
コロナ禍でおうち時間が増えたことで、普段の生活を充実させる方が増えてきました。そんな中で、ひそかに流行中なのが「おうちでパンづくり」です。けれど、パンはいろいろ手順が大変でハードルが高そう、と思っている方も少なくないようです。
そこで、簡単で失敗しないパンづくりからスタートして、段階を追ってコツを学んでいきましょう!
一般的に、パンを焼くためには、イースト(酵母)と水を小麦粉などに加えて発酵させ、膨らんだところでオーブンに入れ、焼きます。
パンづくりのビギナーに話を聞くと、一番多い失敗は「一次発酵がうまくいかない」というもののようです。イーストは生きものです。温度や発酵のための栄養源になる糖分やデンプンなどのバランスがうまくいかないと、なかなか生地を膨らませてくれません。
そこで、ファーストステップとして、イーストを使わないパンづくりをしてみましょう。
オーブンも使わず、フライパンや鍋で焼ける、簡単なのに美味しいパンです。
小麦粉に水を加えた生地をパンにするためには、膨らませなければいけません。その役目を果たすのがイーストですが、今回はその代わりに「ベーキングパウダー」を使います。
ベーキングパウダーは、別名「ふくらし粉」とも言い、お菓子やパンの生地を膨らませる材料です。重曹と重酒石酸カリウム、炭酸アンモニウムを混ぜ合わせたもので、水分と反応して炭酸ガスを発生させます。
イーストは、糖分やデンプンを食べながらアルコールや炭酸ガスを出しますから、しくみがそもそも違います。
使う小麦粉は薄力粉です。通常、パンには、タンパク質が多く、グルテンを作りやすい強力粉を使いますが、今回はタンパク質が少なく、そのぶん膨らみやすい薄力粉を使います。
ベーキングパウダーはイーストに比べ、膨らませるパワーがやや劣るからです。薄力粉で焼いたパンは、軽やかな焼き上がりになります。
それでは、さっそくパンを焼いてみましょう。
小麦粉、ベーキングパウダー、塩、砂糖を合わせてふるいでふるっておく。
たまごを溶いて、卵白のコシが切れて全体が均一になるまでかき混ぜ、そこに牛乳を加えてよく混ぜ合わせておく。
捏ねるのはボウルの中で行いますが、加工された鍋やフライパンで焼くならその中でもかまいません。
ボウルの中の粉の中央をくぼませ、そこに少しずつたまごと牛乳を加える。全体にまわったら、よく捏ねる。
生地がなめらかになってきたら、油を加え、さらに捏ねる。
※滑らかにならない場合、水分が少し足りないので、牛乳か水を手にほんの少し付けて捏ねてみましょう。
全体がまとまり、なめらかになったら生地はできあがり。
生地をいくつかに分けて丸めます。好きな形でかまいません。大きさを揃えると、焼きあがりのムラがなくなります。
もう片面も焼き、表面全体が焼けてきたら、火を強め、フライパンを持ち上げて遠火にしてコロコロと転がしながら焼くと、全体に綺麗な焼き目がつきます。
動かさないと、鍋に接している面が焦げてしまいます。
冷えると固くなりがちなので、焼きたてをいただきましょう!
冷えて固くなったパンは、短時間レンジアップすると柔らかく、美味しく食べられます。
生地を捏ねている途中で、レーズンなどのドライフルーツや、刻んだクルミ、アーモンドなどのナッツ類を加えてみましょう。いりごまを加えても面白い食感になります。
パン屋さんではコスト面で使えない食材を使えることも、おうちパンの魅力です。
「こんな具材が入っているときっと美味しいだろうな」と想像しながら、自分だけのパンを作ってみましょう!
次回は、イーストを使って発酵させるパンを作ります。
レシピ考案・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)