
スタミナアップ&夏バテ防止におすすめの肉料理を、管理栄養士の美才治真澄さんに教えていただきました。手軽においしく、そして見た目も美しく、かつ効率よく栄養が摂れるとっておきの夏レシピです。最初にご紹介するレシピは、価格も手頃で調理のバリエーションも多彩な「豚肉」を使った2品。2品とも、脂肪分の少ない赤身の肉を使います。
豚肉には「疲労回復のビタミン」ともいえるビタミンB1が、鶏肉や牛肉など他の肉に比べてたくさん含まれており、特に豚ヒレ肉には豊富です。
ビタミンB1は、糖質を燃やしてエネルギーに変換するときに必要な栄養素。また、糖質を栄養源としている脳神経の働きを正常に保つ働きもあります。
ビタミンB1が不足すると、エネルギーに変換する機能が低下し、乳酸などの疲労物質が体内に溜まってしまいます。その結果、疲労を感じたり、筋肉痛を引き起こしたりします。また、エネルギー不足になってしまうため、さまざまな臓器に支障が出ることも。
ただ、ビタミンB1は私たちの体内でつくることも貯めることもできません。その上、水溶性なので汗をかくと失われやすく、夏は特に意識して摂りたい栄養素です。
逆に摂りすぎると尿に排出されるので、過剰摂取の心配はありません。
まずご紹介するレシピは、ビタミンB1が特に多く、かつ脂肪の少ない赤身部位「ヒレ」を使った「豚ヒレ肉のキウイ味噌漬け」です。
豚ヒレ肉をキウイと味噌で漬け込んで焼くだけの、とっても簡単料理ですが、「え? キウイと味噌……?」と頭の中にクエスチョンマークが出てきた人もいるかもしれません。
実はキウイにも味噌にも、タンパク質分解酵素が含まれています。漬け込んでおくと、この酵素によってタンパク質細胞がほどよく分解され、肉が柔らかくなるのです。しかもキウイと味噌を使うことでW効果が期待でき、より短時間で柔らかに。栄養面でもおいしさの面でも満足度の高い一品です。
ただ、30分以上漬け込むと、細胞分解が進んで肉がポロポロとほぐれてしまいます。「ポロポロ肉が好き!」という人以外は、冷蔵庫に一晩寝かせるなどの「作り置き」はしないほうがいいでしょう。
キウイは、クレソンと一緒に付け合わせのサラダとしても使っています。
キウイは果物の中でもビタミンⅭの含有量がトップクラス。ビタミンⅭは抗酸化力が強く、免疫力を高めてくれるので、バテやすい夏にはしっかり摂りたい栄養素の一つです。
キウイにはクエン酸も含まれています。クエン酸は、エネルギー効率を高めてくれる成分で、ビタミンB群と一緒に摂るとより効果的。豚肉との相性はバッチリなのです。
今回はゴールドキウイを使用しました。ゴールドキウイはグリーンキウイの2倍のビタミンCを含んでいます。また甘みがあるので、みりんのような役割をしてくれています。
もちろんグリーンキウイを使ってもOKです。グリーンキウイのほうがやや酸味があるので、酸っぱいほうが好きだという人はお試しください。
豚肉の2品目は「カレーママレードポーク」です。
このレシピでは、脂肪の少ない赤身部位「もも」の薄切り肉を使います。薄いのでマリネ液ともすぐなじみ、オーブンで焼くのにもたいして時間がかかりません。手早く料理したいときにぜひトライしてみてください。
さらにおすすめポイントは、ガスコンロを使わないこと。火の前に立って作業をしなくてすむので、暑い夏にありがたいレシピです。
A ≪マリネ液≫
≪キャロットラペ≫
管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。
撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎藤井玲子(cooking Clocca)
文◎江頭紀子