
玄米の美味しい炊き方や種類についてお伝えしてきましたが、最終回はそんな玄米ごはんと相性がいいおかずや、玄米ごはんを使った料理についてお伝えします。
ミネラルやビタミンが豊富な玄米は、完全無欠のごはんに思えます。実はタンパク質も豊富で、1日三食、玄米ごはんを1杯ずつ食べれば、1日に必要なたんぱく質の25%を摂取できるのです。
しかし、玄米にも足りない栄養素があるそうです。
「穀物には、必須アミノ酸であるリジン(lysine)が不足しがちです」と小野瀬さん。
リシンはたんぱく質の吸収を促進させ、ブドウ糖の代謝やカルシウムの吸収を高めるほか、肝臓の機能強化、細菌やウイルスに対する抗体をつくり免疫力強化などに効果を発揮するといわれています。毒素であるリシン(ricin)とは別の物質です。
「リジンは豆類に豊富に含まれています。ですから、納豆や豆腐などの豆製品や味噌汁を一緒に食べることで完全栄養食になると思います。そこに焼いた干物でも加えたら最高です!」
典型的な日本の朝食が理想的だといえるでしょう。
「また、肉類にもリジンが豊富に含まれています。豚肉の生姜焼きなども、玄米ごはんの味の深さとよく合いますし、栄養素的にも理想的です」
一人前にニンニクを2片ほど使った香ばしいにんにくチャーハン
玄米ごはんの食感の特徴は、もっちりした白米と違い、ぱらっとしているころでしょう。
「せっかくぱらりとした粒離れがいいごはんなのですから、それを活かした食べ方をするとよいと思います。個人的にお勧めなのは、チャーハンです。白米でパラパラチャーハンをつくるのは難しいのですが、玄米ごはんなら比較的簡単にできます」
基本的なたまごチャーハンの場合、先にたまごと玄米ごはんを混ぜ、塩をしておきます。
ネギショウガを炒めた油でそのごはんを炒め、仕上げに醤油を少し垂らすだけでできあがりです。
また、ごはんの味がしっかりしているので、ニンニクをたっぷり入れたチャーハンなどもいいでしょう。
最初にニンニクとタマネギのみじん切りを弱火で炒め、油に香りをつけたらごはんを入れて一気に仕上げます。味付けは醤油だけでOKです。
「カフェのメニューなどで見られるように、カレーもまた玄米によく合います。ぱらりとしたごはんなので、日本のとろみが付いたカレーより、本格的なインドカレーのようなさらっとしたものの方が向いていると思います」と小野瀬さん。
本格的なインドカレーの作り方は、「スパイスから作る本格カレー」 で紹介しましたが、北海道発祥の「スープカレー」もおすすめです。
スープカレーと玄米ごはんが合うのは、味だけではなく、玄米とスープの食感の組み合わせにもあります。カレーはちょっと手間がかかります。けれど、もっと簡単に玄米ごはんとスープを食べる方法として「雑炊」があります。
玄米ごはんは、ストックしておいた冷凍のものでかまいません。鍋に水を入れ、そこにしらすをたっぷり加えます。さらに玄米ごはんを入れてひと煮立ち。しらすからいいだしが出ます。ひとつまみの塩と、好みの量の醤油で味を付ければ、さらさらと食べられる雑炊のできあがりです。
だしも取らず、さっと作れるので、朝ごはんにも最適です。
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4回にわたって、玄米の美味しい食べ方をご紹介してきました。白米を炊くときにもさまざまなコツがあります。玄米も、基本を抑えれば決して手間がかかるものではありません。白米のように気軽に炊くことができるものもあります。
繰り返しお伝えしたように、玄米は栄養的にとても優れています。そして、白米とは違った玄米ならではの美味しさがあります。
ぜひ、美味しい玄米を楽しんでください。
文・撮影・レシピ◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
通称「コメ大王」。食味鑑定士の資格を持つお米のプロ。店舗を持たず、ネット通販や出張販売で選び抜いたお米を売る。自前の精米機を持って店頭に立ち、その場で精米したてのお米を対面販売することも。
https://komedaioo.net/