春キャベツを食べ尽くす! [第5回]

春らしい軽やかポトフ

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一品でスープとメインディッシュに

 野菜と肉を水からゆっくり煮込み、そのスープと煮た具を別々の器に盛り、それぞれ味を付けながら食べるのがポトフです。フランスではかつて、肉や野菜を入れた鍋を、朝仕事に出かける途中にパンを焼き終えたパン屋に持っていき、パン窯の余熱で火をいれてもらっていたそうです。仕事帰りにそれを受け取り、家でスープとメインディッシュを食べることができる、という訳です。

 冬のポトフならば、赤身の牛肉の塊を使い、タマネギにクローブというスパイスを刺してスープに香りをつけるこっくりしたポトフがぴったりですが、暖かくなってきた春、特に春キャベツを味わうならば、食材も全体に軽いものを使って、短い煮込み時間でさっと作れるものはいかがでしょうか。
 たっぷり作れば翌日以降、柔らかくなった肉や野菜、味わいが深くなったスープを楽しめるので、大鍋で大量に作るのがおすすめです。

野菜はなるべく皮付きで

野菜は皮に豊富な栄養素があるので、なるべく皮付きでいただきましょう。風味もよくなります

 キャベツはバラバラにならないように芯を残したまま半分にし、さらに1/3くらいに切ります。芯の端の、収穫時の切り口は切り落としてください。

 鶏肉は、味がよく出るように今回は骨付きの手羽元を使います。一口大に切った鶏もも肉でもいいでしょう。

 ジャガイモはよく洗って芽を取り、皮付きのまま煮込みます。新じゃがの少し小さめのものを選ぶといいでしょう。
 タマネギは皮を剥き、先端と根の部分を落としてから4〜6等分に。
 カブはよく洗って泥を落とし、先端の細い根だけを包丁で落として、茎を少し残したまま4つ割りに。煮ると柔らかくなるので、他の野菜より少し大きめで大丈夫です。

 ニンジンは皮付きのまま、5〜7cmに切り、太いようなら半割りや1/4の太さに。
 リーキ、セロリもニンジンと大きさを合わせて切りましょう。あまり小さく切らず、野菜がゴロゴロしている方ができあがりの見た目が楽しくなると思います。

 材料を切り揃えたら、硬いものから鍋に入れ、具がかぶるくらいたっぷりの水を入れます。

弱火でじっくり煮込みます

 鍋を火にかけます。火加減は、弱火〜とろ火で。沸騰するまで強火だと、アクが出やすくなります。最初からごく弱火で沸騰しないように煮込んでいけば、アクはほとんど出ません。1〜2時間、野菜の柔らかさを確認しながら煮込みましょう。カブは途中で加え、30分ほど煮込めば柔らかくなります。

 オーブンに入れられる鋳物ホーローやカセロールで煮込むなら、オーブンレンジでずっと火を入れる方法もあります。ガスである程度まで温度を上げたら、蓋をしたままオーブンレンジへ。150℃くらいで1〜2時間。オーブンレンジなら、火加減を気にする必要も、吹きこぼれの心配もありません。

春キャベツは食べる直前に

 春キャベツはカブ以上に火が入りやすいので、食べる5分くらい前に加えて軽く火を通すくらいで良いでしょう。柔らかい食感が好みなら、15分くらい煮込みましょう。

スープは別に盛ります

 スープはスープ用の器に注ぎます。食卓に塩や胡椒を置いて、それぞれの好みの味でいただきます。
 肉や野菜は皿に盛り、マスタード、塩、胡椒などを付けながらメインディッシュとしていただきます。一つの鍋でスープとメインディッシュの両方を楽しめるのがポトフの醍醐味です。パンを添えてどうぞ。

 軽い味わいの鶏肉とキャベツの甘みが特徴の春らしいポトフ。ワインを合わせるなら、春らしい軽やかな辛口のロゼワインか、流行のオレンジワインで楽しんでみてはいかがでしょうか。


レシピ考案・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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