雨の季節に負けない快適空間づくり[第5回]

梅雨のリビングやベッドルームを快適に

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梅雨どきは除湿? 冷房?

 梅雨の季節は気温が高く、湿度も高いため、不快指数はぐんと跳ね上がります。けれど、真夏ほど気温が高いわけではなく、リビングやベッドルームの空調で悩みます。
 エアコンを除湿モードで運転していると室温が高すぎ、冷房モードにすると寒すぎる。そんな経験をなさったことがあると思います。

 日本の平均的な気候である静岡県浜松市で見てみると、6月の平均湿度は78%。7月は77%、8月は76%とさほど変わらず、蒸し暑い日が続きます。6月の最高気温の平均は26.6℃。7月は梅雨明けの期間も含めて平均30.3℃、8月は31.8℃です。

 いったい、どのタイミングで除湿と冷房を切り替えるのが正解なのでしょうか。

 一般的に、夏場は室温が26~28℃、湿度が50~60%の状態が快適だといわれます。エアコンメーカーも、それを基準にさまざまな設定をしているそうです。

 ところで、除湿には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」という2つのタイプがあります。
 空気中から水分を取り、外に出す仕組みは同じですが、「弱冷房除湿」の場合は弱い冷房をかけているのと同じなので、肌寒く感じることがあります。

 一方、上位機種によく採用されている「再熱除湿」の場合は、弱冷房と同じように除湿した冷気を少し温めて部屋に戻す仕組みになっています。室温を下げずに湿気だけを取り除いてくれるため、梅雨や夜でも体が冷えすぎず、寒がりの方でも快適に過ごすことができるのです。

 エアコンのリモコンに「除湿」や「ドライ」とだけ書かれている場合は、「弱冷房除湿」のことです。
 また、メーカーにより異なりますが、特徴的な除湿機能の名前が記載されていたら「再熱除湿」機能を備えていると考えればいいでしょう。

布団乾燥機を活用して快適なベッドに

 いくら除湿をしていても、梅雨の時期は、肌に触れるものがなんとなく湿っぽく感じます。また、洗濯物を部屋干しすると、当然、湿度は上がります。

 そんな時期に気をつけたいのがベッドルームです。
 布団は湿気を含みやすいですし、冬に比べて寝ているときに汗もかきます。雨が降っていなくても外の湿度は高いため、布団を干すこともできません。そもそも室温・湿度ともに高いので、布団はカビやダニの発生しやすい環境になります。

 日本人は3人に1人の割合でアレルギーを持っているという説もあるくらいですから、カビやダニの繁殖は極力避けたいものです。
 そのためにお勧めなのが、布団乾燥機です。

 布団乾燥機は、家電量販店で1~2万円程度で買うことができます。布団の中にダクトを入れ、温風を送ることで、30分ほどで布団の湿気を飛ばしてふかふかにしてくれます。ダニを殺す機能もあります。
 1日30分使用することでの電気代は、およそ7~8円と低コストです。掛け布団だけでなく、ベッドマットも温風で乾燥してくれるのもうれしいところです。

 また、熱々になった布団に冷風を送って冷やすこともできるので、蒸し暑い日でも「寝るときに暑くてベッドに入れない」ということはありません。

 注意したいのは、布団に付いているダニは熱い空気で退治できますが、その死骸をそのままにしておくと、またダニが発生しやすい環境になるという点。定期的に掃除機をかけるといいでしょう。

 また、夏は汗をかき、皮脂の分泌が多くなりますから、シーツはこまめに替え、月に一度くらいはコインランドリーで洗濯し、乾燥機にかけるといいでしょう。
 家で洗うこともできますが、大型の乾燥機があるコインランドリーは便利です。

リフォームで調湿性の高い建材を

 エアコンをかけて除湿をしていれば、快適な空間はある程度維持できます。
 けれど、すべてをエアコンに頼ってしまうのは、SDGsの観点から最良とはいえません。

 高温多湿の日本では、昔から調湿性のある建材がありました。珪藻土はその代表で、湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは内部に含んだ水湿気を出す「呼吸する壁」です。
 現在でも、珪藻土を使った壁紙用のクロスなどもありますが、表面の風合いが「珪藻土らしい」だけの商品では、調湿性能はあまり期待ができません。

 それに変わる建材として、多孔質セラミックのタイルが注目されています。LIXILの製品「エコカラットプラス」は、調湿性に優れた建材で、カビやダニの繁殖の抑制も期待できます。施工も容易で、さまざまなテイストやカラーのバリエーションもあります。

 リフォームを考えている方は、こうした建材を選ぶことで、より快適でエコロジカルな家にしてみるのもいいのではないでしょうか。


取材・文・撮影◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

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