今日からできる! 誰でもできる! SDGs入門[第3回]

買い物編[2] 地元のお店で必要な分だけ買う

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SDGs達成に貢献する買い物の仕方

 ひと口に買い物と言っても、さまざまな方法があります。どのような買い物の仕方をすればSDGs達成に貢献すると言えるのでしょうか。

【具体的アクション】

  • 買い物は地元のお店も
  • 買い物に行くときはエコバッグを持って
  • 冷蔵庫の扉に食材と賞味期限を記したメモを貼っておく
  • 地産地消を心がける
  • なるべくプラスチックの梱包材を使っていない食材を選ぶ
  • 積極的に訳あり品を買う
  • SDGsに積極的に取り組んでいる企業の商品を買う
  • 本は本屋で買う

「まず、買い物は地元のお店で行うことをおすすめします。地元のお店で商品を買うことで経営を支援すれば地元の雇用も守られるし、長距離輸送の運賃も減らせるので、余計な経費がかからずに済むというメリットもあります。

 2020年にレジ袋が有料化されたこともあり、最近はエコバッグを持つ人が増えました。これもプラスチックの削減につながります。また、買い物に行くときはバイクや車ではなく、なるべく歩いて行くことをおすすめします。もちろんCO2の排出量の削減につながりますが、それだけではなく、手で持って帰ることのできる量しか買わないので、フードロスや不用品の削減になります。さらに、歩くことで健康増進にも効果があるので、本人にとってもメリットがあるのです」

 そもそも、ごみの削減やフードロスを抑えるという意味では、余計な物を買わないことも重要です。特に生鮮食料品は、消費期限が短いので、有効な手段が「冷蔵庫の見える化」です。

「買い物に行く前に、冷蔵庫の中身を把握するくせをつけることも一つの方法です。例えば冷蔵庫の扉に、冷蔵庫の中にある食材と賞味期限を記したメモを貼っておけば、余計な食材を買わずに済むのではないでしょうか」

©photoAC

 どうしても余ってしまった生鮮食材や食べきれなかった残り物は、早めに冷凍することを心がければ、ごみの削減とフードロスを防ぐことにつながります。

「ジャムや茶葉などお土産にもらったりすると、実際にすべての食材を使い切るのは大変ですよね。だからこそ、生鮮食料品から、冷蔵庫の見える化から、そこを見直すだけでもフードロス削減につながるのではないでしょうか」

SDGs達成に貢献する商品の選び方

 次に、買い物に行った先でどんな商品を買えばいいのか、その選び方を解説していただきます。

「地元で採れた食材を購入して食べる“地産地消”はとってもSDGs達成に貢献できます。まず、地産地消は長距離トラックや飛行機による物品の運送をしていないため、CO2排出量が抑えられ、地球温暖化の防止に貢献します。同じ理由で、地産地消とまではいかなくても、外国産よりも国産のお肉を選ぶ方が、よりSDGsにつながります。当然ながら、海外から日本に運ぶほうが距離も時間もかかり、それだけCO2排出量も増えるからです。

 環境省が発表している2100年の天気予報では、今気温上昇を1.5度以内に押さえなければ、最大平均気温4.8度あがるという予測がされています(※1)。もしこのまま温暖化が進んで日本から四季が失われたら悲しいですよね。100年後、子どもたちに“昔は日本には四季があって冬はスキーができたんだよ”なんて言いたくないですよね。未来世代の子どもたちにとっては、自分のせいじゃないのに、現世代が温暖化を食い止められなかったからそうなるのは、理不尽以外の何ものでもありません。私たちが、長距離トラックや飛行機で運ばれた商品を積極的に買う生活を続けることでそうなるリスクが高まるのであれば、少しずつでも減らした方がいいのではないでしょうか」
(※1 参考リンク:https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/2100weather/

 そのほかにも地産地消にはさまざまなメリットがあると言います。

「地元の農業を守ることになり、SDGsの目標の2(飢餓をゼロに)の中のターゲット“持続可能な農業”にも関係します。また、大規模農業になればなるほど人のつながりが見えづらくなるので、農業を守ることが15(陸の豊かさも守ろう)ことにも13(気候変動に具体的な対策を)にも貢献します」

 商品の包装の仕方で選ぶという視点もあります。

「お肉や魚などの食材をプラスチックトレイではなく、ビニール袋で包んでいるお店も増えています。そういうお店で買うとプラスチック使用量の削減になるので、十分SDGsに貢献しています」

