コメ大王が語る「玄米」の真実 第2回

玄米を美味しく炊く!

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炊飯の基本は白米と同じ

 お米のプロである小野瀬さんは、美味しいお米の炊き方を発信しています。
 住み人オンラインでも、過去に「新米をガスで炊いてみませんか?」 という記事で、白米の美味しい炊き方を教わりました。

 玄米はどう炊けば美味しくなるでしょう?

「玄米も白米も、ごはんを炊く基本的なしくみは同じです。まずは、しっかり浸水をすること。それに『炊く』というのが煮る、蒸す、焼くの複合加熱であることにも変わりはありません」

 しかし、玄米は長い時間浸水をしないといけないといわれています。

「それは玄米が、水をはじく層に覆われているからです。果皮、種皮などの層はロウ層ともいわれ、ここがお米内部の水分を保持するための防水の役目を果たしているので、逆に外からの浸水もしにくいのです」

もみ洗いでロウ層に傷を付ける

 実際に、玄米を炊きながら小野瀬さんに解説してもらいましょう。

「まずは白米同様、お米を洗います。玄米には石やゴミが混ざっているという方もいらっしゃいますが、お米屋さんから買う玄米は、色彩選別機を通し、さらに石抜きをしているので、ゴミや石などはほとんど混入していません。農家さんから直接買われる場合は、この作業をしっかりしていない場合があるので注意が必要です」

玄米の洗い方

1:さっと水洗いをしてからざるにあげる

 表面の汚れなどをおとすために、ボウルにいれ、さっと洗ってから水を切ります

2:両手でこするようにもみ洗い

 玄米を両手でつかんで、拝むようにもみ洗いをします。

「これで、防水機能があるロウ層を少し削ります。わずかに精米したような状態でロウ層に傷が付き、浸水させやすくするのです。この作業をやることで、美味しく玄米が炊けます。まんべんなく、2〜3分続けてください」

3:すすぎ

 しっかり傷を付けた後に、貯め水ですすぎます。水が茶色くなる程度でOK。白米同様、洗いすぎはいけません。
「あまりすすぎすぎると、白米同様お米の旨み成分のもとが流れ出してしまいます」

4:長時間の浸水

 玄米1に対して、体積比で1.6〜2倍の水を加え、冷蔵庫など温度の低いところに置いて浸水します。
「炊飯器で炊くなら、水の量は炊飯器の目盛りに合わせていいでしょう。一度炊いてみて、好みの水分量に調整していくといいと思います。時間がかかるのですが、ここできっちり浸水することで美味しく炊けるのです!」

5:玄米モードで炊く

 炊飯器は玄米モードがあります。これは通常より長い時間がかかります。
「炊飯器によっては、ここで時間をかけるので『長時間の浸水は不要』とうたっているものもありますが、しっかり浸水するほうが確実に美味しく炊けます。土鍋や炊飯鍋で炊く場合は、沸騰までは中火でおよそ10分。沸騰してからは弱火にして20分くらいです。白米は沸騰まで10分、沸騰してから10分ですが、水分が多い分、時間をかけます」

6:蒸らしとほぐしをきっちりと!

 火を止めたら、およそ10分蒸らします。蒸らしが終わったら蓋を開け、しゃもじで切るようにしてごはんをほぐします。

「炊飯器で炊く場合は、炊きあがりの合図は蒸らしが終わった状態ですから、すぐにほぐして良いでしょう」

 さあ、あつあつの炊きたて玄米をいただきましょう!

炊く前に塩をひとつまみ?

 玄米を炊くときによくいわれるのが、「炊く前にひとつまみの塩を加える」という豆知識。これは有効でしょうか?

「きっちり浸水した玄米は、お米の旨みや甘みがちゃんと感じられますので、塩は必要ないと思います」

 白米も、塩を入れて炊くと炊きあがりが固めになることがあります。玄米はもともと固めの食感ですから、塩を入れることでさらに固くなってしまう可能性もあります。

玄米も冷蔵庫で保存

 炊く前の玄米はどう保存したらいいでしょう。

「白米のように精米していませんから、空気に触れることで表面から水分が抜けたりすることは少ないのですが、温度が低い冷蔵庫の野菜室などで保存するのがベターです。お米は生きていて、呼吸をしています。15℃を超える環境で保存すると、その呼吸が活発になるのです」

 お米の保存容器やペットボトルなどに詰め替えて、なるべく空気に触れないようにするといいでしょう。

食べきれないごはんは冷凍保存

 美味しく炊けた玄米ごはん、食べきれない場合はどう保存すればいいのでしょうか。

「基本は白米と同じです。冷えると固くなりますし、冷蔵庫で保存しても、食味はどんどん落ちていきます。一食分ずつラップでくるんだり、蓋のできる保存容器に入れたりして、冷凍保存しましょう」

 冷凍でストックしておけば、食べたいときにレンジで加熱するだけで美味しく食べられます。おにぎりにしてからでもいいでしょう。

 次回は、伝統的な玄米の炊きかた「びっくり炊き」と玄米のバリエーションについて伺います。


文・撮影・レシピ◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

お話を伺った方

小野瀬多幸さん

通称「コメ大王」。食味鑑定士の資格を持つお米のプロ。店舗を持たず、ネット通販や出張販売で選び抜いたお米を売る。自前の精米機を持って店頭に立ち、その場で精米したてのお米を対面販売することも。
https://komedaioo.net/

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