寒くなる前にやっておきたい排水まわりの掃除[第4回]

排水ますをキレイにして下水の臭いも解消!

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家庭内の排水はすべて排水ますに集まる

 キッチン、浴室、トイレなどから流れる排水は、下水道が完備されている場合、すべてそこに流れます。雨水なども、雨どいから排水管を通って下水に流れる構造がほとんどです。

「その下水道につながる排水管は、単にパイプがつなげられているだけではありません。間に『排水ます』という装置があります」

 排水ますは、大きく分けて3つあります。

「1つ目は、『雨水ます』。雨どいなどから流れる雨水を集めるものです。集めた雨水を一部地中に流す浸透ますと、下水道や側溝に流しているますの2種類あります。戸建ての家に備わった雨水ますは、蓋の上に『雨水』という表記があります。

排水ますの蓋。

 2つ目は、『汚水ます』。実際にはこれを『排水ます』と呼ぶことが多いと思います。家の中から出る汚水を流すものです。かつてはキッチン、浴室、トイレなどそれぞれに設置されていたようですが、最近の戸建てでは2箇所だけ設けて、その二つのますの間に傾斜をつけ、各部屋からの排水管を接続する形が多いと思います。蓋に『おすい』という表記があります。さらにそれぞれの配管を一箇所に集めた所にも汚水桝を設けていることがあります。

 3つ目は、『公共汚水ます』。これは、下水道につながる最終的なますで、家の敷地の外にあります。この公共汚水ますにつながる排水管までが家庭の管理の範囲で、公共汚水ますから先は、自治体の水道局などの管理下になります。公共汚水ますの蓋は開けてはいけません」

 家庭で掃除するのは、「雨水ます」と「排水ます(汚水ます)」の2つということになります。

雨水ますは、まず雨どいの掃除を

 山田さんは、家の外まわりで最初にやるべきなのは雨どいなど、雨水が流れるルートだと言います。

「雨どいもそうですし、テラスなどがあればその排水口まわりもキレイにしましょう。枯れ葉やゴミなどが落ちていることもありますし、中に虫が入っていることもあります。開口部からゴミなどを取り除いてから、高圧洗浄機で一気に水を流すとキレイになります。家庭内から出る排水とは違い、油や汚れが固着することはまずないですね」

 雨水ますは、他の汚水ますとは別のラインで最後の公共汚水ますにつながっていることもあります。

「雨水ますの中をキレイにするには、ますの蓋を開け、確認することから始めます。砂や泥が沈殿していることが多いので、移植コテなどを使って取り出しましょう。外水栓がある家なら、そこから水を少し流してみると、この雨水ますに水が流れてきます。もしその水が汚れていたりするなら、排水管内が汚れているので、高圧洗浄機を使ってキレイにしましょう」

排水ますは柄付きのザルで汚れをすくう

 最後は、キッチン、浴室、トイレなどから出ている汚水ますの清掃です。

「構造は雨水ますと似ていますが、ますの底に汚物や固形物などが溜まります。上流側の汚水ますから順番に掃除していくといいでしょう。

 ますの蓋を開けて、まずは底に溜まっているものをすくい取るのですが、私がおすすめするのは柄付きのザルです。これなら水分が混ざったものでもキレイにすくえます。キッチンなどからお湯を流して、建物側の排水管の口に置いておけば、配管中に溜まっていた食べかすなどをキャッチすることができます」

 すくい取った汚れはゴミ袋に捨てて燃えるゴミとして出せます。

「溜まっている汚れはヘドロ状になってかなり悪臭を放ちます。ホームセンターやネットで購入できる、おむつ廃棄用のゴミ袋に入れることをおすすめします」

「ますの中をある程度キレイにしたら、ここもやはり高圧洗浄機をかけます。パイプ用のホースを使って、建物側も下水道側も、奥まで徹底的にやりましょう。ますの中がキレイになるのはもちろんのこと、家のまわりで気になる下水の臭いもしなくなります」

 全4回にわたって、家の排水管の掃除のポイントを伺ってきました。山田さんは、一番大切なのは、なにより冬が来る前にやってしまうことだと言います。

「さまざまな汚れが固着する前に、というのももちろんですが、水まわりのことなので、寒い時期だと濡れるのも嫌ですよね。余力があれば高圧洗浄機で家の周辺のコンクリート部分などのくすみや黒ずみを落としてしまうのもいいかもしれません」

 そこまでやれば、年末の大掃除も楽にやれそうですね。早めにトライしてみてはいかがでしょうか。

≪お話を伺った人≫

山田 亮さん

“スーパー主夫”の先駆者として、子育てや家事をしながら講演や執筆活動を続けている家事ジャーナリスト。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)