 こういったお店が近所になくて少し離れたところにある場合でも、歩けば健康増進になるので、歩いて行くといいでしょう。

積極的に訳あり品を買う

 フードロスを含め、ごみの削減という意味では、帰ってすぐに食べるのであれば、消費期限が近づいて割引された「お買い得品」「おつとめ品」や傷モノ、型落ち、在庫処分品などの「訳あり品」や「アウトレット品」を積極的に購入するのも有効です。

「日本では、味や栄養価は変わらない同じ野菜なのに、形や色が少し規格から外れただけで市場では売れません。そのために農家でも、商品にならないという理由で作物を大量廃棄していると言われています。また、賞味期限や消費期限も厳しく(※2)、小売店は毎日売れ残った食べ物を大量に廃棄しなければなりません。とてももったいない話ですよね。これらの訳あり品を購入することでごみの削減に大いに貢献できます」
(※2 賞味期限や消費期限は、消費者の安全と安心を守ることを目的として、食品衛生法等で守られています)

©photoAC

 それだけではなく、訳あり品やおつとめ品は通常の商品よりも割安なので、私たちのお財布にやさしいというメリットもあるのでおすすめです。

「今まではお金をたくさんもっていることが豊かだとされる風潮が強かったですが、SDGsという考え方が入ることで、世の中の価値基軸が変わることを期待しています。多くの方がSDGs達成に共感されれば、経済と環境と社会の調和がとれている豊かさについても理解が進むのではないでしょうか。急激には変わりませんので、過渡期だと感じています」

SDGsに積極的に取り組んでいる
企業の商品を買う

 作っている企業のSDGsに対する意識をチェックすることも有効です。

「私は、新商品を購入するときは、製造元の企業のサイトのCSRのページを見て、どの程度SDGsに取り組んでいるかをチェックします。情報開示が適切だと思ったら、その会社の製品を買うようにしています。「環境市民」というNPO法人(※3)は、“買い物は投票”だと主張しています。選挙に行って政治家を選ぶのと同じように、買い物をすることは、作り手である生産者や企業に投票していることになります。私たちが支持する生産者や企業が増えれば、SDGs達成がより早まるのではないでしょうか。買い物をする時、この意識をもってみてはいかがでしょう」
(※3 参考リンク:http://www.kankyoshimin.org/

「そういう意味ではLIXILもユニセフと協力してアフリカなどで子どもたちの健康を守るため、衛生的なトイレや手洗い設備の開発・普及をしています(※4)。LIXILが企業として先駆的に持続可能性を意識し、SDGsに取り組んでいること自体、素晴らしいことですし、その活動をオウンドメディアで発信してお客様と共有していることも世界の支持を得られると思います」

(※4 参考リンク:
●LIXILとユニセフのパートナーシップ“ Make a Splash! ”
https://www.lixil.com/jp/makeasplash/
●住まいの省エネやユニバーサルデザインなど、LIXILの住まいを通じたSDGsへの貢献
https://www.lixil.com/jp/sustainability/sdgs/

好きな場所を守るためにも

 買い物は、地球環境の保全だけではなく、コミュニティを守ることにも貢献できます。

「今は、コロナパンデミックの影響もあり、ネットショッピングが盛んです。それ自体は悪いことではないのですが、例えば本屋という居場所や空間を潰したくなければ、本だけは地元で買うようにするという方法もあります」

 地元の本屋さんって、そこにいるだけでうれしくなったりほっとしたりしませんか?
 そんな街の中の自分の好きな場所を守ることは、11(住み続けられるまちづくり)や、本屋がなくなれば雇用もなくなるので8(働きがいも経済成長も)にも関係するのです。

≪お話をうかがった方≫

新田英理子さん

SDGsジャパン理事・事務局長。2017年4月から19年3月まで、一般社団法人SDGs市民社会ネットワークと日本NPOセンターを兼任。パートナーシップが最大限発揮されSDGsが達成されることを目指し、活動中。他に、京都精華大学評議員、科学技術(JST)STI for SDGs審査員、足立区協働・協創パートナー基金審査会審査委員長、法政大学人間環境学部非常勤講師(NPO・ボランティア論)なども務める。

文◎山下久猛 撮影◎守谷美峰

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