まだまだ上がる? 電気・ガス料金
物価の高騰が止まりません。2022年12月の東京都の消費者物価指数は、生鮮食料品を除くと4.0%の上昇。およそ40年8カ月ぶりの上昇率なのだそうです。中でも電気・ガス料金の上昇率はすさまじいもので、電気が26.0%、ガス代に至っては、なんと36.2%と、確実に家計に響く数字になっています。
この高騰は2023年も続くといわれています。そのような状況で、電気やガス代を抑えるにはどうしたらいいのでしょう?
「省エネはとても大切だと思いますが、だからといって冬の寒さ、夏の暑さを我慢してまで電気やガスの使用量を節約しては快適な暮らしを送れませんし、続かないと思います」と節約アドバイザーの和田由貴さん。
「昨年の夏も、この冬も、政府やメディアが『電力需要が逼迫しているから節電しましょう』と呼びかけましたが、どうしたらいいのか戸惑う方も多かったと思います。短期間なら我慢もできるでしょうけど、一年中省エネのことばかり考えて、待機電力を減らすために家中の使わない家電のプラグを抜いて回ったり、ガス代の節約のためにお湯を使わず冷たい水で食器を洗ったりというのは、少しも快適ではないですよね。みなさん、暮らしやすい生活様式を考えて素敵な部屋に暮らしているのに、我慢や制約の多い生活を強いられるというのは、少しピントがずれていると思うんです」
省エネポイントは大きく3つ
和田さんは快適な環境を維持しつつ省エネを実現するには、大きく3つポイントがあると言います。
「『暖房』『給湯』『電力と照明』です。この3つの要素が、家庭で使用するエネルギーのだいたい3割ずつを占めています。それぞれの項目で、ガスや電力の消費のコントロールをどうするか考えていくのがよいでしょう」
冷暖房はおもにエアコン。ガスファンヒーターを使う家庭もありますが、エアコンが中心になってきています。東京都などの都市部では、賃貸住宅の多くが灯油保管を禁止しているため、灯油販売量はぐっと減っていますが、寒冷地では灯油を使った石油ファンヒーターもまだまだ重要なエネルギーです。
しかし、資源エネルギー庁の調査データによると、灯油は2016年4月には全国平均で18Lあたり1100円前後だったものが、ずっと値上がり傾向が続き、2023年1月には2004円まで値上がりしています。
資源エネルギー庁のデータより作成。
寒冷地でも最近はだんだんオール電化の家が増えているようですが、月の電気代が10万円を超えたという悲鳴も聞こえてきます。
「エネルギー使用量を減らしていかないと大変な状況になってしまいます。そのためには、ソフトとハードの両面から見直していくといいでしょう。ソフト面は、普段の生活の中での機器の使い方で工夫できる部分。例えば、照明なら使わない部屋の照明をこまめに切ることです。ハード面は、より省エネ性能の高い製品に替えていくこと。白熱電球や蛍光灯から、価格も低くより消費電力の低いLEDに替えたり、トイレの照明をセンサー付きのものに替えたりするなどですね」
さらには、根本的な省エネを目指すために、家そのものを寒さ、暑さに強いものに変えるリフォームまで視野に入れていくことが必要かもしれません。最新の省エネエアコンは、ある程度家の断熱性能が確保されている前提で設計されているそうです。
「いくら細めに節電をしても、家の断熱性能が低ければ、冬の寒気や夏の熱気は家の中に入ってきてしまいます。エネルギーの節約は、生活のクオリティを下げてまで突き詰めるのはかえってストレスになります。無理なく、快適さを保ちながらエネルギーも節約していくことを基本に考えていきましょう」
次回は、効果的な節電の方法を具体的に伺っていきます。
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