トイレ芸人・佐藤満春が斬る! [第2回]

家電とインテリアを兼ねた令和のトイレ

空間
トイレ
関心
ライフスタイル

トイレ空間の居心地のよさと
デザイン性をさらに追求

「この丸みがいいですよね。従来のカクカクしたトイレのイメージが変わりました」と佐藤さん。

 20年前、「トイレを応接間にする」をコンセプトとしたLIXILのタンクレストイレ「サティス」が誕生。小ささにこだわったことで、手狭になりがちなトイレ空間を広く、ゆったりと使えるようになりました。

 また、サティスが当初からこだわっていたのが、トイレのデザイン性です。2001年には、いままでにはなかった洗練されたデザインや新しいコンセプト、コンパクトなサイズ感、高い機能性の掛け合わせが評価され、トイレ初の「グッドデザイン賞金賞」を受賞しました。

 その後、サティスはさらなるトイレ空間の居心地のよさと、デザイン性を追求していきます。

ゆったりとした印象や、トイレ空間をラグジュアリーに仕上げたい方におすすめのサティスGタイプ(左)と、手狭なトイレ空間を広く使いたい方におすすめのサティスSタイプ(右)。

 2013年には、より多くの人にサティスを届けたいとの思いから、異なる個性を持った2つのサティス、「サティスGタイプ」「サティスSタイプ」を展開。さまざまな暮らし方に合った理想的なトイレ空間の実現が可能となりました。

「住環境だけでなく、サイズ感やデザインの好みも人それぞれなので、選択肢を与えてもらえると、それだけ自分に合ったトイレを選びやすくなりますよね。それらに加えて、デザイン面での遊び心があり、トイレを引きで見たときに『空間としてどういう佇まいで置いておくのがかわいいか』といった視点もあるのが、サティスの魅力だと思います」

「GとSなら、G派」と佐藤さん。「Gという文字には『ゴージャス』『グレード』などのイメージもあるだけに、高級感がありますよね。どっしりしているところが好きです」

サティスSタイプ。空間を引きで見たときのラインが美しい。

カラーバリエーションが広がり、
トイレのインテリア化が加速

 いまでこそ住宅トイレの色というと「白」が一般的ですが、実はこの文化をつくり出したのもサティスです。その後、サティスは「見せるトイレ」をさらに追求し、白だけではなく、ノーブルブラックやノーブルトープといった豊富なカラーラインナップを次々と打ち出していきました。

「私だけの楽園」をイメージしたトイレ空間。サティスをひとつのインテリアとして置きながら、壁紙、床材など、トイレ空間全体をコーディネートすることで、「楽園」のようなトイレ空間を演出している。

 佐藤さんは、「カラーバリエーションが豊富になったことで、個性をより追求しやすくなった」と語ります。

「サイズだけでなく、色まで選べるってすばらしい。僕は重厚感のある黒が好きなんですが、好みは人それぞれ違う。柔らかい印象のトープ色は女性が敏感に反応する色なんだろうなと思って見ています」

 カラーバリエーションが広がったことで、トイレのインテリア化はますます進み、思い思いのトイレ空間を演出することが可能になりました。

サティス:空間写真を紹介したスタイルブック

理想のトイレ空間のイメージが膨らみます。

 トイレ空間を演出するには、便器だけでなく、壁紙や床材、インテリア小物との調和まで考える必要があります。佐藤さんはLIXILが複数社と経営統合して総合住生活企業になったことで、「タイルや床材なども含めた空間全体をプロデュースできる会社になった」と評します。

「トイレのリフォームって家づくりに関わってくることなので、トイレのことだけではなく、空間全体について相談できるのは、LIXILさんならではの強みですよね」

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トイレはもはや用を足すだけの場所ではない

 機能面にとどまらず、空間の居心地のよさやデザイン性を追求し続けるサティス。佐藤さんは、「サティスがここまで進化したのは、トイレがもはやただ用を足すだけの場所ではなくなったから」だと語ります。

「僕自身トイレに何をしに行くのかというと、気分転換だったり、ひとりの自分をゆっくりと過ごしたりするという意味でトイレに行くことが多い。

 ただ用を足せればいいという人もいる一方で、僕のようにトイレに居心地のよさや満足感を求めている人もいるからこそ、トイレがこれだけ進化し続けてきたのだと思います。

 そういった意味で、『満足・充実』を意味するサティスファクション(satisfaction)にちなんで『サティス』と名付けられたのは、すごくコンセプトに合っているなと思います。機能面だけでなく、空間設計としての満足を追求していただけるのは、いちトイレファン、消費者としてもすごくありがたい」

 また、トイレのインテリア化が進んだことで、「トイレに対するネガティブなイメージが変わってきた」とも話します。

「トイレって生活にすごく密着しているものです。食と排泄は同居しているし、家を探すときにトイレがないということはない。それにも関わらず、昭和から平成にかけてトイレには、汚い・臭い・暗い・怖いといったネガティブなイメージがずっとつきまとっていました。

 そんな中で、きらびやかなトイレが登場したり、空間自体が居心地のいいものになったりしたことで、トイレに対するイメージが少しずつ変わってきているのを感じます。

 子育て中の方や、次の世代に向けてトイレのイメージを良くしていくというのは、社会全体の大きな課題です。そこをLIXILさんはじめメーカーさんが担ってくれているのは、社会に対する大きな貢献だと思います」

(第3回に続く)

〈お話を伺った方〉

佐藤満春さん

1978年生まれ。お笑いコンビ「どきどきキャンプ」のツッコミ担当、テレビ番組などの構成作家。トイレやトイレ文化に造詣が深く、トイレ博士としてテレビ・ラジオで活躍中。趣味は音楽鑑賞とトイレのショールームに行くこと。日本トイレ協会会員(会員番号3022番)。掃除能力検定士(5級)。名誉トイレ診断士。トイレクリーンマイスター。

文◎八木麻里恵
人物写真◎神出 暁
撮影場所◎LIXILショールーム東京

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