湿度が高いとにおいは強く感じる?
雨の季節、人はにおいに敏感になります。それは体調ではなく、湿度と温度のせいです。
においの分子は空気中に漂っていますが、湿度が高い状態、つまり空気中に水蒸気が多い状態だと、においの分子は密になります。
また、においの分子は揮発性が高いので、温度が高い季節は空中に拡散しやすくなります。湿度も温度も低い冬から春にかけて気にならなかったにおいが急に気になり出すのは、梅雨になると湿度も温度も上がるからなのです。
それは屋外だけでなく、室内、特に閉鎖された空間であるトイレで顕著になります。
意外と気づかない壁への「ハネ」
梅雨になると、普段きちんと掃除をしているつもりでも、トイレに入ると妙なにおいが鼻を突くようになります。その最大の原因は、室内に飛び散った尿からくるアンモニア臭です。
尿は体内から排出された時点ではあまりにおわないのですが、空気に触れて時間が経つと、細菌の働きよりアンモニアを発生します。
「きちんと掃除しているのに」と思われるかもしれませんが、立ったまま用をたす男性は少なくありません。また、座って用を足した場合でも、まったく尿ハネが起こらないというわけでもありません。
梅雨に入る前に、そうした「尿ハネ」をキレイにしておくことが、トイレを快適にする第一歩です。
壁や床に染みついたハネから
第一にやるべきことは、壁や床面の拭き上げです。トイレの壁や床は、たいてい防水性が高い素材で覆われていますから、拭くこと自体はさほど難しくありません。ただし、長期間こびりついたハネは、簡単には落ちません。
そこで、アルカリ電解水を使いましょう。ホームセンターや100円ショップなどで販売されています。原料は水で、電気を流して水を酸性とアルカリ性に分け、そこからアルカリ性の水だけを詰めたものです。
アルカリ電解水は、読んで字のごとくアルカリ性です。尿は一般的には弱酸性なので、アルカリ性の液体をかけると中和されやすいのです。また、アルカリ電解水は殺菌効果もあり、尿を栄養源にアンモニアを発生させる菌をシャットアウトすることができます。
また、原料が水なので、中性洗剤や塩素系の漂白剤に比べて安全性が高く、乾くと壁には何も残りません。
アルカリ電解水を壁や床に吹き付けてから、乾いたクロスなどで拭き上げるだけで、においの原因となる尿ハネなどの汚れをキレイにすることができます。
便器の周囲もていねいに
壁や床がキレイになったら、次は便器そのものを掃除しましょう。
実は、便器の下側にも尿がハネていたり、汚れがこびりついていたりするものです。便器は陶器製ですから、掃除は簡単です。トイレ用のおそうじティッシュで上から下に向けて全体を拭きましょう。壁と同じように、アルカリ電解水を吹き付けたあとで、から拭きをしてもいいでしょう。
また、床と便器の接触面は、ゴミやほこり、尿だれによる汚れが溜まりやすいところです。綿棒でこすって汚れを取ったり、アルカリ電解水を吹き付け、古歯ブラシなどで優しく磨いたりしてから、仕上げにトイレ用おそうじティッシュや乾いた布で拭き上げるといいでしょう。
見落としがちな便座の裏と便器のフチ
外側が終わったら、次は便器の本体をキレイにしておきましょう。座の裏側や、便器と便座の接触面、便器のフチの裏側などは、ハネや汚れが残りがちです。
特に便器のフチの内側は、カビていたり、汚れがこびりついていたりしても気づきにくいのです。
便座をあげて、便座の裏側や便器の上面を、アルカリ電解水やトイレ用のおそうじティッシュを使ってクリーニングしましょう。便器のフチの裏側は、掃除用のブラシを使って汚れをこすり落とします。汚れが目立ってきた時は、中性洗剤をかけてしばらく放置してから、ブラシでこするといいでしょう。
使い終わったブラシなどは洗って干す
こうやって梅雨に入る前に一度徹底的にトイレをクリーニングすると、あとは週に一度か二度、気がついたときに軽く全体を拭き掃除するだけで、トイレのにおいは気にならないレベルになります。
さらに、トイレの換気扇をなるべく常時回しておくと、においがこもることもありません。
そして、清掃に使ったブラシなどは、塩素系漂白剤を希釈したものに浸してから水で洗い流し、干しましょう。水分を含んでいると、掃除道具が悪臭の元になりかねません。
トイレの香りを工夫する
アロマディフューザー。左は素焼きのもので上皿に水を注ぎ、アロマオイルを1ダッシュするだけで香ります。梅雨王はUSB電源で駆動させるネブライザー式のもの。
かつては、トイレに芳香剤を置いていた家庭も多かったと思います。そのにおいは過剰で、決して心地よいものではありませんでした。
せっかく無臭の空間になったのであれば、強烈なにおいを放つ芳香剤を使う必要はありません。けれど、家族が多い家では、誰かがトイレを使ったすぐ後に入ることもあるでしょう。
換気扇を回しても間に合わないときの対策として、アロマディフューザーを置く、というのもひとつの手です。香りが強い芳香剤より、ミント、ローズマリー、あるいはシダーなどのアロマオイルの香りがほのかに香るほうが好まれるようです。
アロマディフューザーにはさまざまなタイプがありますが、ろうそくなどの火を使うものはトイレでは危ないので、電気で駆動させるネブライザー式のものや、電気や熱を使わないものがトイレに向いています。
最近では「トイレで読書」などという方は少ないと思いますが、トイレで過ごす時間は案外長いものです。梅雨に入る前に、におい対策を万全にしておくことで、ジメジメした季節のトイレ時間が快適になること請け合いです!
次回は最終回。リビングやベットルームでの時間を快適に過ごすためのポイントについてお伝えします。
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