おいしく免疫力アップ【発酵食品編③】

水溶性&不溶性食物繊維食材で
まるで「バゲットサンド」「ポテサラ」に!

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「2つの食物繊維」を含むさつまいもとおから

 1品目に使うさつまいもは、善玉菌のエサになるプレバイオティクスを含みます。なんといってもさつまいもの特徴は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の両方の働きを持つこと。
 
 水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになるほか、糖質の吸収速度を穏やかにする作用があり、糖尿病の予防効果が期待されています。不溶性食物繊維は、腸の働きを刺激して、腸内の有害物質の排出を促進する働きがあります。便のかさを増し、排泄を促すのでお通じが良くなります。

 また、さつまいもに多く含まれるのがでんぶんです。これまで、でんぷんは小腸ですべて分解吸収され、エネルギー源になると考えられていました。しかし近年の研究で、冷めるとでんぷんの一部が、分解吸収されにくくなり、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」も存在することが判明しました。レジスタントスターチは、お通じを良くしたり、腸内細菌のエサになって善玉菌の増殖を促したりと、食物繊維と同じ作用をすることがわかっています。
 こうしたでんぷんの性質は、さつまいもだけでなく、お米などでんぷんを含むほかの食材にも当てはまります。炊きたてでない冷めたご飯でも、「食物繊維が摂れる」と考えれば、価値がアップしそうですね。

 このレシピではプロバイオティクスは、生ハム(カビ類で発酵)、カマンベールチーズ(乳酸菌で発酵)、ピクルス(乳酸菌で発酵)の3つです。さらに、カマンベールチーズにはグルタミン酸が多く含まれ、免疫力アップが期待できます。グルタミン酸はタンパク質を構成するアミノ酸の一種で、免疫細胞の機能を増強させる効果があるのです。

 グルタミン酸を多く含む食品は、ほかに肉や魚、大豆製品、卵などがありますが、熱に弱いので、加熱しないで食べられるチーズは理想の食品といえます。ただし、発酵しているのはナチュラルチーズのみです。プロセスチーズは加工チーズなので発酵食品の対象外です。

 2品目の「おからのポテサラ風」のおからも、多いのは不溶性食物繊維ですが、水溶性食物繊維も含み、かつオリゴ糖の一種「大豆オリゴ糖」も含むプレバイオティクスです。

 このレシピでは、ヨーグルト(乳酸菌で発酵)とわさび漬け(麹菌で発酵)というプロバイオティスを使って、マヨネーズ風に仕上げました。

食物繊維たっぷり!見た目も◎!
「焼き芋のジャンボンフロマージュ」

 コンビニなどで売っている焼き芋をバゲットに見立てておしゃれな一品に変身させたのが「焼き芋のジャンボンフロマージュ」。「ジャンボン」とは「ハム」を意味するフランス語で、焼き芋にカマンベールチーズと生ハムを挟むだけの超簡単レシピです。

 焼き芋には、ほくほくした「粉質」タイプと、ねっとりした「粘質」タイプがあります。温める場合はどちらでもおいしいですが、冷めてもおいしいのは粘質タイプで、コンビニの「冷やし焼き芋」はコレに当てはまります。
 このレシピではさつまいもに具を挟むので、その具とのバランスが悪くならないよう、細めの(バゲットに似たような)さつまいもを使います。そうすると見た目も美しく仕上がります。
 生ハムは増粘剤などの添加物が入っているものは真の発酵ではないので、発酵したものという視点で選ぶのなら、「塩・豚肉」とだけ書かれたものを使いましょう。
 

 焼き芋は縦に切り開くようにしてグリルなどで温めます。秋から冬にかけての肌寒い時期には、熱々に温めると気分的にもホッとしますよね。

 通常、カマンベールチーズをカットする場合は、放射状に切ることが多いと思いますが、今回はさつまいもに挟みやすいよう、スライスします。
 生ハムは1枚ずつはがして、ふわっと折りたたんでさつまいもに挟み込むと、その部分がフリルのようになって見栄えが良くなります。
できあがりは、まるでバゲットサンドのようになります。食べるときは食べやすいよう、1/2~1/4に切ってもいいでしょう。生ハムのしょっぱさとさつまいもの甘みが絶妙で、ちょっと変わったオードブルとして、食卓を楽しくしてくれる一品です。

焼き芋のジャンボンフロマージュ

【材料】(2人分)

  • 焼き芋
    細めのもの2本
  • 生ハム
    8枚
  • カマンベールチーズ
    1個
  • 刻みピクルス
    大さじ2

【作り方】

  • 焼き芋は縦に深めの切れ目を入れ、開いてグリルやトースターなどで熱々に温める。
  • カマンベールチーズは7mm幅程度にスライスする。
  • 「1」が熱いうちに生ハム、「2」を挟んでピクルスを散らす。

素朴なおからがおしゃれに変身!
「おからのポテサラ風」

 2品目は脇役になりがちな「おから」を使って作った「まるでポテトサラダ」のようなサラダです。おからは大豆独特のにおいがあるので電子レンジで加熱してにおいを飛ばします。このときラップをしてしまうとにおいがこもってしまうので、ラップはしないようにしましょう。

 マヨネーズ感を出すために、プレーンヨーグルトとわさび漬けを使います。わさび漬けを使うことで、ピリッと大人好みのパンチが加わります。味付けはもちろん塩でもOKですが、和の風味を添えるために昆布茶を使いました。

 レンジで加熱したおからが熱いうちのほうが均一に混ざりやすいので、ここは素早く進めましょう。

 スモークサーモンは切り落としで十分です。イクラも加えることで、ゴージャス感とおしゃれ感がグッとアップします。

 このレシピは、発酵パワーだけでなく、抗酸化作用が高いβ-カロテンやビタミン豊富なパプリカ、同じく抗酸化作用のあるアントシアニンを含む紫タマネギ、タンパク質たっぷりのサーモンなど複数の食材を使用しているので、副菜ながら栄養面では主役級です。
 お味もポテトサラダそっくりで、「おから」と言われなければわからないくらいになります。

おからのポテサラ風

【材料】(2人分)

  • スモークサーモン
    80g
  • イクラ
    大さじ2
  • パプリカ(黄)
    1/2個
  • 紫玉ネギ
    1/4個
  • 三つ葉
    4本

  • 小さじ1/8

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  • おから
    100g
  • プレーンヨーグルト
    大さじ3
  • わさび漬け
    大さじ2
  • レモン汁
    大さじ1
  • 昆布茶(粉末)
    小さじ1

【作り方】

  • パプリカと紫玉ネギは薄切りにして塩を加えてもみ、しんなりしたら水気を軽く絞る。三つ葉は刻む。
  • 耐熱ボウルにおからを入れ、ラップはせずに電子レンジで1分半ほど加熱する。熱いうちに残りの(A)を加え全体を混ぜる。
  • 「2」の粗熱が取れたらスモークサーモン、「1」を加えざっくり混ぜ合わせる。器に盛り、イクラをかける。

 このように、いつも使っている食材は工夫次第で、あっと驚く料理に変身します。そんな料理が並べば、食卓でも会話が増えるに違いありません。それこそが免疫機能を高める秘訣かもしれませんね。「どうやって作ったの?」「何が入っているの?」など料理を媒体に会話を楽しみながら、免疫力をアップしてください。

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎藤井玲子(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)