おいしく免疫力アップ【肉料理編③】

ビタミンCと摂ると効果的! 「鶏肉」で活性酸素を取り除く

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「イミダゾールペプチド」が豊富!
砂糖やはちみつ、お酢でパサつき防止

 鶏肉の特徴は、アミノ酸の一種「イミダゾールペプチド」が豊富に含まれていること。渡り鳥やマグロ、カツオなどの回遊魚の筋肉中に高濃度に含まれ、食用肉では鶏胸肉に最も多いとされています。

 イミダゾールペプチドの特徴は、活性酸素を除去する働きが強く、疲労回復を助けてくれること。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がいいので、ビタミンCたっぷりのパプリカなどと組み合わせると効果的です。
 ただイミダゾールペプチドは水溶性なので、茹でると汁として溶け出てしまいます。いただくときは、できれば汁ごとで。

 鶏胸肉はクセがなく調理しやすいですが、難点はパサついてしまうこと。パサつくのは、細胞の中の水分が流れ出てしまうからなので、水分を外に逃がさないようにすることがポイントです。
 パサつき防止には調味料を活用します。
 今回ご紹介する1品目では、まず、水分(酒)と塩で鶏肉の細胞に水分をたっぷり含ませ、その上ではちみつを揉み込みました。はちみつの中の糖には、含ませた水分を細胞中に留める保湿作用があるのです。
 2品目ではお酢を使用しています。お酢(酸)は肉の線維をほぐして、柔らかくしてくれます。

カラフルな夏野菜たちが食欲をそそる!
アクアパッツアの鶏肉版
「鶏と夏野菜のアーリオオーリオ」

 1品目は、アクアパッツアの鶏肉版ともいえる、「鶏と夏野菜のアーリオオーリオ」です。肉と野菜を、オリーブオイルとニンニクを使って煮込みます。

 皮をはがした鶏胸肉は、観音開きにしたら、厚みがある部分をフォークで穴をあけます。細胞を壊して、「酒・塩・はちみつ」をしみ込みやすくするためです。火も通りやすくなります。漬け込んで一晩おくなら、穴をあけなくてもしっかりしみ込みます。
 酒は臭みを取るほか、肉を柔らかくする作用もあります。

 鶏胸肉のイミダゾールペプチドの吸収率を上げるため、ビタミンCを含むミニトマトのほか、β-カロテン豊富なカボチャ、ビタミンEやポリフェノールを含むオリーブといった夏野菜をたっぷり使います。
 見た目も鮮やかで食欲をそそる美しい仕上がりになります。

 オリーブには、グリーンとブラックの2種類があり、今回はグリーンを使用。色の違いは実の熟し具合によるものです。グリーンの方がまだ熟していない若い実でブラックよりもビタミンEは若干多く、ポリフェノールも多めに含まれています。熟成したブラックの実は、グリーンに比べてまろやかなのが特徴です。

 水分が出る料理なので、鍋か少し深めのフライパンを使います。そこにタマネギとニンニクを敷き、鶏胸肉を切らずにそのまま豪快にのせてください。野菜類も隙間を埋めるように投入しましょう。水と、コクを出すためにオリーブオイルを加えますが、脂肪分を控えたい場合はオイルなしでも。それでも十分、しっとりおいしく食べられます。

 食べるときは、バゲットを添えて。パンに汁を絡ませれば、鶏胸肉から溶け出たイミダゾールペプチドを余すことなくいただけます。
 キーンと冷えた白ワインが似合いそうです。

鶏と夏野菜のアーリオオーリオ

【材料】(4人分)

  • 鶏胸肉(皮なし)
    2枚(480g)
    • ≪A≫


    • 大さじ4

    • 小さじ1
    • はちみつ
      小さじ1/2
  •  
  • ミニトマト
    12個
  • タマネギ
    1/2個
  • ニンニク
    2片
  • カボチャ
    1/10個
  • グリーンオリーブ
    12粒

