鍋も蓋も丸い「カタプラーナ」
今回は、ポルトガルの鍋料理をご紹介します。
ポルトガル料理は、実は和食にとても縁があります。たとえば「天ぷら」。これは、長崎にやってきたポルトガル人宣教師が伝えた料理が、ルーツだといわれています。天ぷらという言葉自体、ポルトガル語で調理を意味する「テンペロ」が由来となっているのです。
ほかにも、バカリャウと呼ぶ干鱈を使うなど、日本人にもなじみやすいものが多くあります。貝類やカメノテなどの珍味を食べるのも、日本と共通点がありますね。
そんなポルトガルには「カタプラーナ」と呼ばれる鍋があります。銅製のボウルを2つ合わせたような形で、蓋の部分を閉め、パチンと留め金をするかわいらしい見た目が特徴。この鍋は密閉性が高く、食材の水分を活かして旨味を引き出す、無水調理に近いものです。
家庭では、蓋がしっかりした土鍋を使えば、同じような料理が出来ます。
【材料】(4人前)
- 塩鱈
4切 - (干し鱈を水で戻したものなら、なお良いです)
- 有頭海老
4本 - アサリ
1カップ - ムール貝
4〜8個 - イカ
1杯 - タコ
足1本 - (もし手に入ればイイダコを8杯)
- ジャガイモ(メークイーン)
2〜3個 - トマト
中2〜3個 - ニンニク
3〜4片 - オリーブ
8〜12粒 - パセリ
適宜 - 白ワイン
カップ1 - オリーブオイル
大さじ2〜3 - 白胡椒
適宜
【作り方】
1:魚介の下ごしらえと掃除
アサリは殻同士をこすり合わせるようにして汚れを落とし、水で洗います。
ムール貝はたわしや金だわしで表面をこすり、フジツボなどを落とします。養殖の時の紐がついている場合もあるので、それも取り除きましょう。
海老は竹串を使って背わたを抜き、塩水でさっと洗っておきます。
イカは内臓を抜いてさっと水で洗ってから輪切りに。足の部分は先端を切り落として、2〜3切れに分けておきます。
タコも足の先を切り落としてから、ひとくち大に切っておきます。
塩鱈は、熱湯をさっとかけてから、ペーパータオルで水気を拭き取っておきましょう
こうした下処理を丁寧にすることで、海鮮特有の生臭さを抑えることが出来ます。
2:ジャガイモをスライス
ジャガイモは、煮崩れしにくいメークイーンを使います。泥をよく落とし、芽を取って、1cmくらいの輪切りに。気になる方は皮を剥いてもかまいませんが、皮付きの方がおすすめです。
ニンニクは皮を剥いて軽く潰しておき、トマトは粗くカットしておきます。
3:カタプラーナで調理開始!
鍋にたっぷりのオリーブオイルとニンニクを入れ、弱火でオイルにニンニクの香りを付けます。火が強いとニンニクが焦げるので、あくまで弱火で。
4:具材の投入はアサリから
まず、アサリを投入します。軽く炒めたらジャガイモを加え、オイルをまとうように混ぜます。
さらに、イカやタコを加え、炒めます。
完全に火が入らなくても大丈夫。食材を混ぜるのは、ここまでです。
5:他の具材を加える
鱈をのせ、さらにトマトを入れます。ここから先はかき混ぜません。
さらに鍋に白ワインを加え、ローリエを入れます
海老とムール貝を並べたら、蓋をして中火〜弱火で煮込みます。
食卓で蓋を開けると、海鮮の良い香りが部屋中に広がります! 上からパセリのみじん切りを散らして、いただきましょう。
鍋の底には、おいしいスープが溜まっていますから、そこにパンを浸して食べます。
カタプラーナはさまざまなバリエーションが考えられます。
今回、メイン食材として塩鱈とジャガイモを使ったのは、ポルトガルでは日常的に鱈とジャガイモが食べられているからです。干鱈を1日かけて水で戻し、それを炭火で焼いたり、身をほぐして、潰したジャガイモと一緒にコロッケにしたりもします。
干鱈は、日本でもかつてはよく食べられていましたが、最近ではなかなか手に入りにくい食材になってしまいました。
京都の伝統料理「芋棒」は、棒鱈と海老芋を手間暇かけて炊き上げる料理です。そんな料理も頭に思い浮かべながら、このレシピを考えました。
カタプラーナは見た目もかわいらしい鍋なので、一度この鍋をつくってみて気に入ったら、ぜひ手に入れてください。食卓が華やかになりますよ。
次回は、地中海沿岸で使われる「タジン鍋」を使った、煮込み料理です。
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