寒くなる前にやっておきたい排水まわりの掃除[第1回]

キッチンの排水管は油汚れに注意

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排水管掃除は気温が高いうちに!

 家庭の水回りの中でトラブルが起きやすいのは排水ラインです。

「単に水や温水が流れ出るだけならトラブルは起きませんが、排水では洗剤、食べかす、油といった汚れが一緒に流れ出ます。排水管にいろいろなものが流れることで、それらが絡まり合い、排水管内の壁面に固着してしまうのです」という山田さん。

「また最近は食洗機を備えるご家庭も増えています。手洗いに比べて使用するお湯や水の量が少なく済み、エコの観点からも、節約にもなって素晴らしいのですが、水量が少ない分、排水管に汚れがへばりつきやすくなるともいえます。

 放置していると流れが悪くなったり、詰まって排水があふれ出たりする原因になってしまうこともあるのです」

 特にキッチンの排水まわりは、冬が来る前にキレイにしておくことが肝心だそうです。

「油汚れは、気温が低くなると粘度が高くなるので落としにくくなります。お湯で洗い流したり、洗剤で溶かしたりするのも、気温が高い時期の方が楽なんです」

まずはゴミが溜まっていないかチェック

 それでは、キッチンの排水管の掃除の仕方をご紹介します。

 最初に、シンクのゴミ受けを外します。

「シンクの排水口の構造はいろいろありますが、基本的にはザルのようなメッシュ状のゴミ受けがあり、そこから排水管につながっています。普段の調理で出た油やコーヒーかす、食べかすなどがゴミ受けから流れ出てしまうことがあり、ゴミ受けを外すと案外、中に食べかすなどが溜まっています。
 排水管は製品によってさまざまですが、S字状の曲線になっているものが多く、そこに油やゴミがこびりつきやすいのです」

 排水口から取り出せるゴミはここで取り除き、次はシンク下の配管のチェックです。

「シンク下の配管がS字になっているのは、大きめのゴミが配管の先に流れたり、下水側から臭いや虫が上がってこられないようにするためです。

「水抜きキャップ」「点検キャップ」を外すときは、水受けとして下にバケツや手桶を置いて。

 S字の下の部分には、たいてい「水抜きキャップ」や「点検キャップ」というものがあるので、それを外してみましょう。大きめの食べかすなどは、ほぼここに溜まっています。以前、友人から水の流れが悪いという相談があり、見てみるとなんと歯ブラシが2本出てきました(笑)。そのほかにも、ペットボトルのキャップが入っていたり、食品トレーにかかっていたフィルムが落ちていたり、思いもかけないものが出てくることもあります」

 大きなゴミを取り除いた後は、開口部からブラシなどを差し込んで中を洗いましょう。

「汚れがひどいときは、この部分ごと取り外すことができるので、外してから、薄めた中性洗剤も併用してブラシで洗ったり、酸素系の漂白剤でつけ置きするといいでしょう。
 この部分を洗うには、100円ショップで売られている針金の先にブラシが付いているようなタイプのものが使いやすくておすすめです」

キッチンの排水口から嫌な臭いが上がってくるのは、たいていこの部分が汚れていたり、黴びていたりするからだそうです。キレイに掃除をすることで、詰まりだけでなく臭いも解消できます。

高圧洗浄機で汚れを吹き飛ばす!

 S字の部分が汚れていたら、その先も同じような状態だと思ってもいいでしょう。汚れや油がこびりついていても、奥の方はなかなか落とせません。

「排水管洗浄用の洗剤も市販されていますが、S字の先には届きにくいものです。そこで、高圧洗浄機を使って、水圧で洗い流す方法もあります」

 最近は2〜3万円ほどで購入できるようになった高圧洗浄機。家の周りのコンクリート部分などに吹き付けると、見違えるようにキレイになります。クルマの洗車のために手に入れた方も少なくないでしょう。また、メーカーのレンタルサービスもありますし、レンタル業者で借りることもできます。

 シンクからノズルを入れると、どうしてもS字のところで引っかかってしまい、その先には届きません。

「配管洗浄用のノズルがついた数メートルのホースがあるので、それを使います。このホースは直角くらいまで曲がります。S字の上部分に点検キャップが付いているシンクの場合は、そこから差し込みます。もしない場合は、パーツそのものを外して差し込みましょう」

高圧洗浄機の配管洗浄用のノズル。

 高圧洗浄機は、水を噴射することで、パイプの先の方に進もうとする力がかかるそうです。

「ノズルを50cmから1mくらい挿入してから水を噴射します。ホースを入れた開口部はタオルなどで覆いましょう。挿入が浅いまま噴射したり、タオルをかぶせないで使用すると、開口部から水しぶきが飛び散ってシンク下が水浸しになってしまうこともあります」

 排水管内をキレイにしたら、パーツをすべてしっかり取り付けて終了です。

「力任せにねじ込んだり、しっかりネジを締め付けないままにしていると、そこから水漏れをします。難しいことではありませんが、落ち着いて確実に取り付けましょう。あと、せっかくシンク下をチェックするので、食洗機からの水漏れがないかどうかのチェックもしましょう。ビルトイン式の食洗機は、排水ホースがうっかり潰れてしまっていることがあったりします」

 次回は、浴室・脱衣所の排水管の掃除について伺います。

≪お話を伺った人≫

山田 亮さん

“スーパー主夫”の先駆者として、子育てや家事をしながら講演や執筆活動を続けている家事ジャーナリスト。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)