なんと5層構造! その技術にビックリ!
外界と室内のつながりを作る窓は、快適な空間の実現には不可欠な住宅設備のひとつ。光や風、そして家の周りの景色を室内に採り入れることで、室内を明るく快適にしてくれます。
そして今、これまでにない視点で、家づくりや家のリフォームにおける窓の機能、性能についての関心、「高性能な窓」のニーズが、かつてないほど高まっています。
LIXILでは、このニーズに応えて新技術を導入した世界トップクラスの機能、性能を備えた新しい窓を続々と開発。
LIXILショールーム東京にもこの「進化した新しい窓」が多数展示されています。
ではなぜ、窓は大進化したのでしょうか。
その最大の理由は、待ったなしの地球温暖化対策です。
空気中の二酸化炭素を減らし、地球温暖化にストップをかけるには、冷暖房に必要なエネルギーをできるだけ減らす、つまり省エネ化することが求められています。
日本においても、公共施設や商業ビルの省エネ化はもとより、個人の住宅にもかつてないほど高い省エネ性が求められています。
そして、個人住宅の省エネ性をもっとも大きく左右するのが、窓の断熱性能なのです。
「住宅の省エネ性能のアップ=窓の断熱性アップ」は、冷暖房費の削減以外にも、住む人に大きなメリットをもたらしてくれます。
寒い時には室内の熱が外に熱が逃げないので家の中が暖かくなる。
そして暑い時には、室外の熱が室内に侵入しないので家の中が涼しくなる。
つまり、年間を通じて室内の快適性が格段に向上します。
そのうえ、部屋と部屋の温度差も少なくなって、高齢者の大きな死亡原因になっている「ヒートショック」の対策としても非常に有効なのです。
優れた開放性と、
壁と同等の断熱性を両立
今回の窓コーナー探検、「まさか、窓がここまで進化しているとは知りませんでした」という驚きの言葉と共に東儀さんがまず足を止めたのが、窓コーナーに展示されていた、世界最高峰の断熱性能を誇る高性能窓「レガリス」の前です。
日本ではしばらく前まで、窓といえば「アルミサッシ+1枚ガラス」の窓が当たり前でした。
ところがこのタイプの窓は、素材であるアルミの熱伝導性が非常に高く、断熱性は驚くほど低い、そしてこのこれが、日本の家が「冬は寒く夏は暑い」ことの最大の原因でした。
断熱性の高さだけでなく、窓の透明度にも驚く東儀さん。
その後、窓の素材は、アルミから「アルミと樹脂のハイブリッド素材」や「樹脂素材」へと進化を遂げます。
またガラスの数も2枚から3枚、4枚、さらに5枚へ。
しかもガラスとガラスの間に特殊なガスを封入することで、断熱性能はいっそう向上しました。
その一方で、ガラスの多層化による開放感の減少を解決する新技術も開発され、優れた開放性と断熱性、並び立たないと思われていた性能を両立した製品が登場したのです。
こうした技術の集大成といえる「レガリス」は、日本が世界に誇る世界最高峰の窓シリーズ。ガラスは何と5層構造です。
そしてそのガラスは、LIXILと世界的なガラス専門メーカーが開発した「Low-E」と呼ばれる特殊ガラス。1枚1枚を薄くすること、ガラスとガラスの間に特殊なガスを充填すること、さらに断熱性に優れて軽量な樹脂フレームと組み合わせることで、壁と同等、世界最高水準の断熱性能を、従来のガラス3層構造と同じ軽さを実現しました。
しかもフレームの枠を細くすることで、ガラス面積を最大限に確保。
さらに2種類の「Low-E」ガラスを組み合わせることにより、5層構造ながら優れた透明性を維持し、これまでにない開放感を実現しています。
「見た目では、とても5層構造には見えません。2重サッシくらいかと思いました。遮音性も高いそうですね。うちは音の発生源だからこのあたりも気になります」と、東儀さんも驚きを隠せません。
リビング用、大型の引き違い窓の
展示コーナーも
さらにLIXILショールーム東京では、この「レガリス」以外にも、ガラスが3層構造で樹脂フレームの「エルスターX」や、アルミ(耐久性・採光性・デザイン性に優れる)と樹脂(断熱性・防露性に優れる)という2つの素材の良さを生かしたハイブリッド窓「サーモスII-H」「サーモスL」も展示されています。
LW スライディング
枠にはまらない開放感開けても閉めても外とつながる、
1枚障子のスライドスタイル。
ガラス面が大きく、通常の窓にあるフレームがないため、部屋の内の外の境目がない感覚になる「片引き窓」。通常の引違いと同じ戸車で動かす構造だが、特殊な「ベアリング内臓戸車」のため、スムーズに開閉できる。ハンドルとともにロックも壁の中に収納されているので、ロックの位置がわかりづらくなっている。
ショールームの左奥には、庭に面したリビングをイメージした大型の「片引き窓」の展示もあります。窓のロックとともに壁の中にスッキリと収納されたハンドルで操作をするタイプで、開けたときはもちろん、閉めたときの開放感も抜群。
そのうえ、通常の引違いと同じく、下レールの上を戸車が走る構造ですが、ベアリングの入った特殊な戸車を使っているので、大きい窓なのに少しの力でスムーズに動きます。
「フレームが本当にスリムで開放感は抜群。閉めたときのスッキリ感、美しさも素晴らしいですね」と東儀さん。
LIXILには、窓全体を取り替えるのではなく、既存のアルミサッシの内側に取り付けることで、窓の断熱性を一気に向上させ、今よりも格段に快適な室内を実現できる窓リフォーム用の「インプラス」という製品もあります。
LIXILショールーム東京には、この「インプラス」を設置したリフォーム空間展示コーナーもあります。窓リフォームを考えている方には、こちらも見逃せません。
次回は住宅の外観を魅力的に変身させてくれる外装材、外装タイル、さらに室内の雰囲気を一新させ、優れた機能で快適にもしてくれる内装タイルをご紹介します。
(第9回に続く)
インプラスウッド/インプラス/インプラス浴室仕様
ハイブリッドで暮らしが変わる。明るく開放的なパノラマ空間を実現するTOSTEMのハイブリッド窓。
東儀秀樹さん
雅楽師
1959年、奈良時代から今日まで1300年間雅楽を世襲してきた楽家に生まれる。高校卒業後、宮内庁楽部に入り、篳篥(ひちりき)を主に、琵琶、太鼓類、歌、舞、チェロを担当。宮中儀式や皇居において行われる雅楽演奏会などに出演するほか、海外での公演にも参加、日本の伝統文化の紹介と国際親善に勤める。2019 年 8月、オリジナル作品や雅楽の古典曲を現代風にアレンジした作品、また、昨年世界中で人気が再燃した QUEENのカバー曲など東儀秀樹さんの世界観と魅力を存分に楽しめるアルバム「ヒチリキ・ラプソディ」をリリースするなど、幅広い音楽活動を行う。また、俳優として活動に加え、乗馬、クラシックカーレース参戦、陶芸、ギター、イラスト、写真、マジックなど、幅広い趣味人としても知られている。著書に『すべてを否定しない生き方』『雅楽:僕の好奇心』『東儀家の子育て 才能があふれ出す35の理由』など。皇學館大學特別招聘教授、上野音大、名古屋音大、池坊短大、大正大学、國學院大の客員教授を務める。
文◎渋谷康人 撮影◎村越将浩
LIXILショールーム東京
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