今のうちに! 真夏の暑さ対策[第3回]

暑さを防ぐカギは「窓」にあり

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熱気の7割は開口部から

 壁や天井、床など、住宅の建築部材の大部分には断熱材が使われています。築年数が経っている建物は、現代の視点から見ると断熱効果が足りない場合もありますが、それでも、ある程度は熱気の侵入を防いでくれているのです。

 けれども、窓などの開口部が弱点となり、そこから熱が入ってきてしまいます。第1回でお伝えしたように、外から入り込む熱気の約7割は開口部からです。窓まわりの断熱対策をきちんとすることで、冷房の運転効率を上げ、快適な空間をつくることができるでしょう。

窓に貼る遮熱シートの効果は……

 室外からの熱気や直射日光の侵入を抑える方法として、窓に貼るタイプの「遮熱シート」が度々紹介されます。ホームセンターや通販などで購入でき、安価な点や自分で簡単に貼ることができるため、一見、手軽でコストパフォーマンスのいい対策のように思えるでしょう。

 しかし、遮熱シートを使用する場合、夏場の日差しを遮る効果はあると思いますが、冬はシートをはがさないと、日射取得をあまり期待できなくなってしまうかもしれません。

 そうしたことを考慮すると、DIYで貼れる遮熱シートでは、かえって手間が発生してしまうケースもあるということを、理解しておく必要があるのです。

日差しの入り具合を計算してひさしを設ける

「窓の上にひさしを設けることで、夏の日差しを遮ることができるのです。スタイルシェードなどの後付け式シェードを装着すると、太陽の熱は最大83%、紫外線も最大99%カットすることができます。

 その他の日射遮蔽の商品として、LIXILのスリムアートなど壁に取り付ける固定式のひさしがあれば、かなりの割合で夏の日差しをカットすることができるでしょう」

 ただ、固定式のひさしだと、夏はうまく光を遮ってくれたとしても、冬に日差しを取り込めなくなってしまうのではないでしょうか。

「一般的には、夏に比べ、冬は低い位置から日光が差し込むので、夏の日差しをうまく避けながら、冬の日差しを取り入れることは可能です。ただし、地域や時間帯、立地、建築条件等により入り具合が異なりますので、それに合わせた対策が必要となります」

 伝統的な日本の一戸建て住宅は、屋根の軒を深くすることで直射日光を避けていました。窓を開け放っても風が通り、日差しを遮ることで快適さを担保していたのです。

カーテンや植栽を利用

 ひさし以外にも、さまざまな窓まわりの遮熱対策があります。

 たとえばカーテンでも、遮熱カーテンや断熱カーテンなど、それ自体の構造で断熱効果を持つものがあるのです。
 断熱カーテンは裏地に特殊な加工が施され、生地の間に空気の層をつくることで熱の出入りを抑えてくれます。遮熱カーテンは、生地自体が熱を跳ね返す機能を持ったものです。

「たしかに、カーテンは一定の効果があります。ただし、窓そのものや窓の外側で熱や直射日光を遮る対策の方が優れているといえるでしょう。

 直射日光が当たることで窓のサッシも熱くなりますし、最近の製品はサッシ自体もかなり断熱の性能を持っていますが、古いサッシの場合、窓から室内に熱が伝わります。あくまでも、さまざまな対策の補完として捉えると良いのではないでしょうか」

 一戸建てで、日差しが入る窓の外に庭がある場合には、植栽をうまく活用して日光を遮る方法があるといいます。

「昔から、庭に落葉樹を植えるといい、といわれています。夏は葉が生い茂り、直射日光を遮ってくれますし、冬は葉が落ちるため、日光を取り込むことができるのです」

 次回は、窓そのものの断熱リフォームをするときのポイントについて聞いていきます。

≪お話を伺った方≫

小林貴明(こばやし たかあき)

LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部 窓まわりSBU SBU推進室 推進G グループリーダー。日射遮蔽や窓リフォームなど、窓の安心・快適・省エネにつながる窓まわりの商品企画に携わり、現在は「安心・快適な住まい」「脱炭素社会」に向けて窓まわり商品の重要性を伝え、世の中に普及・浸透をすすめている。

取材・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

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