気になる生活臭の対処法 第2回

悪臭を抑える場所別マニュアル

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靴の雑菌を減らして清々しい玄関へ

 家の第一位印象を決めるといっても過言ではない玄関は、家のなかでもとくににおい対策に力を入れたい場所です。

 玄関から漂う悪臭は、靴に染み込んだ足の汗から発せられています。汗自体は無臭ですが、汗染みに足の常在菌が繁殖することで、悪臭を放つようになります。

 菌の繁殖を防ぐには、脱いだ靴に除菌・殺菌効果のあるエタノールを直接スプレーするのが有効です。ただし革靴の場合、色落ちしたりシミになったりする可能性があります。事前にエタノールを含ませた布で靴の端のほうを拭き、問題がないか試してみましょう。

 スプレーした靴はすぐに下駄箱にしまわず、1日以上乾燥させましょう。また、天気の良い日に靴を出し、下駄箱の中を掃除してからよく乾燥させ、においの元となるカビの発生を抑制することも効果的です。

 靴の悪臭を抑えるには、菌の繁殖を防ぐだけでなく、原因物質を減らす対策も必要です。また、常在菌の排泄物によるにおいは「イソ吉草酸など」の酸性物質のため、アルカリ性の重曹水をスプレーすることで、中和させることができるでしょう。

 それでもにおいを取りきれない場合は、脱臭効果のある活性炭や炭を玄関や下駄箱の中に置くと、におい物質を吸着してくれます。

生ゴミ・排水口の悪臭からキッチンを守る

 キッチンの悪臭は、油汚れや生ゴミ、排水溝などの複合臭が原因です。日頃からマメに掃除して、発生源を放置しないようにしましょう。

 とくに生ゴミは、キッチンの悪臭の元です。生ゴミが出たら三角コーナーなどに放置せず、蓋付きのゴミ箱などに入れ、においが部屋に広がらないよう工夫しましょう。なお、生ゴミに水分が含まれているとカビや菌が繁殖するため、ゴミ箱に捨てる前に生ゴミの水を切ってから新聞紙などにくるみ、水分をしっかりと取ることが大切です。

 生ゴミとともに、排水口も日頃からマメに掃除することをおすすめします。旅行などで家をあけていると、帰ってきたときに排水口から嫌なにおいがしたことはありませんか?

 一般的なキッチンの排水口には、「椀トラップ」と呼ばれる排水トラップが付いています。この椀トラップと排水管内部の間にある「封水」と呼ばれる水が、排水管の内部の空気を逆流させない役割を担っています。このため頻繁に水が流れていれば、においや害虫などのシンク内への進入は妨げられます。しかし、長期間家をあけていて水の流れがないと、封水が蒸発し、下水管からの悪臭がキッチンに流れ込むことがあります。

 祐川さんによると、排水口のにおいが気になったときには、アルカリ性のパイプクリーナー(粉末状)を使って掃除するとよいそうです。

「ぬるま湯で溶かしたアルカリ性のパイプクリーナーを排水口の周りに撒き、1〜2時間後に水を流してください。油やタンパク質の汚れが分解され、排水口がきれいになります。

 粉末を溶かすお湯の量は製品によって異なるため、容器の注意表示等をよくお読みください。また、アルカリ性のパイプクリーナーは非常に成分が強力なため、必ずマスク・ゴム手袋・ゴーグルなどをした上で使用してください」

カビ対策で快適バスタイム

 浴室や洗面所もキッチンと同様に、排水口のにおいが気になる場所です。皮脂や髪の毛、カビが溜まらないよう、アルカリ性のパイプクリーナーを使って日頃からマメに排水管を洗浄しましょう。

 また、高温多湿で、石けんやシャンプー、アカなどの栄養源にあふれている浴室は、カビや菌が繁殖しやすい場所です。カビ臭や菌を発生させないためにも、日々こまめに掃除することが大切です。ユニットバスの場合、目に見えない浴槽の下にカビが発生していることもあります。浴槽や浴室内がきれいなのにカビ臭がするときには、専門業者に浴槽の下を高圧洗浄機で清掃してもらうことをお勧めします。

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トイレは定期的にメンテンナンスしよう

 トイレの悪臭の主な原因は、尿の飛び散りによるアンモニア臭です。アンモニア臭はアルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸などを使って拭き取ると、においを中和させることができます。

 また、「脱臭機能付きの便器を使っていて、以前に比べてトイレのにおいが気になるなと感じたら、脱臭カートジッリの交換時期を疑ってみてほしい」と祐川さん。

「トイレの機種によって長さは異なりますが、脱臭カートリッジには寿命があります。におい成分を吸引している網目が詰まっているかも知れません。便器から空気を吸い込んでいる網目の部分は、便座をスライドして持ち上げれば見ることができます。詰まっていれば清掃してください。

 また、脱臭フィルターのカートリッジ内の活性炭がにおいを吸着できなくなっているかも知れません。7年程度使っていたら、カートリッジの交換時期です。網目の点検やカートリッジの交換方法は、便器の取扱い説明書をよく読みましょう。

 ひとつ注意していただきたいのが、消臭スプレーを使うときはトイレの蓋を閉めるということ。開けたままスプレーをすると、脱臭カートリッジが消臭剤のにおい分子を吸着してしまい、使用期限が短くなってしまうんです。暖房付き便座であれば蓋を閉めておくと節電にもなりますよ」

→ 第3回に続く

〈お話を伺った方〉

祐川英基さん

祐川臭気コンサルタント事務所 所属。臭気コンサルタント。日本電子工学院 環境工学部 公害工学科卒。1976年〜2009年まで、民間の環境測定分析会社に勤務し、臭気測定等に従事。その後、独立して主に臭気に係る測定・ 調査・対策等に取り組み、現在に至る。
これまで、公益社団法人におい・かおり環境協会では、嗅覚測定法安全管理手法検討作業部会委員や脱臭技術評価部会委員を務め、現在、大同大学非常勤講師、公益社団法人におい・かおり環境協会副会長及び臭気判定士会会長を務める。
〈有資格〉臭気判定士、臭気対策アドバイザー、におい・かおり環境アドバイザー、環境カウンセラー(事業者部門)

文◎八木麻里恵 
人物写真◎加々美義人 
画像提供◎Shutterstock

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