雨の季節に負けない快適空間づくり[第1回]

バスルームにカビを生やさない!

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梅雨前にカビのもとを絶つ

 毎日お湯を流し、湿度が上がるバスルームは、梅雨の時期は特にカビの温床になります。
 カビが発生する要因は、栄養源、水分、酸素、温度の4つです。カビの胞子は空気中を自由に移動し、これら4つの条件が揃った場所に付着すると、大繁殖してしまいます。そして、バスルームこそ、4つの条件が揃いやすい環境なのです。

 ここで、それぞれの条件について見てみましょう。

・栄養源
 人にくっついてバスルームに持ち込まれるほこりや、石けんかすやシャンプーの成分、身体を洗ったときに出る垢や皮脂、髪の毛など、カビの菌が繁殖するための栄養源になるものはたくさんあります。

・水分
 バスルームは常にお湯を使うので、水分は豊富です。特に梅雨の時期は外気も湿度が高く、なかなかカラッと乾燥、というわけにはいきません。

・酸素
 人間が生きるにも必要な酸素は、当然、バスルームの中にもたっぷりあります。

・温度
 カビの菌は室温0~40℃で繁殖するといわれています。つまり日本の場合、ほぼ1年中菌が生きられる環境にあるのですが、中でも20~30℃くらいの室温が最も活発になります。
 東京の平均最高気温は5月が21~22℃、6月が24~26℃、7月は27℃~28℃。まさに梅雨から真夏にかけては、カビが最も繁殖しやすい温度なのです。

入梅前にカビを一掃!

 カビを発生させないために大事なのは、「カビのもと」を徹底的に取り除くこと。
 それも、空気が乾燥している梅雨入り前の時期に済ませておくことです。バスルームの部位別に、カビの掃除方法を解説します。

排水口の清掃

 排水口には、洗い流された石けんかすや髪の毛、皮脂などが流れます。ここは常にそうした汚れでドロドロになり、しつこい黒カビが発生します。

 そこで、まずは、排水口まわりのパーツを外して汚れを落とします。洗剤などを使ってつけ置きし、古い歯ブラシなどでキレイに磨きましょう。
 カビがすでに発生している場合は、塩素系の泡スプレー漂白剤を吹きかけてしばらく放置します。泡スプレーはカビをまとめて取り込めるので、おすすめです。
 さらに、パイプクリーナーなどの薬剤を使って、届かないパイプの奥もキレイに掃除しましょう。

 漂白剤や洗剤などを使うときは、防水性のある手袋をし、換気をよくして作業しましょう。
 このとき、特に注意が必要なのは、漂白剤などの塩素系の薬剤と、酸性タイプの洗浄剤を一緒に使ってはいけないということ。塩素ガスが発生するととても危険です。それぞれの薬剤の注意書きをしっかり読んで使いましょう。

天井の換気口もキレイに

 バスルームの天井付近にある換気扇は取り外しが可能ですから、外してキレイにしましょう。中性洗剤などのつけ置き洗いと古い歯ブラシ磨きで、たいていの汚れは大丈夫。もしカビが繁殖している場合は、漂白剤のつけ置き洗いをしましょう。

※換気扇お掃除の手順について、詳しくはこちら

浴槽のサイドパネルを外す

 表から見えない場所にカビが繁殖していることはよくあります。浴槽の多くは、サイドパネルが取り外せます。外してみると、バスタブのサイドや下にびっしりカビが繁殖している恐怖の光景が……。これはさらなるカビの繁殖の温床になるので、頑張ってキレイにしてしまいましょう。
 季節ごとに一度、サイドパネルを外して点検してみることをお勧めします。

棚の下やシャワーヘッドもキレイに

 普段チェックできていない浴室の棚の下も、カビが生えやすい場所です。シャワーヘッドなどは毎日水やお湯を出しているから大丈夫だと思いがちですが、案外カビが発生してる場合があります。シャワーヘッドは簡単に取り外せますから、洗剤や漂白剤などでつけ置きをしましょう。

風呂あがりには浴室内を流す

 カビのもとを絶った浴室は快適ですが、それでもうっかりしているといつの間にか再び汚れがたまり、そこからカビが繁殖します。

 それを防ぐためにも、1日の最後にシャワーでバスルームの壁や床を洗い流します。冷たい水のシャワーで流した後にタオルなどで壁面の水分を拭き取るようにすることをお勧めします。

 シャワーで身体を洗い流したままでは汚れや皮脂を完全に排水口に流しきれないのです。また、シャワーの水滴が跳ねることで、床面だけではなく、壁にも汚れが付いてカビの元になります。冷たい水で流すと、バスルームの温度がさがり、カビ菌の活動も鈍らせることができます。

常に換気を心がける

 お風呂あがりの換気で注意したいのは窓です。
 梅雨の時期は、外気も湿度70%以上、雨が降っていれば90%という場合もあります。通常ならば窓を開けて換気するといいのですが、この時期はむしろ、窓を開けると乾燥を遅らせる場合があります。

 そこで、風呂上がりにはまず、窓を開けずに換気扇を回しましょう。浴室のドアも開けます。
 家の中はリビングのエアコンなどである程度湿度が下がっていますから、その乾いた空気を取り入れ、換気扇から逃がすことで、より効率的にバスルーム内を乾燥させます。

梅雨の間は24時間換気

 カビは空気が対流していると発生しにくくなります。
 湿度が高い季節は1日中換気扇を回しておいてもいいでしょう。お風呂の換気扇の消費電力は0.9~2.4wととても低く、1日中回していても、月に50円程度のランニングコストにしかなりません。

 梅雨の時期は、外から帰ってくるとすぐにシャワーで汗を流してサッパリしたくなるものです。
 そんなバスルームを快適にするには、積極的な換気で常に清潔な状態をキープするように心がけましょう。

 次回は梅雨だからこそ気をつけたい、食品の安全管理についてです。


取材・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

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