おいしく免疫力アップ【肉料理編①】

夏はやっぱり肉料理! タンパク質で疲れ知らずに

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“体づくり”に必須のタンパク質は
毎食摂るのが理想!

 肉類に多く含まれているタンパク質は、私たちの“体のもと”となる栄養素。脂質、炭水化物とともに私たちが生きていく上で、なくてはならない三大栄養素のひとつです。

 食事によって体内に入ったタンパク質は、アミノ酸に分解されて、筋肉や皮膚、骨、爪、髪、臓器、免疫細胞などあらゆる細胞の成分となるほか、栄養や酸素を運んだり、ホルモンとして代謝調節をしたり、さらには、エネルギーとなる糖質が足りないときは、その代わりとなってエネルギーとして消費されたりと、とっても働きもの。

 その一方で、タンパク質は一度にたくさん食べても、体内には一定量しか貯めておくことができません。また疲労やストレスがかかると、体内で消費されてしまいます。ですから不足しないように、毎日、毎回の食事で平均的にとることが大事です。
 特に暑い夏は食欲が進まないことが多いと思いますが、食べる量が減ってしまうと、タンパク質不足になる心配があります。

 タンパク質が不足すると、体づくりや体の機能維持がうまくいかなくなり、筋力低下を招いたり、夏バテしやすくなったりするほか、免疫細胞がつくられにくくなり免疫力も衰えてしまいます。

夏バテ防止が期待できる
こんな栄養素も!

 肉にはタンパク質のほかに、種類や部位によって、夏バテ防止が期待できる栄養素や成分が含まれています。

 例えば豚肉には、疲労回復につながる「ビタミンB1」が豊富です。ビタミンB1は、炭水化物(糖質)をエネルギーに変える際に必要な栄養素。不足するとエネルギー不足を引き起こして、疲れやすくなり、イライラの原因にもなってしまいます。
 ビタミンB1は豚肉の中でも「ヒレ肉」に多いので、よりたくさん摂りたければ、ヒレ肉を使った料理がおすすめです。

 鶏肉の場合、エネルギーが高いのは脂質の多い「モモ肉」ですが、タンパク質が豊富なのは「胸肉」です。
 また胸肉には「イミダゾールペプチド」という、活性酸素を除去する働きが強く、疲労回復を助ける機能成分が含まれています。この成分を含んでいるのは、食用肉の中では鶏胸肉がダントツ。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップするので、野菜を付け合わせるといいいでしょう。

 牛肉や羊肉に豊富なのは、ミネラル分である鉄や亜鉛です。とりわけたくさん含まれているのは赤身部分。鉄が不足すると全身に酸素が行き渡らず、体が酸欠状態になり、エネルギー不足を起こして疲れやすくなってしまいます。
 亜鉛は免疫機能を高め、体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退する働きがあるので、この時期、特に不足しないように摂りたい栄養素です。

野菜と一緒に摂れば
さらに免疫力アップ!

 以上のように、それぞれの肉の種類や部位の特徴を知っておくと、夏バテ対策レシピの幅が広がります。
 ただ、もちろん肉だけでなくそのほかの食材とバランスよく食べることが大事です。野菜には免疫力を高めるビタミン類がたっぷり含まれているので、ぜひ付け合わせに取り入れて。中でも、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンⅭ、ビタミンEには、細胞を酸化させる「活性酸素」を除去してくれる抗酸化作用があります。

 実は、疲労感やだるさの主な原因はこの「活性酸素」。脳や体のオーバーワーク、また夏の強い紫外線が目から入ってくることなどにより、体内では大量の酸素が消費され、その結果、活性酸素が増加します。
 活性酸素が増えすぎると、体内にもともとある抗酸化物質では十分に除去できなくなります。そうなると、細胞の修復が間に合わなくなって体の機能が低下し、パフォーマンスも衰え、疲労を感じてしまうのです。

 ビタミンAには鼻や喉の粘膜を強化し、ウイルスの侵入を防ぐ効果もあります。ビタミンCは白血球の働きを高め免疫力をアップ、ビタミンEは免疫細胞を活性化させ、体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退してくれる働きがあります。

 また、ニンニクやネギ、ニラに含まれる香り成分「アリシン」も、免疫細胞の活性化につながることが期待されています。豚肉に多く含まれるビタミンB1は、アリシンと一緒に摂ると吸収がよいとされています。

 肉類とこれら野菜をバランスよく摂ることが、夏バテ防止の近道なのです。

脂質は避け
手のひらサイズの量を!

 免疫力を上げるには、上記の栄養素を摂ることに加えて、腸の免疫機能を十分に機能させ、腸内環境を良好に保つことも欠かせません。

 そのためには、腸内環境を悪化させる「悪玉菌」を増やさないことがポイント。悪玉菌のエサは「タンパク質」と「飽和脂肪酸」なので、これらを過剰に摂ると、悪玉菌が増え、腸内環境に悪影響を及ぼしてしまいます。
 対して腸内環境を整える「善玉菌」のエサは主に「食物繊維」。野菜やきのこ、海藻、豆などに多く含まれているので、これらを意識しながらバランスよい食事をするのが理想です。

 悪玉菌を増やさないためには、肉料理の際、以下のことに気をつけるといいでしょう。

▶ ポイント1:適量をとる

  • 使う肉の量は成人で片手の「手のひら(指は除いた部分)」の大きさが目安

▶ ポイント2:脂肪の多い部位は避ける

  • 豚肉、牛肉ならヒレやモモを選ぶ
  • 鶏肉は皮を取り除いて使う
  • 羊肉は、部位ごとに売っていることが少ないので、脂の少ない商品を選ぶ(ラムチョップは脂質が多い)

 次回(【肉料理編②】)からは、豚肉、鶏肉、牛肉&羊肉を使った免疫力アップレシピをご紹介します!

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎藤井玲子(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)