今年の大掃除は一点集中![第3回]

【キッチン編】油汚れは“洗剤ちょい足し”が効果的

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キッチンの大掃除、順番と準備するものは?

 食品を扱うキッチンは特に清潔さを保ちたいもの。集中的に掃除するなら、換気扇、レンジフード、コンロ周りの壁、コンロ、天板(ワークトップ)、シンクと水栓金具、コンロやシンク下の引き出しまで、徹底的にキレイにしましょう。

 キッチンの大掃除も「高いところから低いところへ」の原則通り、換気扇・レンジフード→壁→コンロ→天板(ワークトップ)→引き出し→シンク→床という順番で進めていきます。シンクを後にした方がよいのは、コンロなどを掃除するときにシンクを使う場合があるので、二度手間になるのを防ぐため。
 準備する洗剤や道具は次の通り。食器や調理器具など、キッチン周りに置いてある物は一度すべてダイニングテーブルの上などに出してから大掃除を始めましょう。

【 準備する物 】

油汚れ用のウエットシート、プラスチックのへら、アルカリ性洗剤、中性洗剤、重曹、手指の消毒用アルコール、塩素系洗剤、ブラシ、スポンジ、マイクロファイバークロス、大きめのバケツ、捨ててもいいフライパン、ゴム手袋

油汚れはアルカリ性洗剤でスッキリと

シロッコファンのビフォーアフター。油汚れが落ちました!

 キッチンはどのように掃除を進めていけばよいでしょうか。

「キッチンの汚れは油汚れがほとんどです。『油汚れ=酸性の汚れ』なので、アルカリ性の洗剤で中和します。特に換気扇やレンジフードは料理中の油汚れをかなり吸収しているので、ベタベタしています。
 レンジフードのカバーを外してシロッコファンを取り外せる場合は外し、お湯を張った大きめのバケツなどに入れます。規定の分量のアルカリ性洗剤と中性洗剤を数滴たらして30分から1時間ほどつけておきます。アルカリ性洗剤を使われる場合は、洗剤に表示されている使用上の注意をよくお読みになって、目立たないところで試してからご使用ください。
 油は気温が低いと固まって熱が加わると緩むので、換気扇は、本当は冬ではなく夏に掃除するのが楽です。冬の大掃除の場合は、お湯につけて油汚れを緩ませましょう。つけおき後はブラシなどで残った汚れをこすり落とし、軽く拭いてから元の場所に戻します」

「ファンをつけおきしている間に、レンジフードや換気扇の周りを油汚れ用ウエットシートで拭き取っておきましょう。シートに少しだけ中性洗剤をつけると油汚れをさっと拭き取りやすくなります。こうしたシートはすでに洗剤がついていて、使い終わったら捨てられるので便利ですね。薄くて力を入れると破れてしまうような頑固な汚れには、2枚重ねするといいですよ。掃除をするときはゴム手袋をして、椅子などでは危ないのできちんとした踏み台を使ってください」

 換気扇周りがキレイになったら、次はコンロの周りの壁です。いつの間にか飛んでいた油でベタベタになった壁は、拭いてもなかなか落ちずに苦戦することも。

「油がはねてポツポツと粒状になって付着している場合は、へらでこすり取ってください。100円ショップに売っているプラスチック製のものは壁を傷つけにくいのでオススメです。

 その後、油汚れ用ウエットシートで拭き取っていきます。油は広範囲に飛んでいるので、足元まで広く拭いていきましょう。
 ベタベタしている部分にシートが張り付いて拭きづらいときは、マイクロファイバークロスに中性洗剤を数滴つけて拭くと、よほどしつこい油汚れでない限り落ちるはずです。
 どうしても落ちない場合は、アルカリ性洗剤に手指の消毒用アルコールを2,3プッシュ加えるとパワーアップします。五徳の周りなども、これをブラシでつけて少しおいた後に磨くとよく落ちます」

五徳にこびりついた焦げが取れました。

 続いていよいよコンロ周りへ。ガビガビになった五徳はどうすればよいのでしょう?

