できれば基礎をしっかり固める
前回のお話で、ガレージを建てるための法律的な条件や、どんなガレージを作るかについて伺いましたが、実際にガレージを作るときに外せないポイントをさらに教えていただけますでしょうか。
「まず、基礎回りのお話から。基礎を打たないで物置のように設置する手もありますが、きちんと基礎を打つことが大前提です。そのときに、単にコンクリートを打つだけでいいのか、それとも鉄筋などを入れていくほうがいいのか、これは将来を見据えて検討しておいたほうがいいでしょう」
将来的にヒストリックカー(旧車)を手に入れたいとか、クルマいじりに挑戦してみたいという場合は、基礎はしっかりしたほうがいいようです。逆に重量があるクルマを買う計画がなかったり、整備などをしないというのであれば、さほど頑丈な基礎にしなくてもいいかもしれません。
「基礎を打つときに、きちんと勾配をつけておくことも大切です。洗車だけでなく、さまざまな作業をして床に水がこぼれることもありますから、それが外に流れ出るように、そして大雨が降ったときに、ガレージの中に入りにくいようにするためです」
母屋とつながったガレージのメリット
ビルトインのガレージや、母屋とつながったガレージを計画するときに抑えておくべきポイントはあるのでしょうか。
「母屋の建物とつながった出入り口を作ることは必要なのですが、それをどこに開けるかという問題がありますね」と森口さん。
(c) 大崎慎一
たしかに、壁に穴を開けて作る場合、強度的に大丈夫か、構造物が壁の中にないかということを考慮すべきです。
「大きく開く窓のある部屋があるならば、そこに作ってしまう手もあります。部屋の中から自分の愛車を眺められるというのも素敵じゃないですか。玄関口を窓のようにして、そこから普段の出入りをする家も見たことがあります。前回お話をした、開口部を広く取ったガレージはそういう形態で、玄関を入って、靴を脱いで上がったところの壁に自転車を掛けています。ガラスの玄関にすることで、前に屋根付きのガレージがあっても、玄関が明るいですね」
母屋の前に駐車スペースが元々あるお宅ならば、そこに屋根と壁を付け足すことは比較的容易そうに思えますが、それだけだと玄関が暗くなってしまいます。思い切って外が見えるガラスに替えてしまうというのはいいアイデアですね。出入口はクルマで隠れるので、プライバシーの面でも問題がなさそうです。
広さだけでなく高さも考慮
古いクルマを持っている場合には、どんなことを考えればいいでしょうか。
「基礎と電気設備、換気などは重要ですが、失敗しないためにはガレージのサイズをきちんと考えておくことですね。古いクルマは比較的小さいことが多いですが、中で整備などをしたいのであれば、それなりの余裕が必要です。前後、左右ともに1m以上の空間がないと、タイヤ交換もままならないことになります。そして、古いクルマならではのスペアパーツや工具、リフトを導入するならば、そのためのスペースもあらかじめ考えておきましょう」
ご自分でガレージを建てた久我さんも、造ってみた結果、もう少し広ければよかったとおっしゃっていました。古いクルマでなくても、いろいろモノが増えていくことは考慮しておくほうがいいでしょう。
「天井も、できるだけ高いほうが便利ですよ。オープンカーならハードトップの脱着をできるようにしたり、自転車などを上から下げたりもできますから」
天井高があると、面積が狭くても収納という面では使いやすくなります。
家族も使える空間として計画を立てみる
ガレージの高さがうまく取れない場合もあると思うのですが、そうしたさまざまな制約はどうやってクリアしていったらいいでしょう。
「これはちょっと大変になりますが、地面を掘ってピットにしてしまう、という方もいらっしゃいますね」
そこまでくると、本当に本格的な車整備工場といった雰囲気になります。
「逆に、屋根をしっかり作って、上をバルコニーにしてしまう方なんかもいますよ。2階の窓と高さを合わせて、出入りができるように、とか」
そうなれば、2階にはバーベキューやお茶ができるスペースも広がりそうです。子どもが遊ぶスペースにもなり、ご家族の説得もしやすいかもしれません。
最後に、ガレージライフを夢見ている方に、森口さんから背中を押していただきましょう。
「ガレージを作ることは、けっしてハードルが高いわけではありません。例えば内装を自分で楽しみながら仕上げていったりすれば、費用を抑えることもできます。家族で一緒にやってもいい。ご自分の趣味のためだけでなく、家族みんなが幸せになれるのですから、諦めないでくださいね」
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