  • カップ1/4
  • オリーブオイル
    小さじ2
  • 粗挽き黒胡椒
    適量
  • パセリ
    好みで適宜

【作り方】

  • 鶏胸肉は観音開きにしてフォークで全体に穴をあけ、合わせたAを揉み込む。タマネギは薄切り、ニンニクはみじん切りにする。カボチャは1cm幅に切る。
  • 鍋にタマネギ、ニンニクを敷き、その上に鶏肉をのせる。空いているところにミニトマト、カボチャ、オリーブを散らし、水、オリーブオイルを加えて強火にかける。
  • 液体がふつふつ煮立ってきたら蓋をしてごく弱火にし、10 分ほど加熱する。仕上げに粗挽き黒胡椒をふり、好みでパセリを散らす。

ビタミンの宝庫、パプリカと一緒に!
ごはんにかけても◎
「鶏のスイートサワー煮」

 2品目は、そぎ切りにした鶏胸肉とビタミン豊富な野菜を炒めて、甘酸っぱく味付けた、これも夏らしい彩りの一品です。

 肉をそぎ切りにするときは、柔らかな食感にするために、繊維を断ち切るようすることがポイント。
 鶏胸肉には葉っぱのように、真ん中から放射状に筋肉の繊維が伸びています。その繊維に対して、垂直に(直角になるように)切っていきます。そうすることで、繊維が壊れて硬さを感じなくなるのです。
 切り方ひとつで食感が違ってくるので、ぜひお試しください。

 そぎ切りにしたら小麦粉をはたきます。煮汁にとろみをつけるためですが、外に肉の水分が抜けないようにする効果もあります。

 一緒に炒める野菜たちも、夏にうれしい元気が出る食材です。
 ビタミンCたっぷりのピーマンは、β-カロテンやビタミンEも含んでいて、抗酸化作用が高い野菜の代表格。
 そのピーマン以上に注目したいのが、パプリカです。β-カロテンはピーマンの3倍近く、ビタミンCも2倍以上含んでいて、まさにビタミンの宝庫! もちろんビタミンEもたっぷりです。

 ピーマンもパプリカも加熱してもビタミンCは壊れにくく、油で炒めることで甘みもアップします。
 またパプリカは見た目がピーマンに似ていますが、ピーマンのように苦みはありません。それでも苦手意識がある場合は、すり下ろして使ってみてください。すりおろしても栄養素は壊れません。

 炒まった肉と野菜に加えるトマト水煮にもβ-カロテンは含まれています。ここでお酢を投入。肉は柔らかくなり、煮る時間も短縮できます。

 柔らかく煮た料理なので、器に盛ったら仕上げにピクルスを散らし、シャキシャキ食感を楽しんでください。
 ビタミンがたっぷり摂れるほか、酢やピクルスを使っているので、クエン酸も加わったパワーみなぎる料理です。ご飯にカレーのようにかけると、ご飯が進んで止まりません。さっぱりといただける、クセになる夏のごちそうです。

鶏のスイートサワー煮

【材料】(4人分)

  • 鶏胸肉(皮なし)
    2枚(480g)
  • タマネギ
    1個
  • パプリカ
    1個
  • ピーマン
    2個
  • トマト水煮
    400ml

  • 大さじ4
  • 醤油
    大さじ2
  • はちみつ
    大さじ1
  • オリーブオイル
    小さじ2
  • 小麦粉
    適量
  • ピクルス(輪切り)
    4本

【作り方】

  • 鶏胸肉は繊維に垂直に1cm幅のそぎ切りにし小麦粉をうすくはたく。玉ねぎは1.5cm角、パプリカは4つ割りにして1cm幅、ピーマンは輪切りにする。
  • フライパンにオリーブオイルを熱し、鶏胸肉を並べ薄く色づくまで両面を焼く。タマネギ、パプリカ、ピーマンを加え3分ほど炒める。
  • 2にトマト水煮、酢、醤油、はちみつを加え、少しずらして蓋をして10〜15分ほど煮る。器に盛り、ピクルスを散らす。

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎藤井玲子(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)