排水管掃除の前にカビ取りを
普段の生活の中で、最も水を使うのが浴室です。東京都水道局の調査によると、炊事(キッチンまわり)での水の使用量は全体の18%に対し、風呂(浴室)は40%と、倍以上のお湯や水が流れます。
「浴室での排水の特徴は、石けんやシャンプーなどの成分や、人間の皮脂、あか、髪の毛などのゴミも流れることです。
流れる水の量が多いので、ゴミを流す力も強いです。また、キッチンのように油や食べかすのような固形物が流れることは少ないので、排水管の掃除は比較的楽だと思います」
ただし、浴室は常に湿気がこもっているため、カビが繁殖しやすいという側面もあるそうです。
「せっかく排水まわりを掃除するなら、浴室の隠れた場所に繁殖しているカビも一緒にしっかり掃除していきましょう」
特に、バスタブのエプロン外フタを外した裏側には注意が必要です。
「外フタを外したり付けたりするのはちょっとコツがいりますが、決して難しくはありません。外すときにスマホなどで写真を撮っておくと、取り付けるときに見返せるのでいいでしょう」
エプロン外フタの外し方・取り付け方は、LIXILのYouTubeアカウントから見ることができます。
【LIXIL】エプロン外フタの取り外し・取り付け
https://www.youtube.com/watch?v=12-vpYtFxmU
外してみると内側はカビでびっしり、ということもあります。
「通常はブラシでこすると落とせますし、シャワーで湿らせてから浴室用洗剤を吹き付けてこすれば、ほとんどのカビは落ちるでしょう。それでも落ちないものは、スプレー式の塩素系泡漂白剤などを吹き付けるとキレイになります」
排水溝までの水の流れ道や、バスタブの下も石けんかすや髪の毛などが固まってドロドロになっていることがよくあります。
「浴室は排水管から臭いが上がってくることはないので、なにか嫌な臭いがするときは大抵このあたりにいろいろなものが溜まっています」
外すことができない浴室の排水管
バスタブのカビを落としたら、次はいよいよ排水まわりの掃除です。
キッチンとは汚れの種類も違いますが、それ以上に問題なのは、浴室は排水管を外して中を洗うことができない点です。一般的に、浴室の排水管の構造は図のようになっています。古いユニットバスなどの場合、バスタブからの排水はバスタブの下にそのまま流し、洗い場の排水口で集約することもあります。どのように掃除していけばいいのでしょうか?
「まず、洗い場の排水口の目蓋とヘアキャッチャーを外します。このパーツは、浴室用洗剤を吹きかけてブラシなどで洗います。汚れがひどいときはつけ置き洗いをしましょう。
その下には排水トラップがあります。ヘアキャッチャーからすり抜けて流れた髪の毛などが石けんかすと一緒に固まっていることがあります。ゴム手袋をして手で掻き出したり、100円ショップで売られているトングなどを使って、できるだけ取り除きましょう。さらにブラシなどを使って汚れを落とし、シャワーのお湯を流してキレイにします」
2種類の洗剤で2回洗う
排水トラップの汚れがキレイに落ちないときは、洗剤を使ってつけ置きして汚れを落とします。半日、1日といった長時間のつけ置きは素材を傷めてしまう可能性もあるので、洗剤の説明書に従ってください。
「石けんかすやシャンプーなどはアルカリ性のものが多いので、弱酸性の洗剤を使うと中和作用によって汚れが落としやすくなります。あるいは、排水トラップに重曹100g、クエン酸50gほどをふりかけ、そこに40℃ほどのぬるま湯をコップ1杯流してもいいでしょう。1時間ほどおいておくと、中和作用で石けんかすなどが溶けていきます。そしてシャワーのお湯でよく流します」
石けんかすなどが落ちれば、一緒に固まっている髪の毛などはお湯で洗い流せます。しかし、まだ詰まり気味な場合には、アルカリ性のパイプクリーナーなどを使って洗います。
「皮脂はタンパク質です。これらはアルカリ性で溶けます。そこで、ホームセンターなどで売られている排水管洗浄用の洗剤を使います。これらは、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムが配合されていて、タンパク質を溶かしやすいのです。ただし、手の皮膚などにも影響しますので、使うときは必ずゴム手袋をしましょう」
弱酸性の洗剤を使った後にアルカリ性の洗剤を使うときは、十分にお湯を流したあと、時間をおいてからにしましょう。
排水トラップの中には通水パイプと封水筒があるので、それを取り外します。パーツは目蓋やヘアキャッチャー同様に、ブラシで洗うか、つけ置き洗いをします。排水トラップ周辺に排水管洗浄用の洗剤をかけます。
「排水管洗浄用洗剤は粘度があるものが多いので、汚れの上にしっかりとどまってタンパク質を分解してくれます。容器に書かれている時間、放置してからシャワーの水をたっぷり使って洗い流しましょう」
脱衣所の洗濯機パンも一緒に
多くの脱衣所には洗濯機も置かれています。
「洗濯機の裏側や下には、糸くずや髪の毛などが落ちています。時には見つからない靴下の片方などが落ちていることもあります(笑)。これらをキレイに取り除いたら洗濯機の排水ホースを外して、ここから排水管の掃除をします」
洗濯機の設置時に高足型のアタッチメントを入れたご家庭は、洗濯機と洗濯機パンの間に隙間ができますから掃除がしやすいです。そうでないご家庭は、洗濯機をずらすのはちょっと力が必要ですが、家の方と協力して、二人でやれば動かせます。
「浴室と同様に、重曹とクエン酸、そして排水管洗浄用洗剤を使ってキレイにしていきます。ただし、排水口の外側に重曹などの粉末や洗剤液をこぼすと拭き取るのが面倒です。気をつけて排水口の内側に入れましょう」
洗濯機用のクリーナーを使うことで、洗濯機と排水口をつなぐホースもキレイになります。
「この部分は、常にある程度水が流れるため、カビはあまり発生しません。縦型の洗濯機などは洗濯槽の外側にカビが繁殖しますので、洗濯機クリーナーを使ってキレイにしましょう」
次回は、トイレの排水管掃除について伺います。
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