ウィズコロナ時代の「間取り」の新常識 [第2回]

感染症を防ぐ!究極の住まいづくり

空間
リビング・寝室・居室
関心
健康リフォーム

【事例1】家族間感染を防ぐ間取り

 前回、コロナ対策を考慮するなら、「玄関と洗面所が直行動線で、なおかつ動線が短ければ短いほどいい」とご説明しました。それを反映したのが、下記の間取りです。

 この間取りでは、玄関付近に水回りがあるため、帰宅したらすぐに洗面所に直行することが可能です。また、洗面所で着替えたり、お風呂でシャワーを浴びてからリビングや寝室に入るようにすれば、他の部屋にウイルスを持ち込むリスクをより低下させることができます。

「玄関と洗面所の動線が短い」ということとは別に、この間取りにはもうひとつ優れている点があります。それは感染者を隔離しやすい間取りであるということです。万が一家族が新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養することになった場合、感染者と他の同居者は可能なかぎり生活空間を分けることが推奨されています。

 この間取りの場合、寝室の前に食事が用意されていれば、感染者は寝室と水回り(洗面所、トイレ、お風呂)だけで生活することが可能です。感染者が水回りを使用した後の消毒を怠らなければ、家庭内感染のリスクを抑えることができるでしょう。

「この間取りは一昨年設計した集合住宅の間取りです。コロナ対策を考慮して設計したわけではありませんが、中庭を囲む平屋系の間取りは、コロナ対策の理にかなっていると思います」

【事例2】都市型住宅の間取り

「2階~3階建ての住まいの場合、フロアでゾーニングするのもひとつの方法」だと小木野さんはいいます。

 一般的な都市型住宅を例に考えてみましょう。下記は1階の間取りです。

「寝室をワークスペース兼来客スペースにすれば、1階をレッドゾーンにすることができます。このように1階だけで生活が完結する間取りであれば、フロアでゾーニングしたほうがコロナ対策としてより確実だといえるでしょう。都市型狭小住宅のように縦に長い住宅であれば、フロアごとにゾーニングするのもひとつの方法です」

【事例3】ワークスペースのある間取り

 withコロナ時代の住まいにおいて需要が高まっているのが、ワークスペースのある住まいです。

「テレワークやリモートワークの活用が進んだことで、自宅で働く方が増えました。それにともない、自宅に書斎やワークスペースを設けたいというご依頼も増えています」

 コロナ対策を考えるなら、ワークスペースをレッドゾーンにするのか、もしくはグリーンゾーンにするのかを考える必要があります。たとえば下記の間取りでは、キッチン裏にあるパントリーの中にちょっとしたワークスペースが設けられています。

 キッチンはウイルスで汚染するわけにはいかない場所ですので、この間取りの場合、ワークスペースは必然的にグリーンゾーンとなります。

 一方でワークスペースと来客スペースを兼用したい場合は、ワークスペースをレッドゾーンにする必要があります。下記は、小木野さんが現在リノベーションを進めている住宅の間取りです。

「玄関を入ると土間空間のワークスペースがあり、その奥に洗面所をはじめとする水回りが配置されています。コロナ対策を考えるなら『玄関と洗面所が直行動線』の間取りが理想的ですが、この間取りならワークスペースをレッドゾーンに含めてゾーニングすることができます」

 ただ一点、この間取りには「洗面所を通らないとリビングに辿り着けない」という難点があると小木野さんはいいます。

「一般的に、洗面所を通らないとリビングに行けない間取りはありえません。将来的にはワークスペースとリビングの間に扉を設け、行き来できるようにしたほうが便利でしょう」

 コロナ対策を目的としたゾーニングも、いき過ぎるとイレギュラーな動線になってしまうことがあるようです。リフォームなどを検討している人は、コロナ対策と「住みやすさ」を両立できる間取りを考える必要がありそうです。

(第3回に続く)

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〈お話を伺った方〉

小木野貴光さん

株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所 代表取締役。一級建築士。1973年静岡県生まれ。大学の建築学科を卒業後、建築設計事務所において、住宅、シニアハウジング、商業施設の設計を手掛ける。その後、筑波大学大学院にて、環境心理に関する研究でデザイン学修士号取得。住宅・リノベーション ・医療福祉施設の建築設計から環境デザインまで行う設計事務所として、2006年4月に一級建築士事務所を開設(2012年4月に法人化)。

文◎八木麻里恵
人物写真◎加々美義人
図版提供◎小木野貴光
画像提供◎Shutterstock/PIXTA

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