理念は「地球上の誰一人取り残さない」
まず最初に「最近よく聞くけどSDGsって何?」という人のために、SDGsについて簡単にご説明します。SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の頭文字をとったもので、2015年の国連サミットで全ての国連加盟193カ国によって採択された国際目標です。
※詳しくは外務省の解説ページもご参照ください
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
達成年限は2030年で、理念は「地球上の誰一人取り残さない」。気候変動や自然破壊、飢餓や貧困、人権侵害など様々な地球規模の課題を解決し、持続可能でよりよい世界を実現するために17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットが示されています。
日本でも持続的な企業価値の向上を目的としてSDGsを経営に導入し、先鋭的な取り組みを推進している企業も増えています。LIXILでもSDGsに積極的に取り組んでいます。
※具体的な取組内容はこちら
→「LIXILがSDGsに貢献できること」
https://www.lixil.com/jp/sustainability/sdgs/
また、2020年12月、SDGs への貢献を加速するために「LIXIL × SDGs NEXT STAGE」プロジェクトを始動。LIXIL SDGsアンバサダーに、元サッカー日本代表の内田篤人さんが就任しました。
https://www.lixil.co.jp/corporate/sustainability/sdgs-next-stage/
個人にもできることはたくさんある
ただSDGsと聞くと、地球規模の問題を解決するための取り組みとして採択されたという背景から、「国や地方自治体、大企業が取り組む大きな目標だから私たち一般市民には関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、決してそうではありません。
確かに、たった一人の行動が社会に及ぼす影響は小さいかもしれませんが、現在日本だけでも1億2000万人、世界には約78億人の人々が生活しています(世界人口白書2021より)。このすべての人々が同じ目標のために行動すれば些細なことでも、世界をよりよく変えられる可能性は十分にあります。よって国や大企業だけではなく、私たち一人ひとりが日常生活の中でSDGsを意識して行動することが、とても重要なのです。
SDGs達成に向けた取り組みを行う市民社会組織を中心としたネットワーク「一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク」の理事・事務局長の新田英理子さんは、SDGsの基本的な考え方について、以下のように解説します。
「日本のような先進国は、日々膨大な資源を使って、現在のような生活を維持しています。この先も私たちみんなが今の生活を続ければ、地球はもたなくなると科学的に言われています(※1)。それでは、私たちも、未来に生きる人たちも困りますよね。
SDGsのSD“持続可能な開発”とは、未来世代のニーズを奪うことなく、現代世代の私たちもニーズを満たすという考え方なんです。例えば海面上昇やフードロスなどの現在起こっている問題を極力抑えて、未来の人たちに対して負荷を与えないようにしましょう、そのために過剰な部分を少しでも削りましょう、ということです」
(※1)WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)、グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)の調査によると、現在の人類の消費エネルギーは地球1.7個分。しかし、すべての人類が、日本など先進国並みの生活を維持するには、地球が2個必要だといわれています。
「過剰」を減らそう
では「過剰な部分」とは具体的にはどういうことでしょうか。
例えば、フードロスの問題。今、スーパーでもコンビニでもパン屋さんでも、食べ物が毎日あふれんばかりに陳列されています。当然、全部売れるはずがなく、大量に売れ残りが出ます。
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販売元の企業は、消費期限や賞味期限を厳しく管理しているので、売れ残った消費期限切れの商品は廃棄するしかありません。その量は、なんと1日に全国民がお茶碗1杯分のごはんを捨てていることになるそうです。つまり、この状態は明らかに「過剰」だと言えます。
これまで当たり前のように実行してきた消費行動をいきなり全部変えるのは無理でしょう。また、とはいっても「自然環境のため」「飢餓や貧困に苦しんでいる人のため」「未来に生きる人たちの幸せのため」という、他者のために自分たちが我慢するといったモチベーションだけでも続かないのではないでしょうか。
私たちにもメリットはたくさんある
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しかし、「私たち自身の幸せのために過剰を少し削ろう」という気持ちで臨めば、SDGs的取り組みを楽しく、長く継続することが可能になります。
先ほども説明した通り、SDGsの目的は「地球規模の問題を解決して持続可能でよりよい世界を実現するため」ですが、例えば、ごみが減ったり、地球温暖化が止まって暮らしやすい社会になると、私たち自身もうれしいですよね。
また、身近な例では、SDGsに取り組むことで私たち自身が健康になったり、親子のコミュニケーションが活発化して関係性がよりよく変化することも期待できます。つまり、SDGsに取り組むことは自分自身や将来世代も恩恵を受けることになるのです。まさにSDGsは「情けは人の為ならず」なのです。
では私たち一般消費者はどうすればいいのでしょうか。例えば、
・ 消費期限が近づいたいわゆる見切り品やおつとめ品を積極的に購入する
・ 人や地球環境に配慮したサステナブルな商品を買う
・ 買い物はなるべく地元のお店で買う
など、個人でも今日からできることはたくさんあります。
なぜそうすることがSDGsにつながるのか、私たち自身にもメリットがあるのかという詳しいお話は、次回以降、新田さんのお話をもとに解説していきます。
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