吸湿性の高い畳
ワックスもかけられ撥水性の高いフローリングの床と畳の大きな違いは、「吸湿性」です。フローリングの床に飲み物をこぼした場合、さっと拭き取ればキレイになりますが、畳は染みこんでしまい、色が濃い液体だと畳自体の色も変わってしまいます。
一方、畳は吸音効果が高く、吸放湿性があるため、部屋の湿度をうまく調整してくれます。また、シックハウスの原因とされているアセトアルデヒドや二酸化窒素をい草が吸着し、空気を浄化する作用もあることが注目されています。
「ただし、その吸湿性が掃除をするときにはネガティブポイントにもなるんですね。フローリングとは違うアプローチが必要になります」
掃除機は畳の目に沿って
「畳の掃除も、基本的な手順はフローリングと同じです。ただし、畳表はフローリングの床材以上に繊細なので、より注意が必要です」
フローリングの床は板の目に沿ってゆっくりと掃除機をかけることが基本でした。
「畳の場合も考え方は同じです。畳の目に沿って、つまりは畳の短辺と平行に掃除機をかけていきます。斜めがけや、畳の目と直角に掃除機をかけてしまうと、い草どうしの間に入り込んだ微細なホコリは吸い取りにくくなります。また、畳は部屋の大きさに合わせて敷きますので、畳ごとに目の向きが変わります。なので、1枚ずつ丁寧に掃除機をかけるようにしましょう。掃除機をかけると、ダニなども吸い込んでくれます。」
また、掃除機のヘッドも畳用のものを使い、床と畳の切り替えがある場合は、畳用のモードにします。
「フローリング以上にゆっくりかけることが肝心です。ごしごしと前後に動かすのではなく、畳の上に軽く置くイメージで、ゆっくりと動かして、畳の目の中にあるホコリを吸い取ることをイメージしてかけましょう。
また、新しい畳表の場合、特に傷つきやすいので、畳を長持ちさせることを考えると、実はほうきを使って掃き掃除をすることもお勧めです。ほうきも畳の目に沿って使い、一カ所にゴミなどを集めてから掃除機で上から固まったゴミを吸い取る、という方法がお勧めです」
拭き掃除は掃除機がけより慎重に
掃除機をかけたら、次は拭き掃除です。
「これが、掃除機以上に気を遣うところなんです。
日常的な掃除は、フローリング同様、ドライの使い捨てシートを柄付きのワイパーにつけてさっと拭くだけでいいのですが、畳はスリッパで室内に入ることがありません。靴下だけ、あるいは素足で歩かれる方も多いでしょう。その分、足裏の汗や皮脂が畳表につきます。畳の部屋は、見た目はキレイでも、意外と汚れているのです。なので、畳も水拭きをすることをお勧めします」
畳の水拭きはどういう方法で行うのが正解なのでしょう。
「まず、雑巾で水拭きする場合ですが、水で濡らした雑巾をしっかり固く絞ることが大切です。畳は吸湿性が高いので、カビが生えやすいです。畳は空気中の水分が多いときにそれを吸い、乾くと吐き出す調湿効果もありますが、その分、水を吸いやすいということ。ですから、とにかく固く絞った雑巾で拭くこと。水分は最小限にしましょう」
濡らして固く絞った雑巾に、もう一枚、乾いた雑巾を重ねて絞った「湿り拭き雑巾」も、余分な水分が取れるのでよいそうです。
「もうひとつ、アルコール材を使うという方法もあります。手の消毒などに使うアルコールを畳にスプレーしながら拭くと、拭いたあとにアルコールが揮発して、水分も一緒に飛びます。湿度が高い季節は、アルコールを使いながら乾いた布でから拭きでもいいでしょう。
アルコールは殺菌効果もあるのでお勧めです。ただし、アルコールをしっかり使うときは、手袋をした方が手荒れの防止になっていいですね」
掃除機同様、目に沿って拭き掃除をするのがいいでしょうか。
「そうですね。フローリング以上に優しく、軽くなでるように拭くことが畳表を長持ちさせます」
拭き掃除は窓を開けて
きよきよさんは、水分がついた畳は、しっかり乾かすことが肝心だと言います。
「やはり室内に湿気がこもり気味になりますから、なるべく風通しをよくした方がいいですね。秋は空気も乾燥していますし、気温もそれなりにありますから、窓を開けて拭き掃除をして、終わってからしばらく窓を開けっぱなしにしておくことで、湿り気をおびた畳もしっかり乾きます。また、北側にある部屋は乾きにくい傾向がありますので、他の方位の部屋より長い時間換気をして、しっかり乾かしましょう」
使い捨てのシートをつけた柄付きモップで拭き掃除をするのはどうでしょう。
「もちろん、それもいいと思います。膝をついて掃除をするより楽ですし、最近は畳用のシートもあります。これはおそらく、フローリング用のウエットシートよりアルコールが多めに含まれていると思いますが、乾きが早いのでお勧めですよ」
次回は最終回。フローリングのキッチンやリビング、畳敷きの和室以外の床掃除や、カーペットについて伺います。
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