「オススメの方法は、テフロン加工が剥げてきたなどで捨てる予定のフライパンに、五徳、規定の量の重曹、水を入れて、沸騰させること。沸騰したら火を止めて、一晩置いておきます。そうすると五徳にこびりついた焦げがポロポロ取れていきます。それでも落ちない頑固な汚れは、ブラシや金属のへらなどでこすってみてください。
 重曹水は沸騰させることでアルカリ性が強くなるんです。洗った後の五徳は完全に乾くまで少なくとも一晩は使えませんから、一度に全部やらない方がいいですよ」

 コンロ周りの油汚れは換気扇や壁と同様、油汚れ用ウエットシートで拭き取っていきます。しつこい部分は「アルカリ性洗剤+アルコール」を活用しましょう。

 魚などを焼くときに使うグリルはどのように掃除するといいのでしょうか。

「グリルも魚などの脂で汚れやすいので、この機会にしっかり掃除しましょう。受け皿が取り外せることを知らない方も結構いらっしゃいます。受け皿、焼き網、ガラス扉に分解して、それぞれ台所用洗剤などの中性洗剤で洗いましょう。

 庫内は天井が油はねで特に汚れているので、油汚れ用ウエットシートなどを使ってしっかり拭き取ります。なかなか取れないしつこい汚れは、少量のアルカリ性洗剤をブラシなどにつけてこすり取ってください」

 天板やシンクが人造大理石やプラスチック製の場合、包丁などで傷がつくとそこに汚れが入り込みます。傷の部分が黒っぽくなっている場合は、塩素系洗剤を薄めてへらで塗りこむといいそうです(ステンレス製の場合は酸性洗剤を使うと錆びやすいので要注意)。

 また、きよきよさんが大掃除で特にオススメしたいのが、シンク下の引き出しです。

「意外と料理中のゴミや調味料などがこぼれて溜まっていたりしますし、湿気がこもっている場合もあります。引き出しの中身を全部出して、引き出し内をウエットシートなどで拭きます。賞味期限切れの調味料がないかなどもこの機会に確認し、不要なものは捨ててしまいましょう。
 ハウスクリーニングの際に引き出しの奥にゴキブリが住んでいた形跡を見かけることが結構ありますから、清潔にしておくためにも不要なものは入れっぱなしにしないように心がけてください」

 最後にシンク内を中性洗剤をつけたスポンジで磨き、排水口は塩素系洗剤でヌメリを取り、床を油汚れ用ウエットシートで拭けば終了です。

 シンクはステンレス製か人造大理石かなど素材によって、使ってよい洗剤や掃除方法が異なるので、メーカーのホームページなどで確認しておくと安心です。

 リクシルの場合こちらでご確認いただけます。

ステンレス製のシンクもこんなにピカピカに。

掃除の負担を減らすため、
日々のメンテナンスはどうすれば?

 せっかく油汚れをキレイにしても毎日使うキッチンはどうしても汚れやすい場所。普段からどのようなことを意識すればよいのでしょうか。

「まず一番オススメなのが、レンジフードフィルターをつけることです。これがあるかないかで、来年の掃除の負荷は全然違ってきます。
 また、油汚れや何かをこぼしたときはなるべくすぐに拭き取るようにしましょう。時間が経つほど取れにくくなります。シンクなどについた水滴も最後に拭き取ってください。水アカになってしまうと取れにくいので、気づいたときに拭くようにすると後々楽ですよ」

 リクシルのレンジフード「よごれんフード」は油の侵入をブロックしてくれるので面倒なお掃除が不要です。

 また、キッチンのお手入れ・お掃除のコツもご紹介しています。

 次回は人が集まる場所なだけに汚れも気になるリビングの大掃除方法について伺います。

≪お話を伺った方≫

お掃除職人きよきよさん

現場一筋、お掃除歴35年。ハウスクリーニングからショッピングセンターまで幅広く清掃を経験し、現在はハウスクリーニングをメインにお掃除。お掃除のノウハウやお掃除の楽しさを伝えるため、2016年5月にYouTubeにチャンネルを開設し、お掃除のやり方や楽しさを毎週動画配信。2022年11月現在のチャンネル登録者数26.3万人。著書に「やみつき掃除術」(SBクリエイティブ)。
お掃除職人きよきよさんのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCOb2mSJVXt_Aw2pAyj3Glgw

文:中原絵里子
写真:お掃除職人きよきよさん、shutterstock

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