
抗酸化作用がある「フィトケミカル」をはじめ、さまざまな栄養成分や機能成分が含まれているアブラナ科の野菜を使ったフルコースレシピシリーズ。第3回では、主菜となる「キャベツとポークのレモンブレゼ」と、主食となる「ブロッコリーソースのパスタ」を紹介します。レシピは管理栄養士の美才治真澄さんに教えていただきました。
キャベツに負けず劣らず栄養成分に優れているのが、キャベツの変種、ブロッコリーです。ビタミンCをはじめ、強い抗酸化力をもつβ-カロテン、腸内環境を整える食物繊維、細胞の生産・再生を助ける葉酸、貧血予防が期待できる鉄などが含まれています。
キャベツの芯には、葉の部分の倍以上のカルシウムやカリウム、マグネシウム、リンなどのミネラル類が豊富です。
捨てずに薄くそいて炒め物にしたり、細かく刻んで餃子の具に混ぜ込んだりして、有効活用してみてください。
ブロッコリーの芯を使ったおすすめは、細切りにした浅漬けです。シャキシャキしてお箸がとまりませんのでお試しあれ。ビタミンCとβ-カロテンがより多く摂れます。
アブラナ科フルコースのメイン料理は、「キャベツとポークのレモンブレゼ」。「ブレゼ」とは少量の水分でじっくり蒸し煮にすること。フランス料理の調理法です。今回は、水のほか白ワインも加えて、風味をアップさせました。
このレシピでは、キャベツの栄養成分だけでなく、豚肩ロース肉に含まれるビタミンB1や亜鉛も摂取できます。ビタミンB1は疲労回復に効き、亜鉛は免疫機能を高め、体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退する働きがあるので、キャベツの高い栄養価と相まって、元気が出てきそうなメイン料理です。
豚肉に小麦粉をはたくのは、肉の水分が流れ出ないようにするため。こうすることでしっとりと仕上がります。いったん肉を取り出してからキャベツをさっと炒めて、その上に焼いた肉を、さらにスライスしたレモンをのせます。
最後の1品は、ブロッコリーを細かく刻んでつくった緑のソースを絡めたパスタです。ブロッコリーは生のまま、茎から切り分けたつぼみをざっくり刻めば、あっという間にみじん切りに。それをオリーブオイルで炒めます。
ニンニクと万能ネギを加えて炒めるのは、味をまとめるためです。というのも、キャベツの芯やセロリ、ネギなどは、炒めると野菜独特のうまみのような甘みが出ますが、ブロッコリーやケールは、炒めてもあまり甘みは出ません。そのため、甘みのベースになるものとして、ニンニクと万能ネギを加えています。
一緒に加えるディジョンマスタードは、粒マスタードよりもまろやかで、風味のあるマスタードです。フランス・ブルゴーニュ地方のディジョンという都市でつくり始められたため、この名がついています。ちなみに原料は「カラシナ」の種。このカラシナもアブラナ科です。
ディジョンマスタードは一般のスーパーでも販売されていますが、手元になければ、今回のレシピの場合は練りからし小さじ1で代用してもOKです。
またこのディジョンマスタードは、だしのようにさまざまな料理に使えます。味噌と一緒に使ったり、シチューに入れたり、白和えに加えたりと、ひと味ほしいときに活躍するので、ぜひこの機会に使ってみてください。
ブロッコリーはソースにするので、やわらかくなるよう、しっかり炒めます。ブロッコリーだけだとポロポロしてしまうので、塩分の入ったゆで汁を加えてしっとりさせます。よくかき混ぜると、ディジョンマスタードがオイルと水のつなぎ役となり、乳化してきてソースっぽくなってきます。
そこにゆであがったパスタを加えれば、ソースがしっかりと絡みます。ブロッコリーの栄養をたっぷり含んだパスタの完成です。
アブラナ科は、日常私たちがよく使う野菜です。使い慣れた野菜たちを、フランス風だったりポルトガル風だったり、ちょっぴりエスニックにと、風味に変化をつけつつ、おいしく、かつ栄養が余すことなく摂れるレシピを紹介してきました。ぜひアブラナ科の栄養分をしっかり摂って、免疫力をアップさせてくださいね。
管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。
撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子