気になる生活臭の対処法 第3回

空気清浄機&消臭剤で年中快適に!

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寒い季節のにおい対策

 寒い季節は換気がしづらく、部屋ににおいがこもりがち。そんなときに活用したいのが、空気清浄機です。

 空気清浄機の効果を最大限に発揮したいなら、空気を部屋中に循環させられる場所に置くのがコツだそうです。

「一般的な空気清浄機は、本体の下から室内空気を吸い込んで、きれいな空気を上から吹き出す方式なので、部屋の真ん中よりも角あたりに置くと、吹出口から出た空気が壁にあたって下から戻ってくるので、部屋中にいきわたりやすくなります」

 また、空気清浄機には、加湿機能が搭載されているものや、静電気を発生させてホコリや花粉を取り除けるものなどさまざまなタイプがあるため、何の機能を優先するかで選び方が変わってきます。祐川さんによると、「脱臭機能を優先するなら次亜塩素酸を利用した脱臭機をおすすめします」とのことです。

 外気が冷たい季節は、洗濯物が生乾きになりやすいという問題も発生します。生乾き臭の対策については、「部屋干し用洗剤」を使うといいそうです。

「生乾き臭の主な原因は雑菌です。洗濯物に含まれる水分と、洗濯で落としきれなかった皮脂やタンパク質などを餌に菌が繁殖し、その菌が出す排泄物によって生乾き臭特有の嫌なにおいが発生します。

 そこで役立つのが『部屋干し用洗剤』です。一般的な部屋干し用洗剤には抗菌剤や酵素、漂白剤が含まれており、菌の餌となる汚れをとるとともに、菌を殺してくれます。私も部屋干し用洗剤を使うようになったところ、生乾き臭がほとんど気にならなくなりました。

 なお、部屋干し用洗剤を使ったときは、通常の洗濯洗剤より漂白剤などが多く含まれていることがあるので、すすぎ時間をいつもより長くして、洗剤をよく流し落としましょう。色物の衣類は色落ちすることもあるので分けて洗うことをおすすめします」

 もし、部屋干し用洗剤をすでに使っているにもかかわらず、生乾き臭が気になる場合は、洗濯槽が汚れている可能性があります。その場合は、酸素系漂白剤を使ってつけ置き洗いをし、洗濯槽にこびりついた汚れやカビを落としましょう。

 ただし、ドラム式洗濯機では酸素系漂白剤を使えないことがありますので、商品についている説明書きをよく読んで購入しましょう。洗濯槽の汚れ取りをやったことがなく汚れが酷いときには、酸素系漂白剤のつけ置き洗いののち、塩素系漂白剤を使うと効果的です。

効果を最大限にする「消臭剤」の使い方

 換気や掃除をした上で、それでも残ってしまう生活臭を抑えたいなら、消臭剤の力を借りてみてはいかがでしょうか。

●消臭剤・芳香剤の違い

 消臭剤は、化学反応を利用して、においの元となっている成分を分解、中和したり、覆い隠したりして、悪臭を感じさせなくするものです。消臭剤の中でも、消臭効果のみの無臭の消臭剤と、香りが付与された消臭芳香剤があります。

 芳香剤とは、空間に香りを付与するものです。悪臭を芳香で隠すものなので、脱臭効果はありません。
 発生源に対処することを第一に考えたうえで、「悪臭を消したいなら消臭剤、香りを楽しみたいなら芳香剤」といったように使い分けていきましょう。

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●消臭剤の使い分け方

 一般的な消臭剤は、玄関用やキッチン用、トイレ用など、それぞれの場所で発生しやすいにおいの成分に合わせて作られています。このため、場所や目的によって使い分ける必要があると、祐川さんはいいます。

「たとえばトイレ用の消臭剤であれば、アンモニアや硫化水素などの悪臭物質をカバーする成分が配合されています。トイレ用の消臭剤はあくまでトイレの悪臭物質に対応する製品のためにおいがマイルドになった感覚を受けますが、リビングで使うとツンとする感覚でマイルドさを感じないと思います。

 玄関用やペット用の消臭剤も同じで、それぞれ蒸れた靴下臭やペットの糞尿などに効く成分が配合された消臭剤となっています」

 また、同じ場所で同じ香りの消臭剤を使い続けないことも大切だそうです。

「人は香りを嗅ぐと、そのときのビジュアルや音、振動なども一緒に脳に記憶されます。そのため、いつもトイレでラベンダーの香りの消臭剤を使っていると、ラベンダーの香り=トイレの香りだと脳が認識し、ラベンダー畑に行ってもトイレを想起するようになってしまうことがあります。

 また、人は同じ香りを嗅ぎ続けていると順応してしまい、感じにくくなってしまうことがあります。たとえば、同じ香水や柔軟剤を使っているとその香りがわからなくなり、徐々に使用量が多くなってしまった経験はないでしょうか。香水や柔軟剤のつけすぎは周囲の人に不快な思いをさせる可能性があり、注意が必要です。そうならないためにも、消臭剤を買い替えるときには、香りを変え。色々な香りを楽しみましょう」

●消臭剤の置き方

 消臭剤は置き方によっても効果が異なるといいます。
「リビングなど、広い空間に消臭剤のにおい成分を行き渡らせたいなら、風が入ってくる上流側の窓や、24時間換気の吸気口の近くに置くのが理想的です。
 一方で、キッチンの生ゴミのような悪臭に対しては、悪臭が部屋中に広がらないよう、においの発生源のすぐ側に置いてください」

●人工臭が苦手な方には、木材がおすすめ

 祐川さんは、消臭剤や芳香剤の人工的な香りが苦手な方には、ホームセンターなどで購入できる木材を置くことを推奨しています。

「木の年輪には、においを吸着して取り除く脱臭効果があります。また、スギやヒノキの香りには癒やし効果があり、消臭剤の人工的なにおいが苦手な人も受け入れやすいのではないでしょうか。部屋に木材を置くなら、年輪の露出が多ければ多いほど吸着効果が高まるので、ドーナツ状に切ってオブジェなどを作って楽しみながら置くことをおすすめします」

〈お話を伺った方〉

祐川英基さん

祐川臭気コンサルタント事務所 所属。臭気コンサルタント。日本電子工学院 環境工学部 公害工学科卒。1976年〜2009年まで、民間の環境測定分析会社に勤務し、臭気測定等に従事。その後、独立して主に臭気に係る測定・ 調査・対策等に取り組み、現在に至る。
これまで、公益社団法人におい・かおり環境協会では、嗅覚測定法安全管理手法検討作業部会委員や脱臭技術評価部会委員を務め、現在、大同大学非常勤講師、公益社団法人におい・かおり環境協会副会長及び臭気判定士会会長を務める。
〈有資格〉臭気判定士、臭気対策アドバイザー、におい・かおり環境アドバイザー、環境カウンセラー(事業者部門)

文◎八木麻里恵 
人物写真◎加々美義人 
画像提供◎Shutterstock

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