台風対策は早め、早めに![第2回]

戸建ての家の台風対策

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年々強力になる台風に備える

 日本は、地震以上に台風が多い国です。しかも、日本にやってくる台風が年々大型化、強力化しています。2019年の台風15号(令和元年房総半島台風)がもたらした被害はいまも記憶に新しいと思います。静岡・天城山では1日の降水量が441.0mm、千葉市周辺に上陸したときの瞬間最大風速は40m/s。東京・千葉での死者は9人、住宅被害は千葉県を中心に9万戸、停電は何日も続きました。

 こうした被害を食い止めるために、自分でできることはなんでしょう?

飛来物対策は「雨戸」が最適

 昔の映画では、台風が来るとなると、窓に板などを打ち付けて備えるシーンがありました。現代の住宅ではそこまですることは少ないですが、台風の風害でもっとも多いのは、飛来物が建物に当たって起こる被害です。

 なかでも、窓が一番被害が出やすい部分です。飛来物に備えるには、雨戸を締めることが一番だといわれています。マンションの高層階とは違い、戸建ての場合は窓の位置が低いので、いろいろな方向から飛来物がやってきます。普段は閉めない雨戸や窓シャッターも、台風の時はぜひ閉めることをおすすめします。台風の心配が無いときに、スムーズに動くかの確認もしておきましょう。

浸水を防ぐ「土のう」

 台風の大雨で道路が冠水する映像がよくTVなどで見られますが、水は道路に面した部分から敷地内に水が入ってくることがよくあります。国土交通省発行の「河川事業概要 2020」によると、全国にある1,741市区町村のうち、2010年からの2019年の間で一度も水害が起きていない市町村はたったの2.4%という報告もあります。

 もちろん、大洪水ばかりではありません。敷地や家の基礎が冠水する程度のものがかなりの割合になります。そのレベルの流水による被害を防ぐためには、土のうを用意しておくといいでしょう。

 開口部に防水シートを敷き、その上に土のうを置けば、ある程度の浸水は防げます。津波や河川の氾濫による大洪水の場合はあまり効果は望めませんが、普段から家の前に雨水が流れ込みやすい場合、土のうで10〜20cm防水をしておくだけでかなり浸水を防げます。

 土のうはホームセンターやネットショッピングで簡単に手に入ります。ほとんどが樹脂製の袋で、耐用年数は4〜5年といったところ。戸建てならまさかの備えとして置いておくのが良いと思います。

 土のうで重要なのは、隙間を空けずに積むこと。袋の向きがばらばらだったり、まばらに積むと流れてくる水を止めることはできせん。土のうの形状にもよりますが、冠水しやすそうな家なら、隙間無く、2〜3段積み重ねることで、ある程度強い濁流もしのげます。上から軽く体重を掛けて踏み、隙間を無くしましょう。

半地下式のガレージは必ず浸水対策を

 地面の高さから少し掘り下げた半地下のカーポートがあるお宅も少なくありません。

 こうした家は、カーポートの中に排水口があることがほとんどですが、外から水が入ってくると溜まりやすいのです。そんな場合は、土のうより高さがある、折りたたみ式の「水害防止パネル」を使うといいでしょう。

外周りのチェックを

 雨戸くらいなら自分でもできますが、他にもいろいろなチェックポイントがあります。

 古い建物の場合、一番心配なのは「屋根」です。2019年の台風15号でよく報じられた被害は、古い建物の屋根が吹き飛んでしまったことでした。屋根にあいた穴にブルーシートが張られていた光景を思い出される方も多いと思います。

 屋根の状態がどうなっているか、台風の心配がないときに、一度きちんとチェックをしておきましょう。屋根に関しては自分で判断するのが難しいでしょうから、なじみの工務店さんやLIXILがご紹介するスタッフに依頼してチェックしてもらいましょう。屋根以外にも、外壁に問題はないか、腐食や劣化をして台風に耐えられない箇所はないかなどをこの際一度点検するのもいいでしょう。

 また、周辺の排水部分や雨樋などに枯れ葉やゴミが詰まっていないかもチェックして、掃除をしておくことも大切です。

 庭の植栽なども、風で大きく揺れたときに建物にあたって傷が付いたりしそうな場合は、ロープを使って固定をしたり、小さいものなら添え木をしておくといいでしょう。鉢植えなど移動できるものは、家の中に入れるのもひとつの手です。

 台風は直撃せずとも、風や雨で思いもよらない被害が出るものです。万全の態勢で迎えましょう。

 次回は、戸建てとは違う集合住宅の台風対策について見ていきます。


文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
イラスト◎とりやま忠治

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