台風対策は早め、早めに![第1回]

家の「立地」を知る

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学ぶ防災季節

自宅周辺の被害予測を把握しよう

 台風は毎年やってくるにもかかわらず、私たちは多くの被害を受けます。大雨による河川の氾濫や、暴風による家屋の損傷、さらには風で飛ばされてきたものでけがをする場合もあります。

 そうしたリスクを避けるために、台風が来る前に絶対にやっておくべきことは、自分の家とその周辺がどうなっているかを把握することです。

 河川の氾濫による災害は、地形により、起きやすいところ、起きにくいところがあります。川の近く、土地の高さが低いところなど、増水した川が決壊すると水が溢れます。
 また、最近都市部ではかなり排水能力が高くなったおかげで下水などが溢れることは少なくなりましたが、集中的に雨が降ると下水の排水が追いつかず、マンホールなどを持ち上げて水が道路に溢れることもあります。

 そうした危険度をあらかじめ知っておくのはとても大切なこと。そのためには、まず自宅付近の「ハザードマップ」をチェックしておきましょう。ハザードマップはお住まいの各自治体やNHKのWebサイトなどで公開されています。洪水、雨水出水、高潮、土砂災害などの起きやすさが示されています。現在では、不動産を購入する場合には宅地建物取引業法により、販売側は水害ハザードマップを使って物件の所在地の説明をすることも義務づけられています。

 自治体によっては印刷物で配布されている場合もあります。お住まいの自治体に問い合わせてみるのも良いでしょう。

ハザードマップポータルサイトをチェック

 ハザードマップを確認するのに一番使いやすいのが、国土交通省国土地理院が運営するハザードマップポータルサイト です。「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」という二つのコンテンツがあります。

「重ねるハザードマップ」は、想定最大規模の洪水、土砂災害、高潮、道路防災情報などを選択して、マップ上で同時に確認することができます。

「わがまちハザードマップ」は、自治体などが作った地域のハザードマップをデータファイルで入手することができます。

家の周囲をチェック

 水害ハザードマップをチェックすることで、お住まいの地域が、どのくらい水害や土砂災害の危険性があるかを確認することができます。ただし、マップだけでは実際に水がどう動くか、などは分かりません。
立地をチェックして、水害発生時にはどこから水がやってくるのか、どういう流れになるのかなどを把握しておくことも大切です。また台風は風害もあります。庭や周囲の樹木が倒れたり、枝や建物の一部が飛んできたり、という可能性もあります。

 家自体が被害を受けずとも、クルマの上に何かが落ちてくることもあります。家の周辺と地域をチェックして、被害を受けにくいような状況にしておくことも必要です。

避難場所をチェック

 台風や大雨はある程度進路や被害の予想ができます。それをもとに自治体から警戒レベルが発令されます。

 高い警戒レベルが発令されたときに、それから慌てて避難場所を探すより、あらかじめ避難場所を確認しておくほうが、迅速な避難ができます。

 避難場所の確認は、ハザードマップからも確認できます。また、国土地理院の地図サイトから検索すると、家の付近の避難場所や自宅から避難場所までの経路や高低差を調べることができます。
 もし、川が決壊したり雨水が川のように道路を流れても、高低差があらかじめわかっていれば、危険な場所を避けて避難することができます。

 警戒レベルの発令がなされてからではなく、普段から避難場所や経路を把握しておくことをおすすめします。

自分の家は浸水するか? がけ崩れは?

 高台にある建物なら、川が決壊しなければまず浸水の危険は無いでしょう。しかし周囲より低い土地に家がある場合や、家のカースペースが半地下にある場合などは、大雨が降っただけで床下・床上浸水が起きたり、カースペースのクルマが水没したりする危険性があります。また、背後ががけや傾斜地の場合、がけ崩れや土石流のリスクもあります。

 普段、ちょっとした雨が降ったときに、雨水の流れがどうなるか確認しておけば、そうした被害を避けることができます。

 台風被害のなかでも、水害は台風が過ぎ去ったあとに起きることもあります。まずは自分が住んでいる家の立地を把握して、水害が起きたときにどう動くべきかをきちんと決めておくことで、被害は最小限に抑えられるといっていいでしょう。

 次回は戸建ての家の台風対策について具体的に見ていきます。


文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
イラスト◎とりやま忠治

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