春キャベツを食べ尽くす! [第2回]

塩とキャベツだけ! 超簡単ザワークラウト

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塩だけでおいしい漬物ができる!

 家庭で簡単にキャベツを漬けるなら、細く切った塩昆布と千切りやざく切りにしたキャベツをビニール袋に入れて揉むだけで、即席の漬物になります。冷蔵庫で一時間おけば、昆布の塩分や旨みがキャベツをおいしくしてくれます。

 本格的なキャベツの漬物というと、輸入食材店などで瓶詰めで売られているザワークラウトがあります。常温で陳列されているので、キュウリなどのピクルスのように熱した合わせ酢に漬け込んでいると考えがちですが、実は火は一切使いませんし、お酢も使いません。漬物器や手入れが面倒なぬか床を用意する必要もなく、家庭でも簡単に作ることができるのです。

 材料はキャベツと塩。自然の乳酸菌の力で発酵させます。
 漬かりたてはキャベツのフレッシュさが残って歯ごたえがあり、発酵が進むに従ってどんどん柔らかくなってさらに旨味が増します。

漬け込みは簡単!

 それでは、ザワークラウトを作っていきましょう。材料はとてもシンプルです。

 
【材料】
 キャベツ……1玉
 塩……キャベツの2%の量
 キャラウェイシード……お好みで
 ローリエ……お好みで

 

 絶対に必要な食材は、キャベツとその重量2%の塩だけです。どんな塩でもかまいませんが、天日塩だとおいしさがワンランク上になると思います。お好みでキャラウェイシードやローリエを入れてもいいでしょう。今回は、基本のキャベツと塩だけで漬け込みます。

 漬け込む容器は100円ショップで売っている写真のような蓋付きの瓶でかまいません。シリコンのパッキン付きなど密閉できる容器がおすすめですが、そうでない場合は、水分がこぼれないように注意しましょう。樹脂製の密閉容器でもかまいません。また、背が高くて口が狭いもののほうが使いやすいですが、深さがあるものならいいでしょう。
 容器は、煮沸消毒か熱湯を注いで滅菌をしてから、口に入れても問題ないアルコールなどをスプレーしてから使いましょう。樹脂製のものは煮沸消毒には向きませんのでご注意ください。
 

キャベツを千切りにする

 まずはキャベツを千切りにします。幅は3mm〜5mmくらい。好みでかまいませんが、市販のザワークラウトはかなり細く切ってあります。スライサーなどを使ってもいいでしょう。今回は、春キャベツの食感を楽しめるように、5mmくらいの幅に切りました。
 収穫時の切り口付近はカットします。芯もスライスして漬け込んでもかまいませんが、やや繊維が強く硬いので、気になる方は芯を取り除きましょう。

2%の塩でキャベツを揉む

 キャベツを切り終わったら、重さを量り、その2%の量の塩を用意します。
 大きなボウルにキャベツと塩を入れ、ぎゅうぎゅうと揉み込みます。しんなりとして水分が出てくるまで揉むと、漬かりが早くなります。この時点でかさがだいぶ減ります。キャラウェイシードを入れたい方は、この時点で一緒に混ぜましょう。

容器にぎゅうぎゅうと押し込む

 容器にキャベツを詰めていきます。
 隙間がないように、麺棒やすりこぎなどで押し込みながら、しっかり詰めます。ガラス容器の場合、あまり力を入れすぎると容器が割れてしまうことがあるので注意が必要ですが、キャベツの繊維を潰していくような感覚で押し込みましょう。

 この段階で、キャベツから水分が出てきます。しかし、収穫してから時間が経っているキャベツの場合、あまり水分が出てきません。そんなときは、2%に薄めた塩水(分量外)を作って上から注ぐと良いでしょう。
 ローリエを入れたい方は、詰め終わった後に上にⅠ枚置きます。ローリエの甘い香りがアクセントになります。種を抜いた鷹の爪を1本入れるのもおすすめです。

 容器の口いっぱいまで詰め終わったら、キャベツの外葉(分量外)を1枚上にのせて蓋をします。なるべく容器内のキャベツを空気に触れさせないためです。発酵前に空気に触れると、そこが傷む危険性があります。ラップで代用してもかまいません。
 これで漬け込みは完了。常温で1週間から10日くらいで発酵します。

浅漬けも古漬けもおいしい!

左は漬けて10日、右は1カ月経ったもの。

 漬けてから一週間くらいは、食べてみてもただしょっぱいだけ。10日ほど経つと、キャベツのフレッシュさは残りながらも、酸味がしっかり感じられるようになってきます。

 さらに2週間、3週間と経つうちに、だんだんしっかり漬かってきます。2カ月くらいすると、お店で売っているような酸味が際立ったザワークラウトになります。ぜひ2瓶漬けて、浅漬けと古漬けを楽しんでみてください。

ソーセージとの相性は最高!

 そのまま食べてもおいしいザワークラウト。おすすめは、ソーセージといただくこと。お好きなソーセージをフライパンなどで焼いて、そこにザワークラウトを添えましょう。ちょっと火が入ったものも、またおいしくいただけます。

焼き鮭の洋風ちらし寿司

 ザワークラウトの酸味は、お酢とはまた違った味わい。この酸味を使って、春らしく、洋風のちらし寿司を作ってみましょう。

 
 【材料】
  ザワークラウト
……大さじ3〜4(みじん切り)
  パックのもち麦ごはん
……1パック
  甘塩鮭
……1切れ
  ヨーグルト
……大さじ2
  塩
……ひとつまみ
  プチトマト
……2〜3個
  クリームチーズ
……小さく手でちぎって4〜6切れ
  ディル
……適宜
 

 ごはんは白飯でも玄米でも良いですが、食感が楽しいもち麦が入ったパックのごはんを使います。スーパーやコンビニなどで買えます。

 甘塩鮭をオーブントースターやガステーブルのグリルで焼いて、骨と皮を外し、ほぐしておきます。瓶詰めで売っている鮭のフレークでもいいでしょう。ザワークラウトはみじん切りにしておきます。

 レンジで温めたもち麦ごはんにザワークラウト、ヨーグルト、塩を加え、よく混ぜてから、ほぐした鮭の身を入れてざっくり混ぜ込みます。鮭をあとから入れるのは、身が細かくなり過ぎないためです。

 混ざったら器に盛り、上から半分に切ったプチトマトと小さくちぎったクリームチーズを散らし、さらにディル(ハーブ)を飾ります。ハーブはイタリアンパセリなどでもかまいません。

 ブランチにもぴったりな、これからの季節にピクニックのお弁当としても楽しい一品です。


レシピ考案・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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