お正月、「餅」が10倍おいしくなる!! 第1回

失敗しない! ホームベーカリーでお餅つき

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トリセツ通りでも失敗する人続出?

多くのホームベーカリーには「おもちモード」があります。

 ホームベーカリーには大きく分けて2つの機能があります。ひとつは、粉をこねて生地を作ること。釜の中にある羽根が回転して粉や水、イーストを混ぜてくれます。もうひとつが、加熱機能。パン生地を発酵しやすい温度に生地を温めたり、できた生地を焼き上げてくれたりします。

 この2つの機能を、餅米を加熱してこねることでお餅も作れるようにプログラムしたのが「おもちモード」です。

 取扱説明書には、このモードを使って餅をつく方法が書かれていますが、ネットなどでは「うまくお餅にならない」「糊みたいになってしまった」「芯が残って食感が悪い」という話をよく見かけます。
 実際に、筆者のまわりでも、多くの料理好きの方が「あまりうまくいかない」と、ホームベーカリーでのお餅つきを諦めてしまいました。

 うまくいかないのは理由があります。まずはそれを探っていきましょう。

理由1:水分量が多すぎる

トリセツ通りについても、水分量が多すぎて糊のようになる失敗が多いようです。

 ホームベーカリーでお餅をつく方法は、機種によって違いがありますが、一番多いのが、米を洗ってから30分ほどざるにあげ、規定量の水を入れてスタートさせるパターン。
 餅米を加熱しながら、途中で羽根を回しはじめ、加熱を続けながら回し続けることで米を潰し、捏ねるというものです。

 トリセツには2合~5合ほどまで、お米の分量に見合った水分量が指定されていますが、実はこれが落とし穴。その通りにやっても失敗する方が多いのです。

あるホームベーカリーの取扱説明書にある水分量。餅米との比率は、米の量が増えると低く設定されています。

適正量の水分なら、つきはじめてすぐにこのようにまとまっていきます。

 フルオートの「おもちモード」でつくなら、ひとつには「しっかり浸水した餅米の、量ごとの適正な水分量」を見つける必要があります。これは、ホームベーカリーの機種によっても、お米の量によっても変わります。
 そこで、トリセツにある水分量の2割減からスタートして、結果を見ながら最適量を探していきましょう。

理由2:吸水が足りない

 ほとんどのホームベーカリーは、餅米を洗ったらすぐにざるに上げ、30分水を切ってすぐにつき始めます。Webのホームベーカリー餅つき記事などにも「餅米はうるち米と違って水分を吸いやすいから大丈夫」と書かれたものが少なくありません。

 しかし、これは間違いです。餅米は、確かに吸水率はうるち米に比べて多くなりますが、だからといって浸水させなくても大丈夫、というわけではないのです。
 通常、うるち米より1~2時間長ければOKと言われます。お餅をつき慣れている人たちは「最低6時間。できれば一晩は浸水した方がおいしくつける」と言います。浸水時間が短いと、うまく米が煮えず、粒が残ってしまいます。

 ただし、一晩吸水させると、その分水分量は多くなります。お餅モードのフルオートでつく時には、水分量を減らす必要があります。

 今回使ったホームベーカリーの場合、一晩浸水させた3合(420g)の餅米に対して、280cc(280g)の水でついてみたところ、かすかに粒が残り、少し柔らかめですが、まずまずのお餅がつきあがりました。
 トリセツには「3合に対し340cc」とありますが、一晩浸水することで、米の中にしっかり水が入るので、そのぶん加える水の量を減らさなくてはならないのです。

 ちょうど良い水分量を見極めるのに、何度か失敗を重ねるかもしれません。けれど一度使うホームベーカリーでの水分の最適量をつかめば、お任せでも再現性が高く、楽です。

理由3:お米の中まで火が入らず粒が残る

水分量が足りないお餅のつきあがり。粒が残っています。

 ざる上げの時に水分がうまく切れていないと、結果的に水分量が多くなり、糊のようなお餅になります。この失敗から、水分を減らす工夫をする方が多いようです。
 しかし、そうすると今度は水が足りず、米の芯まできちんと火が通らないため、粒が残ってしまいます。

 この失敗を避けるには、フルオートではなく、ホームベーカリーの「こね機能」のみを利用します。
 洗米から手順を追って説明します。

1.優しく洗米したのち、一晩浸水

 餅米は優しくさっと洗い、水を2~3回変えて、ある程度透き通るまですすぎます。すすぎ終わったら、たっぷりの水を加えて、冷蔵庫などで最低6時間、できれば一晩くらい浸水させます。うるち米を洗うより、少しすすぎをしっかりすることで、ヌカ臭さがなくなります。

2.蒸し器で1時間ほど蒸す

 一晩かけて、吸水させた餅米を蒸します。蒸し器の中に木綿や麻の蒸し布を敷き、そこに餅米を入れたら、真ん中をへこませます。これは蒸気が当たりにくい真ん中にもしっかり熱が回るための工夫です。
 布で餅米の上を覆い、たっぷりのお湯を入れ、強めの火で1時間ほど蒸します。

一般的な蒸し鍋や中華蒸籠でもかまいません。時間がかかるので、お湯はたっぷり用意しましょう。

 一般的な蒸籠や蒸し器では水が足りないかもしれません。そのときは脇で鍋にお湯を沸かしておき、中で足すといいでしょう。
 45分ほど経過したところで、柄の長いスプーンなどを使い、少し米を取って蒸し上がりを確認します。米に芯が残っていなければ蒸し上がりです。目安は1時間。さらに15~20分蒸すと、和菓子屋さんのお餅のような、少し柔らかめだけど、フルオートでつくよりはしっかりしたお餅になります。

3.うどん生地モードでつく

蒸し布がとても熱いので、ミトンや軍手などをして持ち上げることをお勧めします。

 蒸し上がった餅米を、羽根を取り付けたホームベーカリーの中にあけ、「うどん生地モード」を使ってつきます。このモードは中の米を加熱せず、ずっと羽根が回り続けます。芯が残らずきれいに蒸し上がっている餅米なら1回、あるいは2回目の途中くらいで、芯も残らずつき上がります。

 途中で蓋を開け、水で濡らした木やゴムのへらで生地をひっくり返すと、均一につくことができます。水分量が多い餅米は、この段階で底に流れたり、こびりついたりするのですが、きれいに蒸し上がった米であれば、ひとつに丸まって内釜に張りつくことはありません。
 滑らかに見えてきたら、少しちぎって、つき具合を確認しましょう。

お湯の中に入れる「湯取り方」がお勧め。詳しくは次回の記事で説明します。

 この方法は内釜を熱することがないので、餅米はどんどん冷めていきます。フルオートのお餅モードではつき上がりの内釜は熱くて持てませんが、この方法なら温度がある程度下がるため、つき上がりをすぐに取り出せます。

 餅はひとかたまりで取れますが、内釜の羽根も一緒に付いてくることがあります。外に出してから羽根だけ抜きましょう。

 蒸し器がない方は、炊飯器でおこわのように炊く方法もありますが、こちらもいくつかの炊飯器で検証してみた結果、水分量の調整が難しく、炊飯器によって最適量が違いました。また、浸水はしっかりしたほうが、お米にしっかり火が入りました。

 これで美味しいお餅ができあがり。冷えてくるとだんだん固くなっていきます。つきたてを食べるも良し、丸餅やのし餅にするも良し、です。

 つきあがったお餅の扱いと食べ方は次回の記事でご紹介します!

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