今のうちに! 真夏の暑さ対策[第5回]

大きなリフォームをするなら、今!

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壁を壊さなくても、家は劇的に変わる!

 今住んでいる家全体を断熱リフォームというと、壁などをすべて壊し、柱だけを残してフルリノベーションする、まるで新築のような家を想像するかもしれません。
 しかし、それでは新築とほぼ同等か、もしかするとそれ以上の費用がかかり、決してリーズナブルとはいえないでしょう。

「家をリフォームするなら、省エネにもつながる断熱を最優先にするのは、カーボンニュートラルが注目されている今の時代、当然といえるでしょう。築年数が経っている建物は窓だけでなく、壁の断熱性も大きく異なります。

 そこで、内窓を加える『インプラス』、窓そのものを交換する『リプラス』といったリフォームメニューに加えて、壁を壊さず、上から部材を貼っていくことで施工ができる方法をおすすめしているんです」

 壁を壊してのリフォームとなると、施工の期間が長く、家具を片付けたり、工事中は別の家を借りて住まなければならなかったりと、費用もハードルも一気に上がります。

「まずはどんなリフォームにするのか、どういう場所に断熱が必要なのかをきちんとプランニングすることが大切です。一番必要なのは、大きな掃き出し窓がついて、日当たりもいいであろうリビングでしょう。何より、リビングは家族が一番長く過ごす場所です。

 それに続いて、主寝室や、お年寄りがいるご家庭ならお年寄りのプライベートルーム、お子さんの部屋とそのご家庭の状況に応じてプランニングをしていけば良いと思います」

 LIXILには、半日~1日で1部屋から断熱リフォームをできる「ココエコ」というメニューが用意されています。

「このメニューは、窓のリフォームでもご案内している内窓の『インプラス』に加え、十数ミリという極めて薄い真空断熱材を用いた『ウォールインプラス』『フロアインプラス』といった壁用、床用のパネルを貼ることで断熱効果を出すというものです。

 施工は窓のインプラスを含めても最短1日、床に施工せず、窓と壁だけなら数時間の施工で美しく、断熱性能もしっかりしたリフォームが行えます」

 十数ミリの断熱材でも、効果は十分なのでしょうか。

「真空断熱材そのものの厚みは12ミリ程度ですが、これは最近の省エネ性能が高い冷蔵庫などに使われているものと同じ原理の部材です。一般的なグラスウールの断熱材の18分の1の厚さで同等の断熱性能を発揮しますから、安心してください!」

家一棟、まるごと断熱リフォーム

 築年数が経っている一戸建ては、特に断熱性能が不足しがちです。

「そうした場合は、断熱のフルリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。LIXILには、『まるごと断熱リフォーム』というメニューがあります。

 外壁の状態にもよりますが、劣化が少なく強度に問題が無い場合、外壁の外側に断熱性能の高い部材を貼って、家の断熱性を格段に引き上げることが可能です。外壁を剥がすリフォームと比べると、はるかに短時間で工事が終了し、コストも抑えられます」

 建物の状態にもよりますが、仮住まいに引っ越さず、住みながら工事することもできるそうです。
 思い出のある自宅を解体せずに活かして、廃材も少なく、エコに断熱リフォームすることができるんですね。

「大切なのは、今、家がどういう状況であるのかを見極めることでしょう。LIXILまるごと断熱リフォームの登録店がチェックシートを使って、きちんと物件の状況を確認してから、リフォームのご提案をしています」

 断熱材の上から外壁材を貼るので、外観も新築同様にピカピカになりますね。肝心の断熱性能はどうなのでしょうか。

「これまで、日本の住宅における断熱性能は、外皮平均熱貫流率 UA値という値が0.87以下(東京など)の、断熱等性能等級4が最上位等級でした。それが、近年のカーボンニュートラルの動きなどもあって、新たに『断熱等性能等級5』という、UA値0.60以下の基準ができたのです。

 図のように、ある古い住宅の場合、この値が1.47でした。これはつまり、夏は暑く、冬は寒い家ということです。断熱リフォームを行った結果、0.49まで抑えることができました。国の基準はおろか、最先端の新築高断熱住宅の基準に近いレベルまで、引き上げることができたケースです」

「熱交換型換気システム」で

 最近の新築住宅には、24時間換気システムの導入が義務づけられています。築年数の浅い建物なら、どの家にもついている装置です。

熱交換型換気システムのイメージ。

 これは、伝統的な日本建築に比べ、新築住宅の気密性が上がっていることが大きな理由でしょう。

「換気システムは外から空気を入れ、室内の汚れた空気を外に出します。基準では、1時間の稼働で、部屋の空気のうち50%を入れ換えるようになっています。

 外気温が36℃などの猛暑では、仮にエアコンの設定温度を26℃にした場合、10℃も高い熱気が入ってくるわけです。それを緩和するために、熱交換型換気システムを導入するのもひとつの手かもしれません」

 LIXILには、「エコエア90」をはじめとした熱交換型の換気システムがあります。抗菌、抗ウィルス性能の高いフィルターも備え、熱回収率が90%という高性能システムです。

今なら補助金GETのチャンス!

 さらに阪田は、こうした大がかりなリフォームをするには、今がチャンスだと言います。

「実は、政府が2050年までのカーボンニュートラル化を掲げていることもあって、今、住宅のリフォームにはかなり有利な補助金制度などができています。さまざまなケースがありますが、100万円から、最大300万円まで補助される制度もあります。

 また、自治体によってはさらに上積みされる場合もあるでしょう。LIXILの断熱リフォーム工法に登録している工務店などは、地域に即した情報を持っていますので、ぜひ相談してみてください」

 リフォームの効果を実際に体験してみたい方には、東京と大阪に「住まいStudio」という体験型ショールームがあります。そうしたところで実際に断熱効果を体感したり、実物をチェックしたりしてみるのはいかがでしょうか。

≪お話を伺った方≫

阪田 誠治(さかた せいじ)

LIXIL Housing Technology Japan ZEH推進事業部ZEH推進営業部部長。高気密高断熱住宅工法などの商品販促に長年携わり、現在は「お施主様の暮らしに焦点をあて、少ないエネルギーで、健康・快適・安心・安全な家づくりに貢献する」という理念の実現に向けて、断熱リフォームの重要性を伝え普及・浸透に従事している。

取材・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)