トイレの排水管が詰まる理由は?
「キッチンや浴室は、食べかすや髪の毛などをなるべく流さないようにしますよね。けれどトイレは、排泄物やトイレットペーパーなどを流すことが役割です。流し切れないと、水が流れにくくなったり、詰まりの原因になったります」
山田さんは、トイレが詰まる理由は5つあると言います。
「1つ目は、もちろん排泄物です。ただし水に溶けやすいので、めったに排泄物で詰まるということはありません。便秘の方がいると、便そのものが水分が少なくて固いので詰まりやすいという説もあります。
2つ目は、トイレットペーパーや流せるトイレ掃除シートなどです。水に溶けやすいといっても、一度に大量に流すと詰まることがあります。
3つ目は、ペットの猫砂や生理用品など。これは基本的に水には溶けません。絶対に流さないようにしましょう。
4つ目は、異物です。ズボンの尻ポケットに入れておいたスマホなどが落ちるということはよくあります。また、ポケットの小銭などもズボンを脱ぐ際に落ちることがあります。
そして5つ目は、流す水の量です。節水のために水を入れたペットボトルなどをタンクの中に置き、流れる水量が極めて少ない状況だと時々起きるようです。ただこれはメーカーでもしないように注意していますので、絶対にやめましょう。また、小用を足したあとに、トイレットペーパーを使っているのに小用の方にレバーを回して水を流すのも、水量が足りず、トイレットペーパーが流れきらないこともあります」
詰まり気味のトイレはまずラバーカップ
山田さんは、何かが詰まっているときはまず「ラバーカップ」や「プランジャー」と呼ばれる道具を使ってみるとよいと言います。
「使い方を知らないケースがよくあるのですが、穴にラバーカップを押し当ててカップ内の空気を抜いてから、引っ張るときに力を入れます。このときに負圧が生じて詰まっているものが動くのです。その後、ゴム手袋をして、長いピンセットやトングなどで詰まっているものを取り出します」
スマホやコインなどの異物も、ラバーカップを使うことで、見える場所まで出てくることがあります。出てこない場合は、業者に依頼しましょう。
トイレの排水管の掃除
続いては、トイレの排水管にこびりついた汚れを落としていきます。
「まずは、タンクにつながっている止水栓をドライバーで回し、水を止めてから一度流します」
トイレの排水管は、以下の図のように複雑な構造になっています。
「キッチンのシンク下の配管がS字になっているのと同様に、常に水で蓋をして配水管から虫などが上がってきたり、臭いが出てくるのを抑える構造になっています。『せき』から先は、便を流す瞬間に水が流れるだけですから、あまり壁面が汚れることはありません」
せきの手前を洗うのは、ブラシを使うのがいいそうです。
「100円ショップで売られている針金の柔軟な柄が付いたものが便利ですが、ブラシ部分が固いものはメーカーとしてもあまり推奨していないので避けた方がいいでしょう。トイレは陶器製というイメージがありますが、最近は素材も進化して、表面にコーティングがされて水垢などが付きにくくなっていますので、傷つけないようにしたいですね」
アクアセラミック加工された便器は、陶器製に比べ、汚れが付きにくい。
LIXILのタンクレストイレ「サティス」シリーズは、100年クリーンを謳う防汚機能をもつ素材「アクアセラミック」を使用しています。釉薬に高硬度のジルコンを含んでいるので、汚れや水垢が付きにくいのです。
山田さんによると、便器内の掃除には、ホームセンターなどで売られている30cmほどの柄が付いた紙製ブラシがおすすめだそうです。
「柔らかい素材なので便器を傷めることもありません。ブラシ部分は紙製なので水に溶けますから、汚れたブラシ部分をそのまま流すことができます」
洗剤に関してはどうでしょう。
「水垢は、水に含まれるアルカリ性のミネラルが元になっているので、弱酸性の洗剤がおすすめです。こすった後は水をたっぷり流します。どうしても落ちない頑固な水垢は、砂消しゴムのような水垢取り用の消しゴムや、メラミンスポンジでこするといいでしょう。便器の表面に傷を付けないように、優しくこすってください。
カビや黒ずみは、塩素系漂白剤をスプレーしてしばらくおいてから水を流します。
なお、弱酸性の洗剤と塩素系の漂白剤は一緒に使わないように。1工程ごとに、水を流しましょう」
次回は、家の外まわり、特に「排水桝」の掃除について伺います。
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