気温上昇を防ぐ具体的なアクションを!
近年「SDGs」や「サステナビリティ(持続可能)」といった言葉を耳にする機会が増えました。SDGsの認知度も高まっており、朝日新聞が2021年に実施した第8回SDGs認知度調査によると、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人は76.3%。前年度の45.6%から30%も増えています。
しかし、「SDGsの認知度が高まったことは喜ばしいが、諸手を挙げて喜べない」と石川さんは話します。
「大事なのは、言葉を知っていることではなく、サステナブルな世界を実現するためにどれだけ行動できているかです。実態がともなわないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけることを“SDGsウォッシュ”といいますが、いまの日本はSDGsウォッシュが蔓延しています」
SDGsという言葉がひとり歩きし、実態がともなっていない――この現状を変えるため、国連広報センターは2022年6月、「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志108社とともに、「1.5℃の約束―いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーンを始動しました。
国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は2021年11月、「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求する」とした合意文書を採択しました。そのためには、世界のCO2排出量を2030年までに約半分まで減らし、2050年頃までに実質ゼロにするとともに、その他の温室効果ガスも大幅に削減する必要があります。
「『1.5℃の約束』のキャンペーンが始まったのは、国連が日本のメディアに対し、『認知度を上げるだけでなく、具体的なアクションまで呼びかけてください』と呼びかけたからです。いま世界各地で起きている気候変動はすぐには収まらないでしょう。私たちは気温上昇を止めるため、いますぐ行動しなければなりません」
太陽光発電は災害時にこそ強い
家庭でのCO2排出の多くが、火力発電による「電気」の使用に起因しているといわれています。そこで石川さんは、家庭でできるCO2削減のアクションとして「太陽光発電の導入」をすすめています。
「今年の夏のように電気が逼迫しているときでも、太陽光発電であれば気にせず冷房を使うことができます。また、V2H(Vehicle to Home)の仕組みを使い、太陽光発電と電気自動車をつなげば、車が最も安価な充電器になります」
太陽光発電はCO2削減につながるだけでなく、災害時の停電対策としても最適だといいます。
「太陽光発電は災害の停電時にこそ強いです。車で蓄電しておけば、太陽が出ていない夜間でも電気を使うことができます。正直、一軒家であれば太陽光発電を導入しないのはもったいないと思います」
自分の暮らしを変えることが、
地球への貢献になる
太陽光発電のメリットを理解しながらも、高額な設置コストがネックとなり導入に踏み切れない人もいるでしょう。石川さんはコストの問題に対し、「投資感覚を持ってほしい」と話します。
「太陽光発電の設置にかかるコストは、だいたい8年間で回収できる仕組みになっています。8年分の光熱費を前払いできるかどうか。もちろん各家庭の貯金の事情もあるとは思いますが、大事なのは『地球への投資感覚を持てるかどうか』だと思います」
持続可能な世界を実現するために、まずは自分の家から少しずつ持続可能にしていく。そのためのアクションとして、石川さんは「収入の約10%を地球のために費やす」ことを推奨しています。
「地球への投資としてできることは、太陽光発電の導入以外もたくさんあります。たとえばマンション住まいでも、太陽光や風力といった再生可能エネルギー発電設備等から電力を購入することはできます。また、助成金等を利用して窓をペアガラスにすることも、省エネ活動の一環です。
皆さんも日々の暮らしで精一杯だと思います。そんな中でも、収入の10%を地球に投資するためにお金を稼ぎ、自分の時間やアイデアを費やしていく。こうやって自分の暮らしを変えていくことこそが、SDGsの実践、ひいては地球への貢献につながります」
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