LIXILが大切にしてきた「遊び心」によって
機能性の追求を超えた「付加価値」が生まれた
スマートフォンに専用アプリ「My SATIS」をダウンロードすると、Bluetooth経由でトイレを操作することができる。
佐藤さんはトイレの魅力について、「行き着くところまでいったと思っても、技術革新が止まらないところ」だと語ります。サティスも誕生以来、技術革新からトイレ空間の居心地のよさ、デザイン性の向上といったあらゆる面において、お客様の「最大満足」を限界まで求め続けてきました。
技術革新をやりつくしたサティスが次に追求したのは、さらなる付加価値です。たとえば、2013年に搭載された「スマートフォンリモコン」機能について、佐藤さんは「LIXILならではの遊び心が詰まった機能」だと語ります。
■ サティス:「スマートフォンリモコン」機能
「LIXILさんは、とにかく社員さんの熱や遊び心がずば抜けている。Bluetooth経由でスマホからリモコン操作ができるといった、本来の用途とは関係のない付加価値をつけてくれるのは、遊び心以外のなにものでもないと思います。
正直、用を足すことだけを考えたら、本来そんな機能はいらないわけです。でもそこで、『スマホと連動してみようよ』と考え、そのアイデアを実際に採用してしまう。LIXILという会社は、ある種いい意味でのムダなものや、余計なものをつけるということを、会社として大真面目に取り組んでいる会社であり、サティスの歴史もそこに集約されている気がします」
時代を反映するトイレ
サティス20年のあゆみは、平成から令和という時代とともにあゆんだ歴史でもあります。
その時代、時代で求められるニーズに合わせてアップデートし続けてきたからこそ、サティスはここまで進化を遂げてきました。
「泡クッション」泡で飛沫を抑えお掃除ラクラク溜水面に張った泡が、男性立ち小用時の飛沫汚れや着水音を低減します。サティスGタイプに対応します。
たとえば、2016年に搭載された尿ハネを抑える「泡クッション」機能について、佐藤さんは「多様性の時代が反映された機能」だと評します。
「男性の半数近くは立っておしっこをするというデータや、座ってすると膀胱に悪影響を及ぼすという説がある一方で、家庭では旦那さんが立っておしっこをするとを怒られる、というような状況がずっと続いていました。
本当は、『座ってするのが正しい』『立ってするのが正しい』ではなくて、選択肢があるということが大事ですよね。その上で、立ってする人が汚さないよう、尿ハネが起こらないのが理想的です。その理想を、泡クッションという機能で叶えることができるようになりました。
泡クッションのような機能は、節水や防汚の機能が充実してきたからこそ、さらにその上の満足を追求する機能として生まれたのだと思います」
トイレに手を触れず、快適に使用できます。
時代のニーズに合わせて機能性をアップデートしてきた一方で、サティスの取り組みと時代のニーズが思わぬかたちでマッチすることもあります。
たとえば、コロナ禍によって触ることがリスクになってしまった現代において、サティスがかねてから進めてきた「非接触空間」に対するニーズが高まっています。
「LIXILさんは早い段階から非接触でトイレに行ける空間づくりを進めていましたが、コロナ禍によって、時代と変なタイミングでマッチしてしまった印象です」と佐藤さん。
「トイレは用を足す場所なので、どうしてもそこからコロナも含めたウイルスが媒介しやすい。いかにウイルスを媒介させずに衛生的な空間を保つのか、今後もますます技術革新が進んでいくのだろうと予測しています」
メーカーや職人の情熱がトイレの進化を支えている
今後、未来のトイレはどうなっていくのでしょうか。佐藤さんは、「超高齢化の問題解決に向けて技術革新が進んでいくのでないか」といいます。
「超高齢化社会を迎える今後において、AIによるトイレの健康チェック機能がますます求められると思います。たとえば、毎日行う排泄で日々の健康状態がチェックできたり、そのデータが病院に共有されるといった機能は、すでに存在している技術ではありますが、今後ますます求められると思います」
また、技術革新が止まらない理由について、「すべてはメーカーの社員さん、職人さんたちの熱があってこそ」と佐藤さん。
「今後も、時代とともにトイレはどんどん進化していくのだと思います。これからもいちトイレファンとして、サティス、そしてトイレ業界全体の動向を追っていきます」
(第4回に続く)
会員登録 が必要です