おいしく免疫力アップ【アブラナ科料理編①】

“台所のドクター”アブラナ科をフルコースで堪能しよう!

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栄養価の高い「アブラナ科」の野菜たち

「アブラナ科」というと、その名から「菜の花(アブラナ)」を連想する方が多いと思います。実は、小松菜、水菜、ケールなどの葉物類のほか、キャベツやブロッコリー、カリフラワーなどもアブラナ科の仲間です。
 重量感のある野菜も含まれるとは意外に感じるかもしれませんが、いずれも苗や花が似ています。特に花は、花弁が4枚のかわいらしい十字型なのが共通しています。それがアブラナ科の植物としての特徴です。

 栄養面では「台所のドクター」と呼ばれるほど、健康にいいパワーを秘めています。
 たとえば抗酸化作用のあるビタミンC、血液を固めたり骨や歯を丈夫にしたりするビタミンK、強い抗酸化力を持ち細胞の老化を防ぐビタミンE、造血作用がある葉酸といったビタミン類をはじめ、骨や歯をつくるカルシウム、細胞の正常な活動をサポートするカリウム、そして腸内環境を整える食物繊維など。私たちの健康を支えてくれる野菜といえます。
 腸内環境を良好に保つことは免疫力アップにつながるので、特に積極的に食べたい食材といえます。

ビタミンや食物繊維だけではない!
いろんな「フィトケミカル」も

 さらに着目したいのは、アブラナ科には、ビタミンやミネラルなどの栄養素には分類されない「フィトケミカル」という成分が含まれていること。
 フィトケミカルは、植物に含まれる化学物質の総称で、色や香り、アク、辛みなどの成分です。数千種類あるとされ、抗酸化作用による老化予防、代謝の促進、免疫力向上、脳機能の強化など、健康貢献に期待される機能が多く、近年脚光を浴びています。

 代表的なフィトケミカルは、強い抗酸化作用をもつポリフェノール。ポリフェノールといえば、赤ワインやブルーベリーに含まれるアントシアニン、緑茶に含まれるカテキンが知られていますが、アブラナ科には「イソチオシアネート」「インドール類」「スルフォラフォン」などのポリフェノールが含まれています。


「イソチオシアネート」は刻んだりかんだりすると発生する辛み成分で、抗がん作用があることが認められています。
「インドール類」は抗ウイルス効果があるといわれているので、免疫強化が期待できそうです。
「スルフォラフォン」は、肝臓の持っている解毒・抗酸化・抗炎症といった防御機能を高める働きがあると言われています。

 また、アブラナ科の中でもケールやブロッコリーなど色の濃い野菜に含まれているのが色素成分の「β-カロテン」です。これは聞き慣れているかもしれませんが、β-カロテンもフィトケミカルの一つなのです。抗酸化作用があり、免疫機能を高めたり生活習慣病の予防が期待できたり、皮膚や粘膜を正常に保ったりと、注目されている成分です。

注目株の「ケール」は
多くのアブラナ科のルーツ

 栄養価の高いアブラナ科の中でも、近年、特に注目されているのがケールです。
食材でありながら豊富な栄養成分や機能成分を含み、まるで健康食品のようなので、“スーパーフード”と呼ばれることもあります。

 ケールといえば、健康飲料である青汁を思い浮かべる人もいるかもしれません。そのため「苦いのでは」と敬遠されがちでしたが、最近は優れた栄養成分があることが知られるようになり、人気上昇中です。

 ケールは、キャベツやブロッコリーなど多くのアブラナ科のルーツともいわれています。葉が大きく発達したものがキャベツに、茎が発達したものがブロッコリーやカリフラワーに、枝分かれして発達したものが芽キャベツに変化していきました。
 ちなみに私たちが食べているブロッコリーやカリフラワーは、花蕾(からい)という花のつぼみや茎の部分です。

 次回からは、これらアブラナ科の野菜たちを使って、前菜からメインまでフルコースで楽しめるレシピをご紹介します。

<お話を伺った方>

美才治真澄さん

管理栄養士、フードコーディネーター、女子栄養大学生涯学習講師。香川栄養専門学校(女子栄養大学短期大学部)卒業後、(株)ダイエットコミュニケーションズにて荒牧麻子氏に師事。企業、メディアに向けたメニュー提案や栄養相談、料理教室、オーダーメイドケータリングなどを中心に活動を行っている。

撮影◎粟井信行(昭和基地 ¥50)
スタイリング◎時吉真由美(cooking Clocca)
文◎江頭紀子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)