エネルギー価格高騰に負けない省エネライフ[第2回]

電気代高騰! 電気料金を抑えるポイント

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照明は消費電力が一定

 第1回でお伝えした省エネの3つのポイント「冷暖房・照明・家電の動力」の中で、和田さんは、一番取りかかりやすいのは「照明」だと言います。

「一番わかりやすいのは白熱電球、蛍光灯、LEDの消費電力の違いです。現在売られているLEDなどはルーメンという単位で明るさを表示していますが、パッケージには白熱電球に換算すると何ワット相当の明るさかも記載されています」

 公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「電気料金目安単価」である1kWhあたり31円(税込)として計算すると、60W(0.06kW)の白熱電球は1時間使用すると1.86円。1日8時間使用したとすると30日で446.40円、1年間で5431.20円になります。一般的な電球形口金(E26)の蛍光灯だと消費電力は約11W。1時間あたり約0.34円、年間約995.72円です。これがLED電球になると、平均的な60Wタイプのものでは、メーカーにより差がありますが7.8Wくらい。1時間あたり0.24円、年間では約706.05円になります。

 家中の電球の数を考えると、LEDに替えることでかなりの節電になります。

「もちろん、使わない部屋の照明はこまめに消すことが大切です。電球の消費電力は点灯した直後が高いのであまり点けたり消したりを繰り返さないほうがいいという方もいますが、消費電力は一定です。

 また玄関やトイレなど、ごく限定した時間しかいない空間の電球は人感センサー付きのものにすると効率はぐんと上がります。最近は価格も手頃になってきたので、機会を見て取り替えてみてもいいでしょう」

テレビ・冷蔵庫の買い換えはオススメ!

 家電に関して見てみると、最近は省エネ性能が高いものが増えてきました。

「1日の中であまり長い時間使わない掃除機やオーブンレンジなどはさほど電気消費に影響は与えませんが、ずっと動いているもの、例えば冷蔵庫や1日に何時間も見るテレビなどは、年数が経っているなら新しいものに買い換えるのもいいでしょう」

 環境庁が発表しているデータでは、同じ環境でテストした401~450L容積の冷蔵庫で試算すると、2010年製の製品より2020年製の製品のほうが、37〜46%も消費電力が下がっているそうです。

 テレビも画面のサイズや画質・性能などによって差はありますが、資源エネルギー庁が算出したデータによると、同程度の性能の42V型テレビでは、2010年より2020年の製品のほうが約42%の節電になるそうです。

「ほかにも、家電類では意外と消費電力が高いものに電気ポットがあります。短時間でお湯を沸かせる電気ケトルのほうが消費電力は高いのですが、電気ポットは効率がやや劣り、沸騰までの時間を合わせて考えると1.5倍ほどの消費電力量になってしまいます。また、保温している間も電力を消費します。短時間でお湯を沸かして使い切れる電気ケトルのほうが効率が良いといえるでしょう。

 また、最近人気のウォーターサーバーもかなり電力を消費します。平均的なもので月に500〜600円程度と言われていました。電力料金が上がっている現在では、800〜900円くらいになっているかもしれません。東京や都市部の水道水は、昔のように塩素を大量に入れて浄水するのではなく、最小限に抑え、ミネラルウォーターより安全でおいしいとも言われています。個人の好みで、ウォーターサーバーを使わないという選択肢はあると思います」

 炊飯器の保温機能も、使わないという選択肢があります。長時間保温したごはんは食味も落ちます。1回で食べ切らないのであれば、保存容器に移し換え、冷蔵や冷凍をするといいでしょう。

空調はほかのエネルギーと使い分けがオススメ!

 快適な生活に欠かせないのが空調設備です。最近は冷暖房兼用でエアコンを使う家庭が増えてきました。資源エネルギー庁の調査によると、一般家庭における夏の日中14時頃の電力消費で最も高いのがエアコンで、全体の58%を占めるそうです。

「これも意外なようですが、エアコンは夏より冬のほうがさらに消費電力が高くなります。最近は省エネ性能に優れた製品がたくさんありますから、購入から10年を超えているものは買い換えを検討してみてもよいと思います。

 また、寒い地域は家の外に灯油のタンクがあって石油ファンヒーターなどを使う家庭もありますが、都会のアパートなどでは灯油のポリタンクを保存できない物件が主流です。そうすると暖房はエアコン中心になりますが、もし部屋にガス栓が設置されていたり、キッチンに空いているガス栓があったりする場合は、ガスファンヒーターを併用してみるのもいいかもしれません。

 ガスファンヒーターは立ち上がりが早く、部屋の中をすぐに暖めてくれます。朝起きたときにガスファンヒーターを点灯させ、部屋が暖まったところでエアコンに切り替えるというのも手です。ガスファンヒーターはガスの消費がほぼ一定ですが、エアコンは、点灯時の設定温度と実際の室温の差が大きいと、大量の電力を消費します」

 節電のポイントは、効率よく電化製品を稼働させること、長時間稼働するものを省エネ製品に置き換えていくこと。こうすれば、寒さ、暑さを我慢せずに電力料金を抑えることができます。

 次回はガス料金を節約するポイントについて伺います。

≪お話を伺った人≫

和田由貴さん

消費生活アドバイザー、節約アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱。『和田由貴のシンプル節約術』『快適エコのライフスタイル冬の省エネ生活』などの著書がある。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)