これからの住まいは
「区分け」と「動線」が大切
住まいにおける感染症対策として、「ウイルスに汚染されるかもしれない“レッドゾーン”と、ウイルスに汚染されていない“グリーンゾーン”に分けて居住空間をゾーニングすることが大事」だと小木野さんはいいます。
「ゾーニングとは、目的をもって空間を区分けすることです。帰宅時にウイルスが手や持ち物、服などに付着している場合、家の中にウイルスを持ち込まざるを得ません。だからこそ、玄関や洗面所をレッゾドーンとし、リビングをはじめとするグリーンゾーンにウイルスを持ち込まないように“ゾーニング”する必要があります」
この考え方は、医療施設における動線が参考になっています。
「高齢者施設をはじめとする医療施設は、汚染エリアであるレッドゾーン、非汚染エリアであるグリーゾーン、脱衣室などのイエローゾーンでゾーニングされています。
また、各エリアの動線が交差することのないよう、職員の動線があらかじめ決められています。たとえば、食べ物を運ぶ時に、感染リスクの高いトイレの前は通らないような動線があらかじめ設計されているのです。
これらの感染症対策は、いままで医療施設では当たり前のように行われていたものです。withコロナ時代の住まいにも、医療施設における動線の考え方が適用できるのではないでしょうか」
ベストは「玄関→洗面所」と
直行できる間取り
コロナ対策を目的に住まいをゾーニングする場合、まず考えるべきことは「どこまでをレッゾドーンにするのか」です。
「接触感染のリスクを考えると、玄関に入ったら真っ先に手洗いをするのが理想的です。玄関と洗面所が直行動線の間取りであれば、玄関と洗面所をレッドゾーンとすることで、リビングをはじめとするグリーンゾーンにウイルスを持ち込むリスクが低下します」
また、動線には「短ければ短いほどいい」という考え方があります。withコロナ時代には「玄関付近に洗面所」という間取りの需要が増えるかもしれません。
「リビングアクセス型」のコロナ対策
玄関と洗面所が直行動線ではない場合についても考えてみましょう。たとえば、「玄関→リビング」で、リビングを経由しないと洗面所や各部屋に辿り着けない間取りも存在します。このような間取りは「リビングアクセス型」と呼ばれ、来客の多い家庭や、近隣とのコミュニケーションを重視する地方でよく取り入れられているそうです。
リビングアクセス型の間取りの場合、玄関付近に洗面所を配置するようにリフォームするのもひとつの手ですが、もっと簡単な方法が「玄関に洗面台を設置すること」だと小木野さんはいいます。
「玄関に洗面台を設置するのは、子育て世代のお住まいでよくご提案しています。玄関付近に洗面台があると、お子さんは自然と手を洗うようになります。コロナ対策と子育ての両方に効果のある玄関洗面台は、アフターコロナの必需品になるかもしれません」
(第2回に続く)
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