今やトイレは「おもてなし空間」になった!
トイレやトイレ文化に造詣が深く、芸能界でも屈指の「トイレマニア」として知られる佐藤満春さん。トイレ博士としてイベントに出演したり、トイレを研究するラジオ番組のパーソナリティーなども務めています。
「トイレに興味をもち始めた2002年頃から、いろいろなメーカーのショールームに通っています。最初はメーカーによって技術がどう違うかを比較するところから始まり、だんだんとトイレの歴史や環境なども勉強するようになりました」
2001年に発売されたサティスの初代モデル。現在は購入できない。
佐藤さんがトイレに興味をもち始める少し前、「トイレを応接間にする」をコンセプトとしたLIXILのタンクレストイレ「サティス」が誕生しました。タンクレストイレとは、便器洗浄用の水を貯めるタンクを無くしたトイレのこと。タンクが無くなりスッキリした分、空間を広く見せることができます。
タンクレストイレが世に出始めた頃、「省スペースと節水を両立させる、今後のトイレを担う技術革新の走り」というイメージで見ていたという佐藤さん。サティスについては、「とにかく“遊び心”がずば抜けている! トイレ空間全体をどう良くしていくのか、どう遊ぶのかといったことを初期の頃からやっている印象がある」と語ります。
「サティスのすごいところは、トイレというものを『道具』としてだけでなく、『空間』をもってなすものとして捉えたところだと思います。トイレを空間として捉えるといった、世の中にとってキーとなるようなコンセプトを最初につくるのは、僕のなかではLIXILやINAX※の職人さんだという印象があります。
また、トイレが臭い・汚い・暗いといった4Kや5Kといわれていた時代から、おしゃれな空間や、リビングのど真ん中にサティスを配置するなどした空間を紹介する“サティスだけを扱ったフォトブック”を発売するなど、先進的な取り組みを行っていましたよね。トイレに汚いイメージがつきまとっていた時代に、間逆の価値を置いたのも、LIXILさんが最初にやっていたなという印象です」
※2011年、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合し、LIXILは総合住宅設備企業として誕生しました。
技術革新が止まらないところが
トイレの大きな魅力
水アカ、汚物、キズ、細菌という4つの汚れに対応する画期的な衛生陶器「アクアセラミック」。
サティスは、この20年でさまざまな進化を遂げてきました。そのひとつが機能面での進化です。
たとえば、高い清掃性にこだわりつづけてきたサティスは、2016年に新素材「アクアセラミック」を開発。水になじみやすい親水性素材で、便器と汚物の間に水が入り込み、浮かせて流すだけで無く、従来の衛生陶器ではできなかった水アカの固着防止が両立できるようになりました。
サティスのもつ高い清掃性は、汚れてから落とすのではなく、そもそも汚れにくいトイレを目指す「防汚」の考え方に基づいています。
また、少ない水量で汚れを落とすために、便器の形状や流水量、吐水口の角度などがさらに見直され、防汚と節水の両方を実現する画期的なトイレが誕生しました。
■ サティス:アクアセラミックの詳細は以下から
トイレがいつまでも新品の輝きを保つ! その秘密とは……
www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/satis/function/clearn/
「汚れにくいというのはトイレにとって非常に大きなテーマ。メーカーさんが清掃性を高めてくれるのは、トイレを使う側としてもありがたい」と佐藤さん。
「アクアセラミックはツルツルなので掃除もしやすいし、柔らかいブラシで撫でるだけで、ちょっとついた汚れもすぐ落ちます。そもそも汚れがつきにくいので、メンテナンスもしやすい。さらに、少ない水量で落とすために吐水口の角度も非常に研究されている。アクアセラミックの登場は、またひとつトイレの歴史を変えたと思います」
また、鉢内だけでなく、便器全体の清掃性を高めてくれる「トイレのリフトアップ機能」も年月を重ねるごとにグレードアップしています。
サティスのリフトアップ機能について、佐藤さんは「斜めではなく、垂直に上がるのがスゴイ! これだけ重い物を垂直に安全に上げるのは、かなり技術がいるはずです」と感激した様子でした。
サティスの「電動お掃除リフトアップ機能」。手と雑巾がちょうど入る幅までリフトアップするので、便器と便座のすき間に溜まる汚れを落としやすい。
佐藤さんがトイレを好きなった大きな理由のひとつが、「技術革新が止まらないところ」だったといいます。
「トイレの勉強をし始めた数十年前から『もうこれ以上なにをやればいいんだろう』と思っていましたが、メーカーさんもいろいろなことを考え、どんどんアップデートし続けています。
今は超節水のトイレが当たり前となり、節水において技術的には限界というところまできている。おそらくここから数字は下がらないでしょう。だからこそ、時代の先読みに長けたLIXILさんが次にどんな手を打つのかが楽しみです」
(第2回に続く)
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