ゴボウは泥を落とし皮ごとすりおろす。ドライトマトは細切りにする。ボウルに<A>とともに入れてしばらくおき、ドライトマトを水戻ししておく。
  • サバ切り身は表面に適宜切れ目を入れ、片栗粉を薄くはたく。
  • フライパンにゴマ油を敷き、2を並べて両面を焼く。
  • 1を加えてオーブンシートで落とし蓋をし、強火で10分ほど煮る。器に盛り、好みで香菜を散らす。

シチリア風味と多彩な食感
「イワシのパスタ」

 2品目は缶詰を使ったお手軽パスタです。とくにイワシ缶はサバ缶より臭みが少なく、使い勝手がいいので家庭に常備しておきたい缶詰です。まず香味野菜を炒め、そこに残りの材料を投入し、ゆでたパスタを和えるだけという、とても簡単な上、イワシ缶は汁ごと使うので栄養もしっかり摂れます。

 松の実とレーズンの組み合わせに目新しさを感じるかもしれません。この組み合わせはイタリアのシチリア地方でのイワシ料理に多く、現地ではウイキョウも加えます。ウイキョウは英語名でフェンネル。ハーブとして使っている方もいるのではないでしょうか。ここではウイキョウの代わりにセロリを使用しました。
 セロリは食物繊維やカリウムが豊富です。葉のほうに栄養価が多く、また刻むほど香味成分が出やすいので、刻んでスープやソースなどに利用するといいでしょう。

 イワシの水煮は汁ごとフライパンに入れます。汁にイワシのオメガ3系脂肪酸が溶け込んでいて、だし代わりにもなるので、捨てないでしっかり使い切ってください。骨も柔らかくなっているのでカルシウムもバッチリ摂取できます。缶詰は何より小骨をとらなくていいのがありがたいですよね。
 松の実とレーズンは汁気によってふっくらしてきます。ナンプラーは塩代わりに使います。ただの塩よりも深みが出るのです。現地ではアンチョビを使うので、アンチョビを使ってみても◎。ソースには水も加えますが、しっかり水分を飛ばすのがポイントです。

 コクがあるソースなので、リングイネやフィトチーネなどの太めのパスタだと、よく絡んでおいしくいただけます。シチリア風かつナンプラーの風味でエスニックなコクもあり、松の実の食感やふやけたレーズンのもっちり感と、いろんな味と食感が楽しめ、かつ栄養成分もしっかり摂れる贅沢な一皿です。

イワシのパスタ

【材料】(2人分)

  • イワシ水煮缶
    大1缶(200g)
  • セロリ茎
    1/2本(50g)
  • セロリの葉
    30g
  • ニンニク
    1片
  • 松の実
    大さじ2
  • レーズン
    大さじ2
  • トマト水煮(カットタイプ)
    大さじ2
  • ナンプラー
    小さじ1
  • オリーブオイル
    大さじ1

  • 100ml
  • スパゲティ
    140g
  • セロリの葉(千切り)
    好みで適量

【作り方】

  • セロリ茎は薄切り、葉は細切り、ニンニクはみじん切りにする。フライパンにオリーブオイルを敷いて中火にかけ、セロリ、ニンニクを炒める。
  • 香りが立ったらイワシ水煮缶(汁ごと)、松の実、レーズン、トマト水煮、ナンプラー、水を加え、木べらなどでイワシを崩しながら5分ほど加熱する。
  • 並行して、1%濃度になるよう塩を加えた湯を沸かし、スパゲティをゆでる。
  • スパゲティがゆで上がったら、2に加えて手早く混ぜ合わせる。器に盛り、好みでセロリの葉を散らす。

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)