「おうちパン」に挑戦! 第3回

イタリアの捏ねないパン「チャパタ」をオーブントースターで

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 チャパタは、イタリアのロンバルディア地方が発祥といわれる伝統的なパンです。イタリア語で「スリッパ」「靴の中敷き」という意味で、形からそう呼ばれています。

 小麦粉、塩、水、イースト、オリーブオイルでつくるシンプルなパンで、カロリーも低めなことから、女性の間でも人気があります。

 今回は、生地を捏ねないで仕上げる簡単な方法でこのチャパタを焼いていきましょう。温度調節ができるオーブントースターでも十分焼けます!

準強力粉「リスドォル」を使う

 今回の連載第1回では薄力粉第2回では強力粉を使いましたが、今度は「準強力粉」という小麦粉を使ってみましょう。その名の通り、薄力粉と強力粉の中間のような粉で、ヨーロッパのパンの多くは、この粉でつくられます。

 性質は強力粉に近いのですが、タンパク質の量が強力粉より少なく、そのぶん生地がのびやすくなります。また、ミネラル分が多く、小麦の味わいが強い粉だともいえます。

 準強力粉にもさまざまな種類があり、一番手に入りやすいのが「リスドォル」という粉。これは、フランスパンを焼くために、日清製粉が開発した小麦粉で、誕生して50年以上、日本のフランスパンを支えてきた粉なのです。

 パンづくりになれてきたら、ほかの準強力粉を使ってみても楽しいと思います。
 最近、国内のパン業界で人気なのは、国産小麦の「ハルユタカ」を使った粉ですが、これも準強力粉です。手に入るのなら、この粉を使ってみるのもいいかもしれません。

【材料】(4個分)

  • 準強力粉(リスドォル)
    200g
  • ぬるま湯
    170ml
  • ドライイースト
    小さじ1/3(1g)

  • 小さじ2/3(4〜5g)
  • 砂糖
    小さじ1(3g)
  • オリーブオイル
    大さじ1

1:準備

 夜の間に、35~40度のぬるま湯にドライイーストと砂糖を入れ、溶かしておきます。
 できれば、保温機能がある二重構造のタンブラーなどを使いましょう。
 小麦粉は塩を加え、ふるっておきます。

2:生地にイーストを溶いたぬるま湯を加える

 イーストが溶けたぬるま湯を、ボウルの中の粉に少しずつ加え、粉と合わせていきます。水を一気に混ぜるとだまなるので、何回かに分けましょう。
 生地がまとまってきたら、オリーブオイルを加えてよく混ぜます。粉気がなくなってきたら、ラップをして10分ほど休ませます。

3:発酵

ひと晩冷蔵で低温発酵させた生地。加水率が高めなので柔らかい生地ですが、捏ねずとも自然と水が回って全体にツヤツヤ、しっとりしています。

 休ませた生地を、ゴムベラなどで下からすくい、ボウルを回しながら、すくった生地を真ん中に落とします。生地が切れないように注意。数回繰り返すとグルテンが生成されて、生地につやが出てきます。
 その段階で、ラップをしてひと晩、冷蔵庫で寝かせます。蓋つきのコンテナでもかまいません。冷蔵庫の冷たい空気の中で寝かせることで、ゆっくり発酵が進みます。生地が倍になるのに最低8時間を見ておきましょう。

4:成形

 翌日、冷蔵庫から取り出すと、およそ倍に膨らんでいます。
 ボウルのまわりにヘラなどをぐるりと差し込みながらボウルと生地を剥がします。
 生地は、打ち粉をした板やシリコンシートの上に取り出します。このとき、無理に取り出さず、生地を潰さないように自重を利用して取り出し、やさしく広げましょう。

 生地を広げたら上下を1/3ずつ三つ折りにし、さらに左右からも生地をつまんで中央に持っていきます。
 寄せた生地がある程度まとまったら、上から打ち粉を軽く振って、ひっくり返します。天板の大きさに合わせたオーブンシートを用意しておき、生地を4等分して成形し、並べます。

5:オーブンを予熱する

 天板を入れたオーブン(またはオーブントースター)を予熱します。250度程度に温めましょう。

 天板の上にオーブンシートごと生地をのせ、焼き始めます。ここで、霧吹きで水を3~4プッシュして、庫内に蒸気を行き渡らせるといいでしょう。

焼き上がりです。多少不揃いだったり、くっついたりしてもご愛敬!

 230度で10分ほど焼き、様子を見て190度ほどに下げてから、さらに数分焼きます。
 焼き上がりの状態を見極めながら、合計20分程度で焼き上がりです! あまり焼き色が付かなくても大丈夫。比較的白いパンです。

 オーブンの設定温度が250度まで上がらない方は、設定できる最高温度で予熱します。温度が低いと、膨らみ方がやや足りないことはありますが、きちんと火が入れば美味しいパンになります。

チャパタはサンドウィッチに!

 チャパタは、水平に切り開いてさまざまな具材を挟んでサンドウィッチにすると美味しく食べられます。

 また、ホットサンドメーカーを使って焼き、イタリアのホットサンド「パニーニ」にするのもいいでしょう。

 過去の連載「サンイッチの達人になる」を参考に、オリジナリティあふれるサンドイッチもつくってみてはいかがでしょう。
https://owners.lixil.co.jp/articles/kitchen/141/
https://owners.lixil.co.jp/articles/kitchen/142
https://owners.lixil.co.jp/articles/kitchen/143/
https://owners.lixil.co.jp/articles/kitchen/144

 次回は、イタリアのジャガイモを混ぜ込んだパン「フォカッチャ」に挑戦です!


レシピ考案・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

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