おいしく免疫力アップ【魚料理編①】

オメガ3系脂肪酸たっぷりの
魚料理でウイルス知らずに!

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現代人に不足しがちな「オメガ3系脂肪酸」

 魚料理は、「においがつく」「処理がめんどう」「料理のレパートリーが少ない」などと、敬遠されがちかもしれません。でも魚には体をつくる「タンパク質」、抗酸化作用のある「ビタミン」、アンチエイジングが期待できる「コラーゲン」、血圧を下げる「タウリン」など、私たちの体に重要な栄養素がぎゅっと詰まっています。なかでもイワシやサバ、サンマなどいわゆる青魚と呼ばれている魚に豊富に含まれているのが、「オメガ3系脂肪酸」です。

「オメガ3系脂肪酸」というのは、「脂肪酸」の一つ。脂肪酸には大きく、常温で固まる「飽和脂肪酸」(バターやラードなど)と、常温でも固まらずに液体のままの「不飽和脂肪酸」の2つがあります。「オメガ3系脂肪酸」は不飽和脂肪酸の一つで、魚のほか、シソ油(エゴマ油)やアマニ油にも多く含まれています。不飽和脂肪酸にはほかに、「オメガ9系脂肪酸」(オリーブオイルなど)、「オメガ6系脂肪酸」(サラダ油など)があります。
 これらの脂肪酸をバランスよく摂ることが健康につながります。
 オリーブオイルやサラダ油は日常的に使う人も多いと思いますし、さまざまな加工食品に含まれていることもあるので、私たちは自然にこれらの油は多く摂っています。一方で、なかなか摂れないのがオメガ3系脂肪酸です。ですから魚を積極的に食べるようにしたいですね。

抗ウイルス作用、血液サラサラ、
中性脂肪の合成抑制など、いろんな効果が

 では、「オメガ3系脂肪酸」には、どんな効果が期待できるのでしょうか。

 血液を固まりにくくする、動脈硬化予防、コレステロール低下、抗アレルギーなどの効果が期待されるほか、インフルエンザウイルスなどへの抗ウイルス作用があるといわれています。ウイルスの侵入をブロックしてくれる細胞膜を健全に保ってくれる働きがあるのです。ただ、オメガ3系脂肪酸は活性酸素によって酸化してしまうと、細胞膜を健全に保てなくなってしまいます。酸化を防ぐには、抗酸化作用のあるビタミンが豊富な食材を一緒に摂るといいでしょう。

 また、ご存じの方も多いでしょうが、魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富です。この2つもオメガ3系脂肪酸に分類されます。
 DHAは、脳を活性化させ、記憶力をアップさせるといわれているほか、認知症の予防や改善も期待されています。EPAは、血管や血液などの健康維持のために必要な栄養素で、血中の中性脂肪値を下げて、いわゆる血液サラサラ状態にしてくれます。

サーモンにはビタミンDが豊富!
抗炎症物質を増やしてくれる

ほかの魚に比べ、ビタミンDを豊富に含むサーモン。

 今回の企画で紹介するレシピは青魚を使用したものが中心ですが、1品目ではサーモン(鮭)を使ったレシピを紹介します。鮭にももちろんDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸が含まれますが、鮭に特徴的なのは、ビタミンDを多く含んでいることです。

 ビタミンDの働きは、抗炎症物質を増やし、炎症を誘発する物質を減らしてくれること。血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくる働きもあります。

 ビタミンDはほかの栄養素に比べて、“豊富に”含まれる食材がそれほど多くないのですが、鮭やキクラゲ、干しシイタケが代表食材です。ただビタミンDは、日光に当たることである程度体内でつくられる栄養素なので、多くの場合は不足する心配はありません。けれども日差しの弱い高緯度の地域に住んでいたり、年間を通して日焼け止めを使用したり、あるいは加齢などによっても十分に合成されないこともあります。また、とくにこれからの秋や冬は日差しが弱くなる上に、感染症にかかりやすくなる季節でもあるので、意識して食べ物から摂るようにしたいですね。

 次回(【魚料理編②】)からは、サーモン(鮭)、サンマ、サバ、イワシを使った免疫力アップレシピをご紹介します!

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)