昨日片付けたのに……“綺麗な部屋”が続かない3つの理由
「綺麗なお部屋」が長続きしない理由には、大きく分けて3つあるといいます。
「1つ目に挙げられるのが、“モノが多すぎる”こと。どんな家でも収納スペースは限られているので、モノがそれ以上になれば当然溢れてしまいます。まずは、おうちの適正なモノの量を把握することが大事です。
2つ目に、“収納するのが面倒なしくみ”になっていること。例えば、引き出しの中に蓋つきの箱を使って収納するしくみだと、引き出しを開けて、その次に箱の蓋を開けて閉めて……と片付けの手順が増えてしまいます。また、引き出しの中に蓋つきの箱がいくつもある場合は、何個か蓋を開けて中身を確認する手間もかかります。
引き出しの中は、上から見て何が入っているか一目でわかることが大事です。手を掛ける回数を少なくし、面倒をなくしましょう。
3つ目に “モノの場所が決まっていない”というのも問題です。どこに置いたらよいかわからないものをボードや机の上に置く習慣がついてしまうと、気付いたときには机や床がモノで散乱してしまいます」
こうした問題を解決するには、どうしたらいいのでしょうか。
石牟礼さんに、簡単に実践できる「5つのルール」を解説いただきました!
【ルール1】動線を考えて「使う場所」に置く
「整理収納で抑えておきたい最初のルールは、“動線を意識してモノの置き場を決める”こと。動線とは、いつもどのように自分が動いているか、ということ。モノを使うときの動きに合わせて、使う場所に使う分だけ、モノを置くようにするのです。
例えば、ハサミは、ダイニングで封筒の封を切ったり、洗面所で洗剤の封を切ったり、玄関で新聞を捨てるときにまとめる紐を切ったりと、様々な場所で使います。その度にいちいちハサミを取りに行くのは面倒です。そのため私は、ダイニング、洗面所、玄関など、使う場所に1つずつハサミを置いておきます。そうすることで、使いたいときにすぐに取り出せて、片付けもしやすくなるのです。
散らかりやすいキッチンでも、同様のことがいえます。
お箸はケースなどにまとめているお宅が多いと思いますが、わが家では、引き出しのケースには家族3人分のお箸だけを入れています。普段は使うことのない来客用のお箸は、別の場所に置いています。普段使う分だけを分けて収納することで、毎食、家族の分だけ取り出しやすく、セット組みもしやすくなります。
また、来客用のお箸は全て同じモノで統一しています。こうすれば、取り出す際にもう片方のお箸を探す手間を省くことができますよ」
「モノを置く場所については、『これはここ』と、固定概念を持っている人が多いですが、自分はどうやったら使いやすいか・片付けやすいか、を軸に考えてみましょう」
【ルール2】ダイニングテーブルにモノを置かない
ダイニングテーブルには、何も置かないことを習慣に。
2つ目のルールは、ダイニングテーブルにモノを置かないこと。
「人の心理として、何もない空間にたった1つ、モノが置いてあると気になるものです。ダイニングテーブルに普段から何も置かないようにすると、コップ1つ残っているだけで目につき、気になるもの。そうすると、自然とモノを置きっぱなしにしなくなります。
一方、ダイニングテーブルに書類や薬など、たくさんのモノが置いてあると、『とりあえずモノを置いていい場所』という意識を、家族みんなが持ってしまいます。
ダイニングテーブルにモノを置かないことで、食器や書類、子どもの勉強道具など、ダイニングで使ったものはすぐに片付ける……という意識が、家族の中に生まれます。ダイニングテーブルは部屋の中でも広いスペースを占めるので、ここが綺麗に片付いていることで、部屋全体がすっきり広々と見えますよ」
【ルール3】便利な「色」や「イラスト」を駆使しよう
マグカップも、ご主人は緑系、自分は黄色系、娘さんはピンク系と、色を決めています。
3つ目のルールは、「色」や「イラスト」で、収納場所を認識しやすくすることです。
「私が収納に“色”や“イラスト”を使いはじめたきっかけは、脳のしくみについて学んだため。よく左脳派、右脳派という言葉を聞きますが、左脳派の人は言語認識能力が優れているため、収納にラベルを貼って文字で示すだけでも認識できます。
一方、右脳派はイメージでモノを認識する傾向にあり、文字で書いてあるよりは色やイラストなどからイメージできるラベルがあったほうが、瞬時に認識しやすいのです。このことからヒントを得て、色やイラストを使った工夫をはじめました」
石牟礼さんは、書類をしまうクリアファイルについて、お金関係は黄色、緊急性の高いものは赤、対応済みのものは透明、といった具合に、色を決めて使っています。そうしておくことで、必要なときに時間をかけて探すことなく、ファイルを取り出せるのです。
「色やイラストを使った収納法は、お子さんにわかりやすいのもメリットです。例えば、幼稚園や保育園では子どもの持ち物にはすべて名前を書くことになっていますが、名前の横にお花、食べ物、動物などのシールをつけてお子さんのマークということにすれば、まだ字が読めないお子さんでも、自分のモノがすぐにわかります。
わが家では、家族それぞれが使う色を決めていて、マグカップやひざ掛けなども、それぞれの色のモノを使っています。そうすると、ダイニングにカップが置きっぱなしになっていたとしてもすぐに誰のモノかわかります。自分のモノという意識が高まるから、自然と自ら片付けるようになるのです」
【ルール4】モノは収納場所を考えてから手に入れる
今は、ネットで気軽に買い物ができるようになって、思いついたらすぐに何でも手に入る時代になりました。そのことは便利な半面、モノが増えすぎる原因にもなります。
「おうちの収納キャパシティ以上にモノを持ったり、使っていないモノが増えたりすることは、部屋が片付かない原因になります。モノを購入するときは、どこに収納するか、要らなくなったらどうするか、これがあったら生活がどう変わるかなど、いろんな角度から考えて購入することが大事です。
ショッピングセンターで欲しいものがあったときも、一旦保留してぐるりとショッピングセンターを一周してから考える、ネットで購入する前にはすぐに決済するのではなく、カートにしばらく入れておいてから検討するなど、心が落ち着いた状態で購入することが大事です」
【ルール5】 お部屋を飾るときはメンテナンスにも注意
お部屋が片付いてくると、お部屋を演出するためにインテリアグッズや小物を飾りたくなるもの。ただ、インテリアを飾るときにも注意が必要です。
「何かを飾るときは、その後のメンテナンスについても考えておきましょう。特に、形が複雑なフィギュアや置物、観葉植物などは、埃がついたとき落とすのも大変です。何かを飾りたいなら、なるべく直線的なものがベター。小物はケースに入れるなどして、メンテナンスをしやすくておくとよいでしょう」
お部屋が片付けば、家族も家事に参加しやすくなる!
石牟礼さんが教えてくれた整理収納のルールに沿って、綺麗なお部屋を維持できるようになった方からは、「家族が家事を手伝ってくれるようになった」という声をよく聞くそうです。
「何がどこにあるか、家族みんながわかるようになると、お子さんが食器を自ら用意するようになったり、ご主人が料理をするようになったりと、家族が家事に参加しやすい環境が整います。家族みんなで協力して家事をすることで、コミュニケーションも生まれます。
私の提案するルールは、部屋がモデルルームのように綺麗になる……といったものではないかもしれません。でも、手間を省き、暮らしをラクにするためにはとても有効です。ぜひご自身の暮らしにも、整理収納のルールをとり入れていただければと思います」
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